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「山田純嗣展 絵画をめぐって―2・3・2―」 日本橋髙島屋美術画廊X
日本橋
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日本橋髙島屋美術画廊Xでは「山田純嗣展 絵画をめぐって―2・3・2―」が
開かれています。
会期は6月25日(月)までです。

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山田純嗣さん(1974-)は長野県飯田市出身で、名画を立体化し、それを撮影した
写真の上にエッチングやペインティングを重ねる、「インタリオ・オン・フォト」と
名付けた技法によって制作しています。

葛飾北斎の「諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」を高さ70㎝の立体にした物です。
山田img504 (5)

粘土などで出来ていて、瀧の部分には箔を貼ってあります。
2次元の浮世絵が3次元化されて、面白い造形です。 

インタリオ・オン・フォトによる平面作品です。
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また2次元に戻っていて、モノクロ写真のネガに彩色したような、ちょっと不思議な景色です。

酒井抱一の「夏秋草図屏風」の夏の部分を立体化しています。
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揺れる夏草が手前に浮き出ています。

インタリオ・オン・フォトによる平面作品です。
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夏草が浮彫のような感じになります。

仙厓の「〇△□」のインタリオ・オン・フォトもあります。
山田img504 (2)

後から描いた線が上になっています。
地の部分には仙厓の絵などがぎっしり詰まっています。

平面から立体、立体から平面と移す過程で加工が入って、原作とは違った世界が
見えてくる、なかなか面白い造形です。


【2018/06/21 19:12】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「渡辺香奈展 Perfect Blue」 銀座 日動画廊
銀座
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銀座の日動画廊では6月26日(火)まで、「渡辺香奈展 Perfect Blue」が
開かれています。
日曜日は休廊です。

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渡辺香奈さん(1980~)は岩手県出身で、花や女性を勢いのある動きの中で
描いています。
2012に文化庁海外研修としてスペインに留学し、2014年までベラスケスなど
スペイン絵画を学んでいます。

「Perfect Blue」 M100
渡辺img481 (1)

作品は新国立劇場のバレリーナの方にポーズを取ってもらったそうで、腕を伸ばした
背中の鍛えられた筋肉も描き出しています。
画面を横にすると、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」にも似ています。
本の絵は、ホセ・デ・リベーラの「隠者の聖パウロ」の一部で、生を表すパンには
光が当たり、死を表す頭骸骨は陰になっています。

渡辺さんによれば、自分が青一色の世界に居れば、青色を意識せず、赤色など
別の色をを見て初めて自分の青色に気付く、ということを描いています。
これはスペインの文化に触れることで、今までの自分の持っていた日本の文化と
いうものを客観的に意識したことに始まるそうです。
スペインの画家たちは、近所の土を絵具に混ぜて特有の色彩を出すなど、
油彩というものを使いこなしていて、教科書的な日本の描き方とはかなり違うことに
驚いたそうです。

「Perfect Magenta」 F130
わimg501 (3)

赤の世界の中に青が少し入っています。
折り紙の蝶は、外からちょっと見ただけではたその場所の良い所だけが見えることを
表しているそうです。
実際にそこで暮らすと、現実の姿が見えてくるもので、それは本物の蝶で表します。
ダリアはメキシコ原産で、スペインを通じてヨーロッパに伝わった花です。

「Perfect Magenta」 F8
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本の絵は、ムリーリョの「小鳥のいる聖家族」の一部です。

「La Paciencia」
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Pacienciaは忍耐という意味です。
渡辺さんとしては珍しい、左右対称に近い構図で、腕を後ろにそらした肩の筋肉の
盛り上がりが強調されています。
本の絵はスルバランの「神の子羊」です。

「一輪を花束にして」 M8
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一輪の花の、蕾から開花して枯れていくまでを一つの画面に描いています。
人の人生の一つ一つの場面に似ているように思えるとのことで、時の流れを
意識しています。
小品ですが、椿の花がこちらに向かってあふれ出してくるような迫力があります。

「一輪を花束に」 M4
渡辺img500


渡辺さんの作品には、外に向かって大きく広がっていく、運動性、躍動感があり、
バロック的と言えます。

2015年に日本橋三越本店で開かれた「渡辺香奈 洋画展」の記事です。

2011年に日動画廊で開かれた「渡辺香奈展 流れにめぐるものたちへ」の記事です。


【2018/06/19 20:45】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
『内田正泰 「心の詩」作品展』 丸善丸の内本店 2018/6
丸の内オアゾ内の丸善丸の内本店4階ギャラリーAでは、
『内田正泰 「心の詩」作品展』が6月19日(火)まで開かれています。

内田正泰さん(1922~)は今年96歳で、100色以上の色紙をちぎって貼る、
はり絵の技法によって、懐かしい日本の四季の風景を詩情豊かに
描き出しています。

展覧会では夏の景色を中心にして、新作のはり絵の原画と版画や代表作など、
約50点が展示されています。

「梅雨あけ」 
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梅雨の明けた青い空を白い雲が流れ、緑の野でも雲の影が流れています。

2013年に同じ丸善丸の内本店で開かれた『内田正泰 「心の詩」作品展』の記事です。


梅雨の花、紫陽花の写真も少し載せます。

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【2018/06/16 17:26】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵」 上野の森美術館
上野
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上野の森美術館では、「ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵」が
開かれています。
会期は7月29日(日)までです。

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版画家、マウリッツ・エッシャー(1898-1972)の生誕120年を記念しての展覧会で、
イスラエル博物館の所蔵する作品、約150点が展示されています。
イスラエル博物館はエルサレムにあり、死海写本の所蔵で有名です。

エッシャーはさまざまな版画の技法を使って、実際にはあり得ない構造の建築や、
同じ形の図形をタイルのように並べて平面を埋める作品で知られています。

会場では作品が「科学」「聖書」「風景」「人物」「広告」「技法」「反射」「錯視」の
8つに分類して、展示されています。

「椅子に座っている自画像」 木版 1920年
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エッシャーはオランダに生まれ、イタリアやスイスなどで活動しています。
若い時の自画像で、下から見上げた極端な短縮図法を使って、ちょっと
ふてぶてしい感じに描いています。

「カストロヴァルヴァ、アブルッツィ地方」 リトグラフ 1930年
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カストロヴァルヴァはイタリア中部の岩山の上にある、小さな村です。
緻密に描かれた風景には抒情性を排した迫力があり、特に浮かぶ雲の描写が
印象的です。

「対照(秩序と混沌)」 リトグラフ 1950年
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エッシャーは科学への関心が深く、結晶構造にも興味を持っています。
金属、ガラスや陶器、紙など、いろいろな材質を表現しようとしています。

「発展Ⅱ」 多色刷り木版 1939年
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小さな形が次第に大きくなるとトカゲのような形に変わっていきます。
エッシャーはスペインのアルハンブラ宮殿を2度訪れて、タイルのモザイク模様に
感銘を受けています。

「滝」 リトグラフ 1961年
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エッシャーの特徴の、実際にはあり得ない形の建築を描いていて、
水路を流れる水が同じ高さの筈の所に滝になって落ちています。
何回見ても不思議な画面で、うまくだましているものだと思います。
ただ、エッシャーはだますというより、視覚というものの不思議さ、面白さを
追求しているようです。

エッシャーの作風は理知的で、作品を観ていくと、いろいろ考えて造っていることが
分かり、興味深いものがあります。

人気のある展覧会で、来館者も多いのですが、会場は狭く、作品はサイズも小さいので、
混雑状況を確認して行かれることをお勧めします。

展覧会のHPです。


絵本作家の安野光雅さん(1926~)のデビュー作の「ふしぎなえ」は
エッシャーの作品に感銘を受けて制作したものです。

(参考)
「ふしぎなえ」より 1968年 福音館書店
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【2018/06/14 20:55】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
「琳派―俵屋宗達から田中一光へー」 山種美術館
恵比寿
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山種美術館では特別展、「琳派―俵屋宗達から田中一光へー」が
開かれています。
会期は7月8日(日)までです。

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「槙楓図」 伝俵屋宗達 江戸時代・17世紀 山種美術館
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右側に大きく曲がった幹と直立した幹の槙を置き、槙と楓の葉が左上に力強く
伸びていく、躍動感のある画面です。
下に女郎花と桔梗も見えます。
槙の葉は大きく描かれ、全体に重い印象があります。

「新古今集鹿下絵和歌巻断簡」 俵屋宗達(絵) 本阿弥光悦(書) 
 江戸時代・17世紀 山種美術館

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宗達と光悦の合作です。
画面上に金泥、下に銀泥を塗り、金泥を使った優美な筆遣いで、
振り返る鹿の姿を描いています。
歌は、新古今集の西行の作です。

  こころなき身にも哀はしられけり鴫たつ澤の秋の夕暮

元は巻物で、三井財閥の益田鈍翁の所蔵していたものが、戦後になって切り離され、
現在のような断簡になっています。

「白楽天図屏風」 尾形光琳 江戸時代・18世紀 根津美術館
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謡曲、「白楽天」を描いた作品です。
唐の詩人、白楽天が日本に渡ろうとしたところ、海上で老いた漁師
(実は和歌の神、住吉明神の化身)に出会い、和歌の力を知らされ、
神風によって吹き戻されたというお話です。
白楽天を乗せた船の描き方の奇抜さが眼を惹きます。

「秋草鶉図」 酒井抱一 江戸時代・19世紀 重要美術品 山種美術館
江戸7-19-2010_003

薄、女郎花、露草、楓の茂る中にウズラが群れています。
薄の葉は細くリズミカルに描かれ、繊細で、デザイン感覚に満ちています。
銀の月も低く置かれ、落着いた風情と品の良い華やかさがあります。
月の黒いのは銀が酸化したのではなく、銀の上に黒を塗ってあるそうです。
ウズラは土佐派の好んだ画題で、この作品も土佐派に倣った画風です。

「菊小禽図(部分)」 酒井抱一 江戸時代・19世紀 山種美術館
琳派002

小鳥の重さで菊の枝が大きくしなり、小鳥が今にも飛び立ちそうで、
飛び立った後の赤い菊花の揺れまで予感させ、抱一の感覚の
繊細さを見せています。

「四季花鳥図」 鈴木其一 江戸時代・19世紀 山種美術館
右隻 
江戸絵画2

春夏の図で、向日葵、朝顔、燕子花、オモダカ、菜の花、立葵などと一緒に
鶏のつがいと雛が描かれています。

左隻
江戸絵画1

秋冬の図で、薄、菊、女郎花、竜胆、ナナカマド、ワレモコウなどの下に
つがいのオシドリが居ます。
さまざまの草花を活け花のように手際よくまとめ、濃密に描き出した画面は
とても豪華です。

「牡丹図」 鈴木其一 1851年 山種美術館
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白、薄紅、赤と色を変え、蕾から盛り、しおれ始めまでを
一つの絵の中に収めています。
中国画風の細密な写実で、琳派とは少し雰囲気が異なっています。

「翠苔緑芝」 速水御舟 1928年 山種美術館
右隻
速10-6-2009_007

左隻
速10-9-2009_002

四曲一双の金箔地の屏風で、右隻に枇杷と青桐、つつじです。
枇杷の木には、まだ青い実から熟れた実まで付いていて、木の下では
黒猫が振り向いています。

左隻には紫陽花と2匹の白兎です。
紫陽花は咲き始めから満開まで様々に咲いています。
白兎は、向こうに黒猫がいるのも知らずに、呑気に草をかじったり、
寝ころがったりしています。

全体に、右奥から左手前に広がり、右上から左下に下がっていく構図で、
琳派風の装飾性を極め、きっちりとまとまった、近代的な作品です。
御舟の言葉、「もし無名の作家が残ったとして、この絵だけは面白い絵だと
後世言ってくれるだろう」。

「うさぎ」 安田靫彦 1938年頃 山種美術館
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細い描線と薄紅色が兎のふわりとした柔らかさを表していて、
目の赤と桔梗の青が効いています。
俵屋宗達の「兎桔梗図」に倣った作品です。

(参考)
「兎桔梗図」 俵屋宗達 江戸時代・17世紀 東京国立博物館
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桔梗の咲く野で兎が月を見ています。
柔らかな筆遣いで、兎の見上げる先に月を思わせ、しんみりとした秋の風情が
感じられます。

「蓬莱山・竹梅図」 神坂雪佳 大正—昭和時代・20世紀
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三幅対で、左右に梅と竹、真中には松の木の生えた蓬莱山が描かれ、
松竹梅となっていて、構図も左下から右上に向いています。
神坂雪佳(1866-1942)は琳派を学び、京都で活躍した画家で、琳派に傾倒し、
伸びやかな雰囲気の作品を描いています。

「筍」 福田平八郎 1947年 山種美術館
福田12-12-2009_001

2本の筍の際立つ、単純化された、明快な画面です。
皮の巻き付き方もリズム感があり、皮の先の緑色がアクセントになっています。
福田平八郎も琳派に傾倒していて、装飾的で、デザイン性のある画面を
取り入れています。

「華扇屏風」 加山又造 1966年 山種美術館
金銀010

左隻
金銀011

右隻
金銀012

季節の花を描いた扇面を貼り並べた扇面散らし屏風です。
継ぎ紙、色の異なる銀箔、野毛、銀泥などを駆使した、加山又造らしい、
とても工芸的な作品です。

「JAPAN」 田中一光 1986年 紙・シルクスクリーン 東京国立近代美術館
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俵屋宗達の鹿の絵をデザイン化して取り入れたポスターです。
グラフィックデザイナーの田中一光(1930~2002)も琳派に傾倒し、
琳派に影響を受けた作品も制作していました。

(参考)
「平家納経 平清盛願文」 平安時代・長寛2年(1164) 厳島神社蔵 国宝
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平清盛など平家一門が厳島神社に奉納した法華経など32巻に添えた願文です。
見返しには厳島神社の神鹿でしょうか、鹿が描かれています。
安芸の領主だった時の福島正則に命じられて、俵屋宗達が行なった平家納経の
修復の際に描かれたようで、いかにも宗達らしい姿の鹿です。

俵屋宗達に始まり、現代にまで続く琳派の流れをたっぷり味わえる展覧会です。

山種美術館のHPです。


次回の展覧会は企画展、「水を描く―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」です。
会期は7月14日(土)から9月6日(木)までです。

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【2018/06/12 19:32】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

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