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「花*Flower*華―四季を彩る―」 広尾 山種美術館
恵比寿
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山種美術館では企画展、「花*Flower*華―四季を彩る―」が開かれています。
会期は6月2日(日)までです。

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春から夏、輝く季節

奥村土牛 「木蓮」 1948年
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木蓮は春に紅色の花を付けます。

渡辺省亭 「牡丹に蝶図」 1893年 
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この作品のみ個人蔵です。
咲き始め、満開、散り際の牡丹は時間を表し、満開の花は重みで首を垂れ、
クロアゲハが留まり、地面には花弁が散っています。
手前の方は鮮やかな色合いで、奥の方の葉は薄墨で描かれ、画面に奥行きを
見せています。

菱田春草 白牡丹 1901年頃
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白い牡丹がふっくらと立ち上がり、白い蝶も上を舞っています。
菱田春草たちが朦朧体を始めた頃の作品です。

小倉遊亀 「憶昔(おくせき)」 1968年
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古九谷の徳利に山吹の花を取り合わせています。
小林古径が愛蔵し、作品にも描かれた品で、後に小倉遊亀に譲られています。
花と陶磁器の取り合わせも、小林古径の清雅な気品に対して小倉遊亀は
ふっくらと艶やかです。

小林古径 「白華小禽」 1935年
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泰山木に止まっているのは瑠璃でしょうか。
葉の艶や厚みも表されています。

山口蓬春 「梅雨晴」 1966年
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日の光を受けて輝く、みずみずしい紫陽花です。
山口蓬春の作品はモダンで明快です。
山種美術館の開館記念に描かれたとのことです。

秋と冬の彩り、再び春へ

酒井抱一 「菊小禽図(部分)」 江戸時代・19世紀
琳派002

小鳥の重さで菊の枝が大きくしなり、小鳥が今にも飛び立ちそうで、
飛び立った後の赤い菊花の揺れまで予感させ、抱一の感覚の
繊細さを見せています。

酒井抱一 「月梅図」 江戸時代・19世紀
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下に伸びる紅梅と伸び上がる白梅の組合わせで、月は梅の香の香る夜を
表しています。

花のユートピア

岸連山 「花鳥図」 19世紀・江戸時代
江戸絵画3

右隻
江戸絵画5

金を散らした画面に、品良く、装飾的に描かれていて、薔薇の絡む松、
竹、丹頂、オウム、白鷺が描かれています。

左隻
江戸絵画4

桜、牡丹、孔雀、白閑鳥(はっかん)です。
白閑鳥は雉科の鳥で、くっきりとした白と黒が特徴です。
閑と鳥で1字になります。

岸連山(1804-1859)は京都生まれで、岸駒に師事し、岸派のスタイル
に四条派の瀟洒な画風を加味したとされています。

田能村直入 「百花」(部分) 1869年(明治2年)
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100種類の花を描き留めるようにとの明治政府の命で、春夏秋冬の花を
長い巻物に描いています。
今で言うボタニカルアートで、溢れるような花の生命をびっしりと描き込んで
います。

田能村直入(1814 - 1907)は豊後竹田の生まれの文人画家で、田能村竹田の
養子になっています。

荒木十畝 「四季花鳥」のうち「春(華陰鳥語)」 1917年
教科書4

白木蓮や椿の下でハッカンのつがいが歩んでいます。
荒木十畝(1872-1944)は長崎県出身で、荒木寛畝に弟子入りし、
養子になっています。
山種美術館は大作の「四季花鳥」四幅を所蔵し、今回全てを展示しています。

花と人

上村松園 「桜可里」 1926-29年頃
 冨士001
 
肉筆浮世絵風の華やかな絵柄で、着物の作りだす線がリズミカルです。

伊東深水 「吉野太夫」 1966年
歴003

吉野太夫は江戸初期の京都の廓を代表し、茶道にも秀でていたとされる
太夫とのことです。
立兵庫という、上に伸ばした独特の髪形で、吉野太夫の名に因んで、
満開の桜花を背景に立っています。

山種美術館のHPです。


次回の展覧会はご広尾開館10周年記念特別展、「生誕125年記念 速水御舟」展です。
会期は6月8日(土)から8月4日(日)までです。


【2019/05/23 20:31】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「慶びの花々」展 大手町 宮内庁三の丸尚蔵館
大手町
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大手町の宮内庁三の丸尚蔵館では「慶びの花々」展が開かれています。
会期は6月30日(日)まで、休館日は毎週月曜日・金曜日、入館は無料です。
5月26日までの前期と6月1日からの後期でかなりの展示替えがありますので、
展覧会のHPでご確認下さい。

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皇室の慶事に献上されたり、宮殿の装飾のため制作された、花を意匠とした
作品の展示です。

「七宝藍地花鳥図花瓶」 七宝会社 明治22年(1889)
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高さ79㎝あり、色の境目に金属の線を使わない無線七宝の技法に拠っています。
描かれているのは、芙蓉、牡丹、百合、藤、水仙、桜、山吹、野茨、石楠花、蒲公英
、躑躅、梔子、都忘れということで、植物図鑑のような賑やかさです。

「国之華」 池上秀畝 大正13年(1924) 紙本金地着色
右隻
花々img846 (3)

左隻
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前期の展示です。
六曲一双の屏風で、右隻に渓流と山桜、左隻に菊と垣根を描いています。
渓流は山地、垣根は人里を表し、垣根は網代垣、柴垣、四つ目垣と変化を付けています。
輝く金箔地に濃密に描かれた、装飾性にあふれた力作です。
池上秀畝(1874-1944)は長野県伊那市出身で、荒木寛畝に師事しています。
皇太子(昭和天皇)のご成婚を祝って、藤田財閥2代目の藤田平太郎が献上しています。

「罌粟」 土田麦僊 昭和4年(1929) 絹本着色
花々img846 (1) 花々img846 (6)

前期の展示です。
縦161㎝の大きな対幅で、帝展に出展され、宮内省買上げとなっています。
綿密な写生により、すっと上に伸びたケシの花の静かな妖しさを描き出しています。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「正倉院宝物―保存と復元の歴史」(仮称)です。
会期は7月13日(土)から9月1日(日)までです。


【2019/05/21 21:02】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「左脳と右脳で楽しむ日本の美」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、「左脳と右脳で楽しむ日本の美」展が
開かれています。
会期は6月2日(日)まで、休館日は火曜日です。

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サントリー美術館の所蔵する22点の作品を左脳のつかさどる「information(情報)」と
右脳のつかさどる「inspiration(ひらめき)」という、異なる視点で鑑賞するという企画です。

同じ作品を違う角度から鑑賞する仕掛けになっていて、入口も白の「information(情報)」と
黒の「inspiration(ひらめき)」に分かれ、どちらからでも入ることで出来ます。
また、違う入口から入り直すことも出来ます。

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白の「information(情報)」には詳細な解説が添えられていますが、黒の「inspiration
(ひらめき)」には何も無く、観ることによる直感だけが頼りです。

展示されてる作品の一部です。

「薩摩切子 藍色被船形鉢」 江戸時代 19世紀中頃
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「藍色ちろり」 江戸時代 18世紀
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見え方にもいろいろ工夫が凝らされています。

赤楽茶碗 銘「熟柿」 本阿弥光悦 江戸時代 17世紀前半
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「色絵獅子鈕鞠形香炉」 野々村仁清 江戸時代/17世紀後半
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「白泥染付金彩薄文蓋物」 江戸時代 18世紀 重要文化財
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確かに、知識を得てから作品を観ると、理解も深まり、興味も増すのですが、
知識に引っ張られて、作品そのものが持つ魅力を見逃してしまうおそれもあります。
通常の展覧会とは違う、面白い企画です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「遊びの流儀」展です。
会期は6月26日(水)から8月18日(日)までです。

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「TOKYO MIDTOWN AWARD」は毎年、デザインとアートの2部門でコンペティションを
開いています。

こちらは2018年のファイナリスト、uruco[漆間弘子、漆間康介]さんの作品、「猫に小判」です。
10円玉などのコインの形をしたキャットフードで、猫はモリモリ食べてしまいます。

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【2019/05/18 21:27】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」 東京国立博物館
上野
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上野の東京国立博物館では特別展、「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から
光琳、北斎まで―」が開かれています。
本館 特別5室・特別4室・特別2室・特別1室での展示で、会期は6月2日(日)までです。

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「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』―皇室の至宝・国宝プロジェクト―」の一環として
開催する特別展で、文化庁、宮内庁三の丸尚蔵館、東京国立博物館の所蔵する
日本美術の名品が展示されています。

「元暦校本万葉集 巻一(古河本)」 平安時代・11世紀 東京国立博物館 国宝
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巻二十に元暦元年(1184)の校合との記載があることからこの名が付いています。
万葉仮名と平仮名の両方で書かれています。

中皇命徃于紀温泉之時御歌

 きみがよもわがよもしるやいはしろのおかのくさねをいざむすびてな

「寛平御時后宮歌合(十巻本)」 平安時代・11世紀 東京国立博物館 国宝
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46の歌合を10巻本にまとめた草稿のうちの第4巻、寛平御時后宮歌合
(かんぴょうのおんとききさいのみやうたあわせ)を書写したものと思われます。
寛平御時后宮歌合は寛平初年(889年)頃に、宇多天皇の母后班子女王の邸で
催された歌合です。
写真は2014年の平常展に展示されていた時のものです。

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冒頭は紀友則の歌です。

 花の香を風のたよりにたぐへてぞ鶯さそふふしるべにはやる

「更級日記」 藤原定家筆 鎌倉時代・13世紀 宮内庁三の丸尚蔵館
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更級日記は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ、1008 -1059以降?)の書いた
回想録で、藤原定家特有の書風で書かれています。
藤原定家は王朝文化を残すため、多くの写本を記しており、更級日記の写本はすべて
定家の写本が元になっています。

 ところどころかたるをきくにいとどゆかしさまされどわがおもふままに

「浜松図屏風」(左隻) 室町時代・15世紀 文化庁 重要文化財
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一面に松の緑が広がり、右隻は春と夏、左隻は秋と冬の景色を描いています。
秋の紅葉、冬の雪山も見えます。

「秋冬山水図」 雪舟等楊 室町時代・15世紀末~16世紀初  東京国立博物館 国宝
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漢画特有のくっきりした描き方で、近くの岩や遠くの山は平面を前後に並べた
ように見えます。

「檜図屏風」 狩野永徳 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館 国宝
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元は八条宮家(後の桂宮家)の襖絵で、引き手の跡がうっすらと残っています。
八条宮智仁親王(1579-1629)は後陽成天皇の弟で、豊臣秀吉の猶子となった後、
秀吉の援助で八条宮家を創設し、御殿も造営しています。
その御殿のための襖絵と思われ、狩野永徳の工房が手掛けています。
永徳最晩年の作で、桃山らしい豪快な筆捌きによってぐいぐい描いてあります。

「四季草花図屏風」 伝狩野永徳 安土桃山時代・16世紀 宮内庁三の丸尚蔵館
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こちらも八条宮家(後の桂宮家)に伝わった屏風で、「檜図屏風」と同じ時期に
狩野永徳の工房によって制作されたと思われ、芍薬、菊、竜胆、百合などが
描かれています。

「唐獅子図屛風」 宮内庁三の丸尚蔵館
[右隻]狩野永徳 安土桃山時代・16世紀
[左隻]狩野常信 江戸時代・17世紀

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右隻は狩野永徳作で、安土桃山時代の代表作です。
元は毛利家の所蔵で、豊臣秀吉から贈られた品との説もあります。
見上げるばかりの大きな屏風で 、二頭の獅子は力強く地面を踏みしめ、
顔も恐ろしげで威圧感に満ちています。

左隻は曽孫の狩野常信作で、江戸時代の作品です。
右隻に合わせて描かれたとのことですが、時はすでに泰平の世、雰囲気も
かなり変わってきます。
右隻の獅子の子供ということでしょうか、軽やかで、顔もユーモラスな表情です。

「芦穂蒔絵鞍鐙」 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館 重要文化財 
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豊臣秀吉所用とされ、高蒔絵が施された豪華な鞍鐙です。
写真は2014年の平常展に展示されていた時のものです。

「色絵牡丹図水指」 野々村仁清 江戸時代・17世紀 東京国立博物館
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金彩もふんだんに用いて、何とも色鮮やかな、いかにも京焼らしい作品です。
絵柄が永平寺伝来の狩野探幽筆、四季花鳥図に似ているそうで、狩野探幽や
弟の安信は仁清の陶器に絵付けをしたという記録もあるそうです。
明治41年(1908)に昭憲皇太后より帝室博物館に下賜されています。

「色絵若松図茶壺」 野々村仁清 江戸時代・17世紀 文化庁 重要文化財
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艶やかな漆黒の背景に金彩の山の連なり、松や椿などを描いた、鮮やかな作です。
丸亀藩京極家の旧蔵です。

「納涼図屏風」 久隅守景 江戸時代・17世紀 東京国立博物館 国宝
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久隅守景の代表作で、月夜の夕顔棚の下で涼む家族のおだやかな情景です。
淡く着色され、月は、輪郭に沿って外側を墨で塗る外隈(そとくま)という技法に
拠っています。
四季農耕図の一場面のような情景で、棚にぶら下がっている瓢箪がユーモラスな
味わいを見せています。
これは守景自身と娘の雪信、息子の彦十郎を描いた、家族の肖像ではないかとも
言われています。

「伊勢物語八橋図」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵
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伊勢物語の東下りの一節です。
三河の国の八橋というところで、かきつばたの咲いているのを見て、在原業平とされる
人物が「か き つ ば た」を詠み込んだ和歌を詠じている場面です。

  から衣 着つつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ

食事の膳を前に置いた男たちの眺めているのは、咲き乱れるかきつばたの群れでしょう。
八橋の橋板も見えます。

「八橋図」 尾形乾山 江戸時代・18世紀 文化庁 重要文化財
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同じく、伊勢物語の三河の国の水辺の八橋に咲くカキツバタを歌に詠み込んだ
お話を描いています。
絵巻物の一部のようで、軽い筆さばきに味わいがあります。

「牡丹孔雀図」 円山応挙 安永5年(1776) 宮内庁三の丸尚蔵館
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豪華な作品で、羽根の艶、首や銅の立体感も表現され、優れた技量を示しています。
応挙は孔雀図を何点か描いています。

「花鳥遊魚図巻」(部分) 長沢芦雪 江戸時代・18世紀 文化庁
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11mの長い絵巻で、薔薇、雀、啄木鳥、山桜、鮎、鯉、亀、鯰、藤などが描かれています。
師の円山応挙譲りの可愛い子犬たちもいます。

 「新緑杜鵑図」 与謝蕪村 江戸時代・18世紀 文化庁 重要文化財
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広々とした新緑の木々の上をホトトギスが飛ぶ、気持ちの良い絵です。
木の葉は池大雅風の点描です。

「玄圃瑤華 花菖蒲・棕櫚」 伊藤若冲自画・自刻 
 江戸時代・明和5年(1768) 東京国立博物館

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玄圃は仙人の居所、瑤華は玉のように美しい花という意味です。
版木に紙を当て、その上から墨を打つ、拓本に似た拓版画という技法に拠っており、
版木も自ら彫っています。
草花と虫などを組合わせた48図で、写実性は動植綵絵に通じるものがあります。

 「西瓜図」 葛飾北斎 天保10年(1839) 宮内庁三の丸尚蔵館
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北斎80歳の作ですが、不思議な雰囲気の絵です。
長く剥かれた西瓜の皮が吊り下げられ、半分に切られた西瓜には紙が被せられ、
包丁が載っています。
包丁は輪郭線を使わずに描かれ、西洋画に倣っているそうです。
なぜこのような絵を描いたのかは分かっていませんが、七夕の飾りを模したもの
という説があります。
七夕では五色の糸を飾り、タライに水を張って牽牛星と織女星を映すので、
その形に似せているのではないかとのことです。

「舞妓」 明治26年(1893) 東京国立博物館
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モデルは舞妓の「小ゑん」で、女中は「まめどん」と呼ばれていたそうです。
青を基調にしていて、この作品も逆光を使い、鴨川に反射する光も取り入れています。
全体に印象の強い作品で、頬に光の当たった小ゑんの表情には張りがあり、
活き活きとしています。
まめどんは半身が画面の枠で切れていますが、これは印象派の手法によるそうです。
もっとも印象派も広重などの浮世絵からこの手法を学んでいます。

「龍蛟躍四溟」 横山大観 昭和11年(1936) 宮内庁三の丸尚蔵館
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六曲一双の屏風に、雲間に躍る龍を配した作品で、躍動感にあふれ、墨の色にも
深味のある傑作です。
帝展に出品の後、大観自ら皇室に献上しています。
漢詩の楽府詩集の一節が書かれています。

風雲馳九域 龍蛟躍四溟


各時代の名品の揃った展示で、これだけの作品を一度に観る機会はなかなかありません。
会期が短いのがもったいない展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の特別展は「三国志展」です。
会期は7月9日(火)から9月16日(月・祝)までです。

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【2019/05/16 19:41】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「江戸の街道をゆく~将軍と姫君の旅路~」 両国 江戸東京博物館
両国
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江戸東京博物館では特別展、「江戸の街道をゆく~将軍と姫君の旅路~」が
開かれています。
改修工事終了後初めての特別展で、会期は6月16日(日)までです。
5月26日までの前期と5月28日からの後期で、かなりの展示替えがありますので、
展覧会のHPをご確認ください。

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江戸時代になり、整備された街道を通行する将軍や大名、姫君の旅についての展示です。

会場は撮影可能です。

プロローグ

「甲州道中絵図」 久貝正方/誌 紙本著色 江戸時代中期以降
久貝正方(1648ー1719)は旗本で、道中奉行、勘定奉行などを努めています。
下諏訪までの甲州街道の絵図で、久貝が記録し、後世に書写されたものと思われます。
四谷口から始まり、内藤新宿を通ります。
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岩殿古城跡も書かれています。
有名な猿橋は長拾三間二尺とあります。
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第1章 武家の通行 ~威信をかけた旅路~

「伊予松山藩久松松平家登営行列絵巻」 紙本著色 江戸時代
久松松平家の大名が江戸城に登城する様子です。
行列の先頭は金紋先箱と呼ばれた鋏箱です。
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久松松平家は徳川家康の異父弟の家系なので、葵紋を許されています。

「毬と殿様」より
 紀州の殿様 お国入り
 きんもん先箱 ともぞろい

殿様のお駕籠です。
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司馬遼太郎の「坂の上の雲」は伊予松山藩の城下から話が始まります。
主人公の秋山兄弟や正岡子規のご先祖もこの行列の中にいたかも知れません。

馬を連れた従者は馬に水を飲ませる馬柄杓(まびしゃく)を持っています。
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「亀甲に州浜紋蒔絵水呑馬柄杓」 自楽院/作 木製漆塗 天明5年(1785)8月朔日
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蒔絵を施した立派な柄杓です。

「熊本藩細川家御座船波奈之丸の図」 紙本著色 江戸時代後期
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参勤交代に当たって船を使う場合もありました。

「日光御遷坐式図巻」 二巻 紙本著色 江戸時代
前期に前巻、後期に後巻が展示されます。
元和2年(1616)に駿府城で亡くなった徳川家康は久能山に葬られた後、
柩は翌年、日光に遷されます。
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家康の柩です。
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「日光東照社参詣図屏風」 紙本金地著色 江戸時代前期
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3代将軍徳川家光が日光東照宮に参詣した時の様子です。
家光は自分を将軍にしてくれた祖父家康を敬い、東照宮の壮麗な社殿を造営し、
何度も参詣に訪れています。

家康を東照大権現として祀り、神格化した天海大僧正が鳥居の下で能を見物しています。
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右「三引両竹雀紋散蒔絵刀筒」 木製漆塗 江戸時代中期以降
左「梨子地星梅鉢紋散木目文刀筒」 木製漆塗 江戸時代後期

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道中、刀を運ぶ容器で、右は仙台伊達家の紋が入っています。
左は久松松平家の星梅鉢紋が入っています。


第2章 姫君の下向 ~華麗なる婚礼の旅路~

「楽宮下向絵巻」 青木正忠/画 紙本著色 文化元年(1804)
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楽宮喬子女王(さざのみやたかこじょおう)が12代将軍徳川家慶と婚約し、
中山道を江戸に向かう様子を描いています。

役人たちが控えています。
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路上の者は土下座して、一行を見送ります。
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本陣では一行の到着を待っています。
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「和宮江戸下向絵巻」 関行篤/詞書 紙本著色 文久2年(1862)
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和宮親子内親王(かずのみやちかこないしんのう)が徳川14代将軍家茂との
結婚のため、江戸に下った道中を記録した絵巻です。
一行は人足も含め、3万人にも及ぶ大行列で、大雨による川止めの恐れの無い、
中山道を進んでいます。
関行篤は和宮一行の先駆けを努めた旗本です。

「黒漆丸十紋散牡丹唐草蒔絵女乗物」 木製漆塗 江戸時代後期
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薩摩島津家の姫君のお駕籠で、島津家の丸に十の字の紋が入っています。
豪華極まりない作りで、さすが大大名の家の乗り物です。


第3章 幕末の将軍上洛 ~描かれた徳川家茂の旅路~

「東海道箱根山中図」 五雲亭貞秀/画 山口屋藤兵衛/版 
 三枚続錦絵 文久3年(1863)2月

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徳川14代将軍家茂の上洛の光景です。
文久3年(1863)に家茂は朝廷と幕府間の問題の解決のため、上洛しています。
上洛は3代家光以来のことで、2月13日に江戸城を発ち、東海道を行き、
3月4日に二条城に入っています。
家茂は右側の朱傘を差し掛けられた輿の中にいます。

「頼朝公大井川行列図」 歌川芳艶/画 大黒(国)屋金之助・金次郎/版 
 三枚続錦絵 文久3年(1863)3月

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直接、家茂として描くのははばかられるので、源頼朝の上洛ということにして、
紋所も笹竜胆にしています。
駕籠を輦台に載せ、大勢で担いで渡っています。

将軍家茂は慶応元年(1865)に第2次長州征伐のため、3度目の上洛を行ないます。
今回は軍事行動のため、金の扇の馬印を立てた、物々しい陣容です。
家茂は大坂城に入りますが、脚気のため若くして亡くなっています。

「末広五十三次 程ヶ谷」 歌川芳幾/画 森本順三郎/版 
 錦絵 慶応元年(1865)閏5月

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一行を珍しそうに眺める外国人です。
家茂上洛の様子は早速、8人の絵師による55枚の錦絵、「末広五十三次」として
出版されています。
宿場名は金扇の中に書かれ、家茂の上洛を暗示しています。
「末広」は扇を意味していますが、鳥羽伏見の戦いに幕府軍が敗れ、徳川慶喜が
江戸に逃げ帰ると金扇の馬印は大坂城に置き去りにされてしまいます。

「末広五十三次 三島」 歌川広重(二代)/画 藤岡屋慶次郎/版 
 錦絵 慶応元年(1865)閏5月

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西洋式の調練を受けた幕府歩兵隊が剣付き鉄砲を担ぎ、背嚢(ランドセル)を背負って、
三嶋大社の前を進みます。
幕府歩兵隊は慶応4年(1868)の鳥羽伏見の戦いにも動員されますが、新政府軍に
敗れています。


エピローグ ~東京の道をゆく~

「東京江戸品川高輪風景」 歌川国輝(二代)/画  山本(屋)平吉/版 
 三枚続錦絵 明治元年(1868)10月

明治元年(1868)9月、明治天皇は3300人の行列で京都を出発し、東海道を通り、
東京に行幸しています。
品川を通る行列です。
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警護する新政府の歩兵隊です。
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天皇は牛車に乗っています。
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明治天皇が東京に完全に移り住んだのは、翌明治2年のことです。

「東京日本橋風景」 歌川芳虎/画 蔦屋吉蔵/版 三枚続錦絵 明治3年(1870)
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前期の展示です。
馬車や自転車が登場しますが、日本橋の賑わいは変わりません。

「古今東京名所」 歌川広重(三代)/画  辻岡屋文助/版 錦絵
 明治10年-17年(1877-84)

前期と後期で場面替えがあります。
江戸から明治への東京の変化を左右見比べるようになっています。
越後屋は三井の洋館になり、
かIMG_0243

日本橋には馬車道が出来ました。
かIMG_0241

明治になると、やはり江戸が懐かしく思えたようです。

絵巻や錦絵の小さな画面の中にもさまざまな情報が詰まっており、観ていて飽きません。

展覧会のHPです。


【2019/05/14 19:23】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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