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「植物化石展 5億年の記憶」 京橋 INAXギャラリー1
京橋
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京橋のINAXギャラリー1では、「植物化石展 5億年の記憶」が開かれています。
会期は8月21日までです。
場所は中央区京橋3-6-18です。
その後、INAXギャラリー大阪に巡回します。

化石7-24-2010_006


石炭紀、ジュラ紀、白亜紀など、昔習ったけれど、どちらが昔か忘れてしまった
古い地層に埋もれた、いろいろの植物の化石が展示されています。

画像の植物は、「サピンドプシス」といって、レバノンで発見された白亜紀後期の
化石で、葉が3つに分かれています。
白亜紀後期だと、トリケラトプスやティラノサウルスのいた時代のようです。

小さな花の化石や、両生類と一緒になった化石もあります。

丸太のように太く、種類の分からない植物の化石は、正しく石のように固いですが、
きれいに磨かれた断面には茎が束になった様子が見えます。

化石という、何も言わない物体は、観ていると様々のことを語っているようにも
思えてきます。


同時に、植物学者の三木茂の業績についても展示されています。

三木茂(1901~74)は、南方熊楠や牧野富太郎と並ぶ植物学者で、水草などの
研究から古代植物の研究へと進み、化石の研究からメタセコイヤ属を発見した
とのことです。
その後、中国で現世種が発見され、保存会の手で、日本各地に植樹されていて、
新宿御苑にも大木に育っているそうです。
三木茂は何か見つけると背広のままで水中に入り、大雨が降ると「西に行く」
「東に行く」と言って、汽車に乗って全国に行き、土砂崩れの現場で化石の
調査をしたそうです。
「自分のやっている水草や古代植物の研究は、普段の生活とは関係が無いかも
知れない。しかし、科学は低い所があると全体の進歩が阻まれる」という言葉を
遺しています。


7階のINAX:GINZAでは8月6日まで、「タイルに咲いた憧れの花・バラ
19世紀ヴィクトリアンスタイルから」展が開かれています。
7月31日(土)、8月1日(日)は休館日です。

化石7-24-2010_001


19世紀イギリスの、産業革命で富を得た中産階級の人たちが郊外に家を建てる
ようになり、装飾タイルが普及します。
その時、田園生活への憧れからバラがモティーフがよく選ばれたとのことです。

デザインは、自然主義、ゴシック・リバイバル、アール・ヌーヴォーなどの
影響を受けているとのことです。
イギリス人の園芸好きを示してくれるタイルです。

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【2010/07/31 01:24】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
喫茶店「DEN」 鶯谷
鶯谷
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鶯谷の喫茶店「DEN」に行ってきました。

鶯谷駅を出て、言問通りの鶯谷駅下交差点を渡った所にある道を
入った左にあります。
場所は台東区根岸3-3-18です。

DEN0062.jpg


20席ほどの、昔からの小さなお店です。

BGMはオールディーズでした。

DEN0048.jpg


こちらは、30年ほど前からのメニューという、タテかヨコか
分からない厚さのパンにグラタンの入ったグラパンが名物ですが、
今日は遠慮してモーニングセット500円にしました。

DEN0052.jpg

厚さ4cmほどもあるトーストと殻付きゆで卵に、たっぷりジャムが
添えられています。
コーヒーは濃い目の味です。

コーヒー単品は400円です。

開店してしばらくすると、常連のお客さんがつぎつぎ入ってきます。

愛想の良いマスターに、お休みはいつか訊くと、無休ということです。
休みの日を作りたくてもなかなか出来ないそうです。
やはりきっちり休みは取った方が良いと、私も常連さんと一緒になって
言いました。


「お知らせ」
7月27日の「高橋行雄 猫の絵画展」の記事に、8月の高橋さんの展覧会の
予定を追加しました。



【2010/07/30 07:46】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
第4回 夏の会展 銀座日動画廊
銀座
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銀座の日動画廊で8月5日(木)まで、「第4回 夏の会展」が開かれています。

夏の会は、日動画廊の主催する昭和会展の受賞作家の中の、中堅、若手の
具象系画家による企画展です。

出展作家は以下の17名です。

伊東賢、今井充俊、小木曽誠、角谷心平、柏本龍太、木津文哉、久保輝秋、
坂田哲也、西房浩二、福田建之、堀晃、百瀬智宏、柳田昭、山本桂右、
山本大貴、山本雄三、吉川龍

伊東賢 「アカデミア橋」
ヴェネツィアのアカデミア橋を運河から見上げたところです。
水面は明るく青く、くっきりした光景です。

今井充俊 「ときの在処」
夏7-28-2010_002

時の経過を感じさせる画面で、かすれた風合いに味わいがあります。
赤と緑の補色の対比が印象的です。

小木曽誠 「トブロヴニク」
クロアチアの古い港町の、イタリア風の白壁と赤い屋根の家並みです。
さらりとした色遣いですが、線描を使い、近景も遠景も同じように
くっきりと描いています。

角谷心平 「パリの道」
夕暮れの光景なのか、簡略化された画面で、歩く人の姿もシルエットに
なっています。
本人がおられたので訊いたところ、光の具合を絵に表したかったとのことです。
角谷さんは今回の出展作家の中では一番若いそうです。

柏本龍太 「innocence」
夏7-28-2010_003

茶色を基調にした、抑えた色彩による人物像です。
静かな雰囲気の中に、若さが表れています。

木津文哉 「GREEN TRAIN」
古びた電車の玩具です。
はげたペンキや錆まで細密に描いています。

久保輝秋 「漂流」
砂浜の板切れにガラスの浮き、貝殻、ビー玉などが載っています。
からりと乾いた画面で、板そのものに描いた作品もあります。

坂田哲也 「ノルマンディー・夏の夕暮れ」
船着場に、ボートや帆を付けた小舟が2、3艘浮かんでいます。
坂田哲也さんは幻想的な絵を描きますが、この作品は古典画のような
穏やかな画面です。

西房浩二 「潮満ちる港・Camaret」
浜に引き上げられた廃船が並び、大きく広がった空に雲が浮かんでいます。
Camaretはブルターニュ半島の小さな港町です。

福田建之 「春のブルゴーニュ」
小さな花の咲く並木の間を運河が流れ、向こうに村の家が見えます。
ややクリーム色がかった、穏やかな色彩です。

堀晃 「南風」
屹立した岩と、その上に輝く、赤い太陽です。
単純化された、力強い画面です。
日本橋三越では27日まで、堀晃さんの個展が開かれていました。
その時、不思議に思ったのですが、多くの絵に小さな水滴のようなものが
描き込まれていていました。
こちらの画廊の方に訊いたところ、堀さんは元々、水中の景色を
描いていて、その記憶として水滴を今も描き入れているそうです。
「堀晃展」の記事です。

百瀬智宏 「サンデーピクニック」
夏7-28-2010_001

細密な描写で、イギリスでしょうか、石垣や石造りの家を描いています。
うす曇の日の淡い光に包まれています。

柳田昭 「静映(マルセイユ)」
港に並ぶヨットの帆柱が水に映っています。
空も船も水も、灰色と白色中心の渋い色彩に抑えた、禁欲的な画面です。

山本桂右 「浄瑠璃寺九体阿弥陀堂夜景」
細密な描き方で、浄瑠璃寺の金色の阿弥陀仏が前庭の池に映っています。
周りの景色は、月に照らされたような灰色にまとまっています。
日本画のような雰囲気です。

山本大貴  「Sept Couleurs」
フランス語で七色、虹の意味です。
暗めの背景を前に、赤や白、黄色などさまざまな色の盛りのバラが、
四角い、がっしりした花瓶に活けてあります。
色彩も濃く、重厚です。
花瓶にはひびが入り、赤い花びらが一枚落ちていて、時の移ろいを
予感させます。

山本雄三 「虚ろな眼差し」
母親の乳を吸う幼児の姿です。
とろんとした顔に光と焦点を当てています。
山本さんは日常の情景を題材にしています。

吉川龍 「水面ゆく」
水郷を行く舟を緑と白のパターンで描いています。
写真に彩色したような画面で、反射する光や、光とシルエットの対比の
面白さを強調しています。
画像が展覧会のHPに載っています。

題材としては、フランスなどのヨーロッパ、海、港が多いようです。
季節柄、恰好の素材なのでしょう。

展覧会のHPです。


【2010/07/29 20:41】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
甦る江戸川乱歩の世界展 東武百貨店池袋店
池袋
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東武百貨店池袋店6階の美術画廊で「甦る江戸川乱歩の世界展」が開かれています。
会期は8月4日(水)までです。

乱歩7-25-2010_001


この展覧会は、池袋西口の43ヶ所の会場で8月4日まで開かれている
「第5回 新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」の1つです。
池袋西口周辺には昭和の初めから戦後にかけて、多くの芸術家が住み、
池袋モンパルナスと呼ばれていたことに因む催しです。

江戸川乱歩(1894~1965)は40回ほど引越しを繰り返した後、最後に池袋の
立教学院の横に30年住み、そこで多くの作品を執筆しています。

この展覧会では少年探偵団シリーズを中心に、立教大学の保管している
江戸川乱歩の資料と、彼に関係するアーティストの作品が展示されています。

出品作家は以下の人たちです。
横尾忠則(美術家)、多賀新(銅版画家)、丸尾末広(漫画家・イラストレーター)
石塚公昭(写真家・人形作家)、藤田新策(イラストレーター)、
山田貴敏(漫画家)、橘小夢(画家) です。

どれも、江戸川乱歩の怪しく、わくわくする世界をよく表しています。

少年探偵団かるたや双六、藤子不二雄が1959年に描いた怪人二十面相の
マンガ物語も展示されています。

江戸川乱歩が色紙によく書いた言葉です。

  うつし世はゆめ よるの夢こそまこと

「第5回 新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」のパンフレットです。

乱歩7-25-2010_002


【2010/07/29 06:31】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
神保町 サロンド冨山房 FOLIO
神保町
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「サロンド冨山房 FOLIO」は神保町のすずらん通り、三省堂書店の隣、
冨山房ビルの地下にあります。
場所は千代田区神田神保町1-3です。

冨0001


冨山房(ふざんぼう)は歴史のある出版社で、辞書の「大言海」の出版元
ですが、現在は児童書を多く出しています。

平日の朝10時から午後5時までしか開いていないので、なかなか行く
機会がありません。
四角く広い店内は約60席、木の床や椅子の木調で、適度に古びています。
分煙になっていて、お客さんも禁煙側に10人ほど、喫煙側に2.3人と、
お店の両端に分離して、中間がきれいに空いていました。

冨0007


店名の「 FOLIO」の意味は、お店のHPによれば製本用語で、二つ折りの
紙を集めて綴じることを言います。
聞こえてくる会話も、いかにも神保町的で、編集関係らしいのですが、
サイトやブログといった言葉も混じっています。

BGMはクラシックのピアノ曲が小さくかかっていました。

フォリオブレンドの酸味450円を注文しました。

冨0011

カップはブルーダニューブのブルーオニオン柄です。
その都度挽いて淹れるコーヒーはたっぷりあって、やや薄味です。

広さも心地良い、気楽にくつろげるお店です。

お店のHPです。


【2010/07/28 07:16】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「高橋行雄 猫の絵画展」 大丸東京店
東京
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大丸東京店アートギャラリーでは7月27日(火)まで「高橋行雄 猫の絵画展」が
開かれています。

高橋行雄さん(1946~)は鉛筆で猫の絵を描く画家です。
1976年に猫の絵がパリで評判となり、以来、猫の絵を描き続けておられる
とのことです。
23年間飼っていたという、黒猫の「MINK」をはじめ、さまざまの猫が
活き活きと描かれています。
ていねいな鉛筆描きで、つややかな毛並みの感触まで表されています。
黒猫は描きにくいと思いますが、立体感が良く出ています。

「夢殿」
高橋7-23-2010_001

寝ていた身を起こし、耳を立て、何かを見つめている瞬間を捉えています。
画廊の方によれば、風格のある猫なので、「夢」という名前に「殿」が付いた
のではないか、とのことでした。

高橋さんの個展が8月8日から14日まで、銀座の「ギャラリー青羅」で開かれます。
「ギャラリー青羅」のHPです。


【2010/07/27 05:36】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(6) |
堀晃展 日本橋三越本店
三越前
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日本橋三越本店画廊では「堀晃展 …空を渡ってゆくモノは、」展が
開かれています。
会期は7月27日(火)までです。

堀晃さん(1952~)は山口県の出身で、生地の豊浦と奄美大島にアトリエを持ち、
おもに海を題材にした作品を描いています。

海、夕焼け空、島影、月など、大きな景色を簡略化された構図に表しています。
一匹の魚を描いた絵にも鋭さがあります。
画面から精神的な何かを感じる作品です。

「波と月」 10号
堀7-24-2010_005

夜の海に浮かぶ満月です。
波は月に照らされ、海の色は徐々に色を変えて、空に溶け込んでいきます。
広く静かで、幻想的な世界です。


【2010/07/27 01:14】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
喫茶室「ブルーマウンテン」 横浜そごう
横浜
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喫茶室の「ブルーマウンテン」は横浜そごう5階にあります。
そごう美術館で開かれている、「没後25年 鴨居玲 終わらない旅」展に
行った帰りに寄りました。

「鴨居玲展」の記事はこちらです。

ブ0284

茶色系で統一された店内は30席ほどで、全席禁煙です。
壁には外国の街角の写真が飾ってあります。
北欧家具のスワンチェアは、体がすっぽり入って、良い座り心地です。
BGMはジャズでした。

名前の通り、コーヒーはブルーマウンテン中心で、棚にはジャマイカの
小旗も置いてあります。

スタンダードロースト、ユーロピアンローストは840円です。

ブ0286

スタンダードローストはすっきりした味で美味しいです。
クッキーも付いています。
カップはウエッジウッドです。

お隣の人の注文したケーキセット1155円のカップは、チューリップの
形をしたマイセンでした。

デパートの中ですが、静かで落着いた、雰囲気の良いお店です。


【2010/07/26 06:46】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「没後25年 鴨居玲 終わらない旅」展 横浜 そごう美術館
横浜
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横浜のそごう美術館では、「没後25年 鴨居玲 終わらない旅」展が
開かれています。
会期は8月31日までです。

鴨7-20-2010_001


初期から57歳で亡くなるまでの油彩とデッサン、約80点が展示されています。

鴨居玲(1928~1985)は金沢市出身で、1946年に金沢美術工芸専門学校
(現在の金沢美術工芸大学)に入学し、宮本三郎に師事しています。
初期の作品は、確かなデッサン力を基にした、穏やかな画風です。

評価も上がっていきますが、絵具が乾くまで待ってから塗り重ねていく
油絵の技法が体質に合わなかったりして、1950年代後半からの10年間は
油絵から離れたこともあるそうです。
その間、南米、パリ、ローマを放浪しています。

「静止した刻」 1968年
鴨7-20-2010_007

帰国後に描いたこの作品で安井賞を受賞します。
4人の男の間で振られたサイコロが、宙に浮いています。
見つめる男たちは、サルに似ていて、おどろおどろしさが漂います。
子供の頃、駅で別れのあいさつも終わり、発車のベルも鳴ったのに、
列車が動き出さないバツの悪い数秒間を経験して、束の間に人の見せる
表情を描きたくなったとのことです。
このエピソードは、鴨居玲のシャイな性格をよく表しています。

「ボリビア・インディオの娘」 1970年
鴨7-20-2010_009

ボリビア滞在時代の思い出を元にしていますが、少女の顔ではなく、
目も描かれていません。
鴨居玲は、視点を定めると表情が一つになって面白くないので、
仏像のように焦点を定めずに描きたい、と言っています。

鴨居玲は1971年に、スペインのバルデペーニャスにアトリエを置き、
74年まで滞在しています。
ここで、酔っ払いや老人、手足の無い廃兵をテーマにした、鴨居玲の
世界が生まれます。
人間の内面をえぐるような描写、演劇的な雰囲気はゴヤなどの
スペイン絵画を思い出します。

「おっかさん」 1973年
鴨7-20-2010_004

鴨居玲のよく描く酔っ払いと、叱り付ける母親です。
「いい年をしてこのざまは何だい!」と言っているのが聞こえるようです。
ピエロのような赤い鼻をした息子は、親の話を聞いているようには見えません。

「私の話を聞いてくれ」 1973年
鴨7-20-2010_002

体を屈め、声を絞り出して、必死に何かを訴えている老人です。
拳を振って話しているのを示すかのように、腕や手の下描きの線を
残したままです。
鴨居玲はアトリエで描く時、自分自身がモデルの姿勢になり、
鏡を見て描いていたそうです。
どの作品も自画像になる訳で、この絵の老人の姿勢をした写真も
展示されています。

「私の村の酔っ払い(虫歯)」 1973年
頬を氷で冷やしているのか、顔を布で巻いた酔っ払いが情けない顔をしています。
鴨居玲自身も布を顔に巻いてキャンバスに向かっている写真もあります。

「石(教会)」 1974年
鴨7-20-2010_008

教会をテーマにした作品も幾つか描いています。
スペインという、非常にキリスト教の影響の強い国に居て、何故自分は無宗教
なのかという自問から始まっているとのことです。
マグリットの絵に似ていますが、ここに描いてあるのは具体的な建物ではなく、
抽象的な「教会」という存在のようです。

「食事」 1976年
独りでスープの椀をかかえて飲む老人の姿です。
表情は見えず、テーブルには他に何もありません。
高山辰雄も子供をモデルにして、同じテーマを描いています。

「芥川龍之介[蜘蛛の糸]より」 1978~79年
鴨7-20-2010_003

真っ直ぐに伸びた白い糸に群がる人々が、釣上げられたように
盛り上がっています。
壮大な群集劇を観るような迫力です。
救いへの僅かな望みが絶望に変わる直前の光景です。

「1982年 私」 1982年
鴨7-20-2010_005

鴨居玲の代表作、それも悲痛な代表作です。
自分の描いてきた酔っ払い、廃兵、老人、宝くじ売り、楽士、老婆、裸婦たちが
取り囲む中、何も描いてないキャンバスの前で茫然として座っています。
制作に行き詰った画家の顔は虚ろです。
作品の前に置いてあるベンチに腰かけて観ていると、白いキャンバスが
目に痛々しく映ってきます。

「酔って候」 1984年
パンフレットに使われている作品です。
酒瓶を手に、折れた煙草をくわえ、背中を反らして何とか体を支えている、
酔っ払いの老人です。
「酔って候」は、幕末の土佐の大名、山内容堂を題材にした司馬遼太郎の
小説の題名でもあります。
鴨居玲は司馬遼太郎と親交があったとのことです。
山内容堂は幕末の政治に力を振るおうと意気込んだものの、下級武士たちの
過激な討幕運動から置いてけぼりにされ、酒びたりになって憂さを晴らし、
命を縮めたといいます。
殿様と名も無い老人では比べ物になりませんが、自分の居場所の無いところは
同じです。

「勲章」 1985年
鴨7-20-2010_006

亡くなった年の作品です。
胸にビールか何かの王冠を勲章代わりに着けた男は、自画像のように見えます。
鴨居玲自身は長身で美男ですが、この絵の男の表情はどこか寂しそうです。
先日、「シャガール展」で観た、晩年のシャガールの作品に、故郷の
ヴィテブスクの町に墜落するイカルスを描いた絵がありました。
二つの作品とも、世間的な評価と、それに違和感を持つ画家の気持ちを
表しているようにも思えます。

鴨居玲は57歳で、自殺未遂を繰り返した後、排ガス自殺を遂げています。
いたましいことを、と思いながら作品を観ていると、「酔って候」という
言葉が心に残ります。


 




【2010/07/25 20:17】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「榎木孝明 水彩紀行~日本橋を描く」展 日本橋三越本店
三越前
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日本橋三越本店7階ギャラリーでは、「榎木孝明 水彩紀行~日本橋を描く」展が
開かれています。
会期は7月26日(月)までです。

榎木孝明さん(1956~)は俳優としての活躍の一方で、世界や日本各地の風景を
水彩で描いています。

水彩の特色を活かして、明るく、瑞々しい描き振りです。
この展覧会に合わせて、日本橋界隈を描いた作品も展示されています。

『「新名所」吾妻橋』
榎木7-24-2010_008

夕焼け空の下、夕陽がアサヒビールの本社ビルに当たって、
ガラスの壁面が金色に輝いている瞬間です。

『「近代日本の夜明け」東京駅』
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この作品は今回は展示されていません。
冬の東京駅です。
軽い筆さばきの中に力強さがあります。


【2010/07/25 00:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
喫茶店「アロマ」 浅草
浅草
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喫茶店「アロマ」は浅草ROXの2つ南側の路地を入った所にあります。
場所は台東区浅草1-24-5です。

浅草らしいポスターも貼ってあります。

ア0057


キッチンを囲むカウンターが15席あるだけの、小さな昔からのお店です。

そのキッチンの中で忙しく働いている、ネクタイ、チョッキ姿のマスターは
愛想が良くて、とても話好きです。

コーヒー330円と、評判のオニオントースト260円です。

ア0063


先ず、分厚いカップをお客さんの前に置いてから、ポットのコーヒーを
注いでくれます。
オニオントーストは、生のオニオンスライスとピクルスを挟んでトースト
してあります。
小ぶりですが、なかなか乙な味です。

トーストは100円です。
ゆで卵がカウンターの篭に入っていて、60円とあります。

テレビが点いていて、常連さんがマスターと一緒になって、番組内容に
ついてコメントを交換したり、ほおずき市の人出について話していました。


【2010/07/24 06:00】 お店 | トラックバック(1) | コメント(0) |
「森田正孝展~パリから有明へ~」 銀座の日動画廊
銀座
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銀座の日動画廊では7月25日まで、「森田正孝展~パリから有明へ~」が
開かれています。
その後、福岡日動画廊でも開かれます。

森田正孝さん(1948~)は、パリなどの風景を堅牢な筆触で描き出しています。

「オーヴェルの教会」 100号
森田7-17-2010_002

ゴッホの絵で有名な教会ですが、冬の景色で、鈍い灰色一色の空に教会の
白い壁が映えます。
手前の木は剪定されたプラタナスでしょうか。

現在は熊本在住で、近くの有明海まで取材に行かれるとのことで、
有明海を題材にした作品も何点か出品されています。

森田さんの、有明海を描いた作品は2009年の日展で観て、空の色が水に映え
る情景の表現が印象に残っています。
この展覧会でも同じ題材の作品が展示されています。

「ひき潮」 2009年日展
11-12-2009_006.jpg

2009年の日展の記事はこちらです。


【2010/07/23 08:17】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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