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「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」 東京都美術館 その1
上野
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上野の東京都美術館では「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」が開かれています。
会期は4月7日(日)までです。
3月10日までの前期と12日からの後期で、かなりの展示替えがあります。

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江戸時代の奇想の画家とされる伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪を始め、
岩佐又兵衛、狩野山雪、白隠慧鶴、鈴木其一、歌川国芳という個性的な
画家の作品が勢揃いした、豪華な展覧会です。

作品の点数も多いので、2回に分けて、記事にします。
1回目は代表的な奇想の画家とされる、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪の
3人について書きます。

伊藤若冲(1716-1800)

伊藤若冲は卓越した技巧と多彩な作風により、近年極めて人気の高い画家です。

伊藤若冲 「雪中雄鶏図」 京都・細見美術館
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前期の展示です。
伊藤若冲の最初期の作品で、雄鶏は写実的に描かれています。
竹が節ごとに折れ曲がっているところや、尾を高く上げた姿など、
すでに若冲の個性が表れています。

伊藤若冲 「梔子雄鶏図」 個人蔵
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こちらも初期の作で、最近発見された作品です。

伊藤若冲 「海棠目白図」 京都・泉屋博古館
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部分
吉003

前期の展示です。
シデコブシと海棠(カイドウ)が描かれ、海棠にはメジロが目白押しに並んでいます。
コブシは木蓮の仲間で、白木蓮は玉蘭と呼ばれ、海棠の棠は堂に通じ、
これに富貴を表す牡丹を合わせると玉堂富貴という目出度い言葉となります。
一羽だけ、背を向けて離れて止まっているメジロが微笑ましくもあります。

伊藤若冲 「紫陽花双鶏図」 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション
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紫陽花の葉や花も濃密に描かれた力作です。

伊藤若冲 「旭日鳳凰図」 宝暦5年(1755) 宮内庁三の丸尚蔵館
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部分
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前期の展示です。
有名な「動植綵絵」を描き始める2年前の作品で、濃密な描き振りに圧倒されます。

伊藤若冲 「象と鯨図屏風」 寛政9年(1797) 滋賀・MIHO MUSEUM
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右隻
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左隻
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北陸の旧家にあった屏風で、龍虎図になぞらえ、黒と白を対照にした図柄です。
多くの釈迦涅槃図には、釈迦の死を嘆き悲しむ動物たちの中に鼻を上げて
泣き叫ぶ象の姿があり、若冲はその形を借りて、耳の丸い、ちょっと夢幻的で
可愛い姿の象にしています。
鯨は潮を吹く背中だけを見せて、水に隠れた巨体を想像させています。
波の重なりもリズミカルです。

伊藤若冲 「乗興舟」(部分) 明和4年(1767) 京都国立博物館
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会期中、場面替えがあります。
京都から大坂まで下る淀川の風景を墨で描いた版画絵巻です。
拓版画という、版木に紙を乗せ、たんぽに墨を含んで叩いて刷り出す、
拓本と同じ技法によっています。
墨の黒によって川沿いの林、家並み、橋、などの情景がゆったりと
大らかに広がっています。
画像は大倉集古館所蔵の作品です。


曽我蕭白(1730-1781)

曽我蕭白は独創的な画面構成や鮮やかな色彩で、奇想の画家として
近年人気の高い画家です。

曽我蕭白 「雪山童子図」 明和元年(1764)頃 三重・継松寺
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釈迦の前世の物語で、雪山で修行している時、帝釈天が姿を変えた鬼が唱える
無常偈の前半を聞き、鬼に喰われれば後半を教わることが出来るというので、
身を投げ出そうとしているところです。
赤と白の対比が鮮やかで、鬼の下半身の青は濃く、腕輪や足輪は金色に輝いています。
雪山童子の周りには細かい雪が降り、枝に掛けた衣には蓮の模様が描かれています。

曽我蕭白 「群仙図屏風」 明和元年(1764) 文化庁 重要文化財
右隻
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左隻
奇想img528 (7)
 
後期の展示です。
個性の強そうな仙人たちが集まって、ちょっと不気味な雰囲気です。
ガマを担いだ蝦蟇仙人や杖を突いた鉄拐仙人などが見えます。
団扇を持った女性は西王母のようです。

曽我蕭白 「群仙図屏風」 東京藝術大学
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後期の展示です。
水墨による群仙図で、着彩より穏やかな雰囲気です。
円形に曲げた腕は蕭白の作品に見られる形です。

曽我蕭白 「富士・三保松原図屏風」 宝暦12年(1762)頃 滋賀・MIHO MUSEUM
前期の展示です。
六曲一双の屏風で、富士山は様式的な三峰型でも写実的でも無く、
勢いのある斬新な描き振りです。

曽我蕭白については今まで、ちょっとどぎつい画家という印象を持っていましたが、
この展覧会で蕭白の画力に改めて感心しました。


長沢芦雪(1754-1799)

長沢芦雪は円山応挙の弟子で、師の応挙の謹直な画風に対し、
奔放なところが対照的です。

長沢芦雪 「群猿図襖絵」(部分) 4面 
 寛政7年(1795) 兵庫・大乗寺 重要文化財
 
奇想img528 (3)

部分
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大乗寺の住職が若い頃の応挙を支援したお礼に、応挙は弟子たちを率いて
大乗寺に赴き、襖絵や屏風絵を描いており、その内、165面は重要文化財に
指定されています。 
空間を活かした画面で、猿たちが思い思いに集っていて、人間に似た表情を
しているのが微笑ましいところです。

長沢芦雪 「龍図襖」(部分) 8面 島根・西光寺 
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勢いのある筆遣いで、雲から現れる龍を描き出しています。

長沢芦雪 「白象黒牛図屏風」 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション
右隻
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左隻
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部分
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白い象と黒い牛の対比で、象には黒いカラスが止まり、牛の横には白い子犬が
座っています。
象と牛は画面に一杯に広がって、迫力とユーモアがあります。
可愛い子犬は師の応挙譲りです。
同じ図柄の屏風は2018年に三井記念美術館で開かれた「国宝 雪松図と
動物アート」展でも展示されていました。

展覧会のHPです。


【2019/02/16 17:15】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「画業40年 千住博展―荘厳と格調・21世紀の日本画」 日本橋三越本店
三越前
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日本橋三越本店本館7階催物会場では「画業40年 千住博展―荘厳と格調・
21世紀の日本画」が開かれています。
会期は2月19日(火)まで、入場料は一般800円です。

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ニューヨークを拠点に制作活動を続けている、千住博さん(1958~)の
画業40年を記念しての展覧会です。

「ウォーターフォール」や「断崖図」のシリーズを中心にした展示で、
「四季屏風・春、夏、秋、冬」4面も展示されています。

「ウォーターフォール」 2004年 軽井沢千住博美術館
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絵具を上から下へ流すという、斬新な技法で有名です。

「ウォーターフォール」 2011年 軽井沢千住博美術館
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「断崖図 #11」 2012年 軽井沢千住博美術館
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崖の岩や樹木をほぼ一色で細密に描いています。

「四季屏風・春」(部分) 2010年 個人蔵
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福島県の三春桜に取材しています。
覆いかぶさる夜桜を、下から見上げた視線で捉えています。
黒々とした夜空の中紅く細かい点をびっしり重ねた桜は
伝統的な日本画とは異なる凄みがあります。

「夏」は奥入瀬渓流を取材して描いたところ、東日本大震災が起こり、
その濁流を想起してしまうため、完成作を廃棄して描き直したそうです。

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本館1階では2月19日(火)まで、日本画家の西嶋豊彦さん(1966~)が
自ら漉いた和紙で制作した、「白孔雀」が展示されています。

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時々、大きな羽根をゆるやかに開いたり閉じたりします。

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【2019/02/14 19:34】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「丸猫展」 丸善丸の内本店
東京
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丸善丸の内本店では2月26日(火)まで「丸猫展」が開かれています。

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4階ギャラリーAでは「招き猫傑作展」が開かれています。
会期は2月19日(火)までです。

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12名の作家による招き猫たちの展示販売で、伝統的な招き猫から
猫パンチを繰り出しているような猫まで、さまざまなスタイルの猫が
お客さんを呼んでいます。

出展作家は以下の通りです。

天野千恵美、岡村洋子、岡山富男、小澤康麿、櫻井魔己子、蝉丸、
西岡良和、東早苗、東直生、水谷満、もりわじん、渡辺志野


ギャラリーBでは「ダヤンアートフェア&版画」が開かれています。
会期は同じく2月19日(火)までです。

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池田あきこさんの創作ファンタジー「わちふぃーるど」の主人公、
猫のダヤンの版画やグッズが展示販売されています。
2月16日(土)午後1時からは池田あきこさんのサイン会が開かれます。


4階ギャラリーでは2月20日(水)から26日(火)が「Catアートフェスタ」が開かれます。
18名の猫アーティストの作品が展示されます。

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猫の絵や人形、猫グッズでいっぱいの展示室です。



【2019/02/13 19:49】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」展 六本木 サントリー美術館
六本木・乃木坂
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六本木のサントリー美術館では、「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」展が
開かれています。
3月31日(日)まで、休館日は火曜日です。
会期中、細かい展示替えがあるので、展覧会のHPで確認してください。

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河鍋暁斎(かわなべきょうさい)(1831-1889)は幕末から明治にかけての絵師で、
はじめ歌川国芳に弟子入りし、その後狩野派に学び、後にさまざまな画法も手掛けて、
多彩な画業を展開しています。

第1章 暁斎、ここにあり!

河鍋暁斎を代表する作品の展示です。

「枯木寒鴉図」 明治14年(1881) 榮太樓總本鋪
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2月18日までの展示です。
第2回内国勧業博覧会で事実上の最高賞である妙技2等賞牌を受賞した作品です。
水墨画で、これにより戯画や風刺画の画家と思われていた河鍋暁斎の正統派の
画家としての評価は一気に高まったということですが、50歳頃のことですから、
画業としてはかなり遅い時期です。

「花鳥図」 明治14年(1881) 東京国立博物館
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3月4日までの展示です。
こちらも第2回内国勧業博覧会に出展された作品です。
華やかで細密な花鳥画ですが、雉に蛇が絡みつき、それを鷹が狙っているという、
凄味のある画面です。

「観世音菩薩像」 明治12年(1879)または18年(1885)以降 
 日本浮世絵博物館

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3月4日までの展示です。
細密な筆遣いで、楊柳観音と善財童子を描いていて、衣の透ける様子も
表されています。
暁斎は観音像をよく描いており、晩年には1日1枚観音を描くという
日課観音を励行しています。

「文読む美人図」 明治21年(1888)頃 河鍋暁斎記念美術館
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3月6日からの展示です。
江戸初期の風俗の女性が衝立にもたれて何か読んでいます。
紐のような細い帯を締め、左手を懐に入れて、大きな鶏の模様を見せています。
髪は立兵庫のようですが、輪が二つあります。


第2章 狩野派絵師として

暁斎は天保8年(1837)に歌川国芳に入門しますが、すぐ後の天保11年(1840)に
狩野派に入門しています。
国芳の弟子時代には、拾った生首を写生したという豪胆な逸話も残っています。
狩野派との関係は晩年まで続いており、当時の正統な画流を継いでいたことを
示しています。

「毘沙門天之図」(部分) 嘉永元年(1848) 河鍋暁斎記念美術館
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3月4日までの展示です。
駿河台狩野家の狩野洞白陳信に弟子入りした、10代の頃の絵で、現存する暁斎の
作品の中では最も早い時期のものです。
暁斎は狩野洞白の元では極めて優秀な門人だったということです。


第3章  古画に学ぶ

暁斎は中国絵画、狩野派、土佐派、丸山派、浮世絵など、さまざまな作品を模写しています。
暁斎が学んだ作品も展示されています。

「鳥獣戯画 猫又と狸」 明治時代 河鍋暁斎記念美術館
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3月6日からの展示です。
赤い着物の猫、花飾りを付けた狸に、モグラ、イタチが一緒になって踊っています。
下絵なのか、猫の部分は紙を継ぎ足してあります。
猫又は山中に住む、猫のような妖怪、あるいは年を経た猫が化けた妖怪のことで、
徒然草にも登場しています。

「風神雷神図」 明治4年(1871)以降 株式会社虎屋
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3月6日からの展示です。
狩野派の伝統に基いた水墨画です。
風神と一緒に柳が描かれているのは、柳に風ということわざを示しているのでしょうか。

「美人観蛙戯図」 明治前半 河鍋暁斎記念美術館
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3月6日からの展示です。
夏の風情の絵で、縁側で団扇を手にした女性が蛙の相撲を眺めています。
控えの蛙たちは腕組みしたり、寝そべったり、煙管をくわえたり、鳥獣戯画を思わせます。
女性の顔は様式的な美人画とは異なり、ニュアンスのある表情をしています。

「虎図」 19世紀 東京・正行院
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全期間の展示です。
正行院は台東区谷中にある、暁斎の墓のあるお寺です。
暁斎が1か月半、こちらに逗留したお礼に描いたものと言われています。


第4章  戯れを描く、戯れに描く

暁斎は戯画や酒席などで即興で描く席画でも知られています。
明治3年(1870)には政治風刺の戯画による筆禍事件を起こして牢に入れられたため、
翌年にはそれまで名乗っていた「狂斎」を「暁斎」に改めています。

「風流蛙大合戦之図」(部分) 元治元年(1864) 河鍋暁斎記念美術館
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全期間の展示です。
元治元年の第一次長州征伐を蛙合戦(かわずがっせん)に見立てた、
大判3枚続きの浮世絵です。
蛙はメスを争って大勢のオスが争う蛙合戦を繰り広げることで知られています。
右の六葉葵紋の旗を立てた徳川勢が、左の沢潟紋の長州勢を水鉄砲で攻撃しています。
実際の第一次長州征伐では戦闘は行われていません。

「名鏡倭魂 新板」 明治7年(1874) イスラエル・ゴールドマン・コレクション
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全期間の展示です。
中教院(神道の国教化を目的として教部省が設置した大教院の県別組織)の
依頼で描いています。
刀工の栗原謙司信秀が鍛え、研ぎ師の本阿弥平十郎成重が磨いた
名鏡の輝きが悪魔外道を退治しているところです。
百鬼夜行図のような絵で、追われている者にはキリスト教を表すと思われる
洋服を着た鳥もいますが、卍模様の着物の者もいます。
卍は仏教の象徴ですから、大教院は仏教とは合わなかったようです。

「貧乏神図」 イスラエル・ゴールドマン・コレクション
全期間の展示です。
ぼろを着て破れ団扇を腰に差した痩せこけた貧乏神が立っていて、足元には注連縄が
輪を作ってあり、貧乏神が出て来られないようにしています。
軸装も違う布を継ぎはぎしていて、貧乏気分を出しています。


第5章  聖俗/美醜の境界線

暁斎は聖と俗、美と醜の織り成す妖しい世界をよく描いています。

「地獄太夫と一休」 絹本着彩 1871-89年 
 イスラエル・ゴールドマン・コレクション

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全期間の展示です。
地獄太夫は室町時代の遊女で、山賊にかどわかされて堺に遊女として
売られますが、現世の不幸は前世の行ないの故であるとして、
着物には地獄変相図を刺繍していたそうです。
一休宗純とも親交があったということで、三味線を鳴らす骸骨の上で
一休が踊っています。
打掛には地獄変相図ではなく、七福神や珊瑚、寿の文字、帯には
遊ぶ唐子と布袋様が描かれています。
絵の場面は山東京伝の「本朝酔菩提全伝」に拠っています。
客の一休が僧であるのに酒を飲み、魚を食べるので、地獄太夫はいぶかしく思い、
座敷を出て中を窺うと、一休は骸骨の姿をした芸妓たちと一緒に踊っていたと
いうことです。
暁斎は地獄太夫の絵をよく描いています。

「暁斎楽画第九号 地獄太夫がいこつの遊戯ヲゆめに見る図」 
 明治7年(1874) 河鍋暁斎記念美術館

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骸骨たちが乱痴気騒ぎを繰り広げる中で、赤い法衣をまとった地獄太夫は
深く瞑想しているようです。
達磨が面壁九年で悟りを開いたのなら、10年の年季を勤めなければ
ならない遊女はもっと深い悟りを得る筈だ、という意味があるそうです。

「閻魔・奪衣婆図」 明治12~22年(1879~89) 林原美術館
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3月6日からの展示です。
遊女が閻魔大王を踏み台にして、短冊を枝を掛けています。
若衆は奪衣婆(だつえば)の白髪を抜いているのでしょうか。
奪衣婆は三途の川で亡者の衣服を剥ぎ取る鬼で、閻魔大王の妻ともされています。


第6章 珠玉の名品

小さな画帖の展示で、会期中、場面替えがあります。

『「風俗鳥獣戯画帖」のうち「髑髏と蜥蜴」』 
 明治2~3年(1869~70) 個人蔵

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全期間の展示で、期間中に場面替えがあります。


第7章 暁斎をめぐるネットワーク

お雇い外国人として来日し、鹿鳴館や三菱一号館などを設計したジョサイア・コンドル
(1852-1920)は日本文化への関心が深く、河鍋暁斎に弟子入りして絵画を学び、
暁斎の臨終も見届けています。
そのコンドルの旧蔵品や、暁斎にゆかりの場所に伝わった作品の展示です。

「野見宿禰と当麻蹶速図」 明治7年(1874) 東京・湯島天満宮
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大きな絵馬で、全期間の展示です。
奉納者は湯島三組街地主・店中と書かれています。
野見宿禰(のみのすくね)は日本書紀に出てくる人物で、当麻蹶速(たいまのけはや)と
相撲を取り、踏み殺して勝っています。
土師氏の祖先とされ、土師氏より出た菅原氏の一族に菅原道真がいることから、
菅原道真を祀る天満宮とも縁の深い人物です。

「半身達磨」 1885年 イスラエル・ゴールドマン・コレクション
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全期間の展示です。
ジョサイア・コンドルの旧蔵です。
ロンドンのオークションで、55ポンドで落札したということです。
大胆な筆遣いの衣の表現と、毛の一本一本までていねいに描き込む
細密さが一体となった、暁斎の技量の高さを示す作品です。
暁斎は仏画も多く手掛け、晩年は毎日、観音を描いていたそうです。

『河竹黙阿弥作 「漂流奇譚西洋劇」 パリス劇場表掛りの場』 
 明治12年(1879) がす資料館

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3月4日までの展示です。
新富座の興行の宣伝に描かれていて、後ろから光を当てて、画面を浮き上がらせる
行灯絵になっています。
「漂流奇譚西洋劇」は漂流民の親子が西洋を巡るというお話で、
背景はパリのオペラ座、人物はアメリカ総領事夫妻とのことです。
ガス灯が描かれていて、がす資料館の所蔵です。

「暁斎画談 外篇」 瓜生政和著、河鍋暁斎画 明治20年(1887) 
 河鍋暁斎記念美術館

全4冊の版本で、暁斎の学んだ各流派の絵が手本として描かれています。
開かれているページには筆禍事件を起こして牢に入れられた時の様子が
描かれています。
暁斎は奔放に描いていた画家のように思われがちですが、写生を怠らず、
狩野派を始め、多くの流派の作品を真剣に学んでいたことを示しています。
格子の中の狭い空間に大勢が押し込められていて、劣悪な環境だったことが分かります。

「暁斎絵日記」 河鍋暁斎記念美術館・大東急記念文庫
暁斎は絵日記を書き続けていて、日々の出来事や交友の様子をこまめに記しています。
探検家の松浦武四郎は暁斎に自分の涅槃図を依頼しますが、自分の好きな物も
描かせようと、あれこれ持ち込んで来るので、筆が進まず、完成するのに5年も
掛かったそうです。
出来上がりが遅いので、武四郎が嫌味を言っている様子も描かれています。
松浦武四郎の涅槃図は現在、重要文化財に指定されています。


河鍋暁斎は最近人気のある画家で、何回か展覧会が開かれています。
この展覧会も初めて観る作品が多く、暁斎の幅広い画業を知り、その魅力を
存分に味わえる展覧会です。

2015年に三菱一号館美術館では「画鬼・暁斎―KYOSAI 幕末明治のスター絵師と
弟子コンドル」展が開かれていました。

「画鬼・暁斎」展の記事です。

「画鬼・暁斎」展のブロガー内覧会の記事です。

2017年にBunkamuraザ・ミュージアムでは、ゴールドマン コレクション、「これぞ暁斎!
世界が認めたその画力」展が開かれていました。

「これぞ暁斎!」展の記事です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「左脳と右脳で楽しむ日本の美」展です。
会期は4月27日(土)から6月2日(日)までです。


【2019/02/12 20:29】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「天の花 五木玲子展」 丸善丸の内本店
東京
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丸善丸の内本店4階ギャラリーでは「天の花 五木玲子展」が開かれています。
会期は2月12日(火)までです。

五木玲子さん(1934~)は金沢市出身で、父は衆議院議員、金沢市長だった岡良一、
夫は小説家の五木寛之さんです。
早稲田大学文学部及び東邦大学医学部を卒業し、53歳で初めてカルチャーセンターで
裸婦を描いたということです。
その後、パステル画やリトグラフを手掛け、五木寛之さんの著書などの装画も描いています。
展覧会では初期から近作までの装画の原画やリトグラフなど、約70点が展示されています。

「森に聴く」 リトグラフ 2003年
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「綿の木 II」 銅版画 2018年
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描かれるのは植物で、生命の強さと儚さ、妖しさが表れています。


【2019/02/09 19:17】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

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