FC2ブログ
次のページ
「天下を治めた絵師  狩野元信」展 サントリー美術館
六本木・乃木坂
chariot

六本木のサントリー美術館では六本木開館10周年記念展、「天下を治めた絵師 
狩野元信」展が開かれています。
会期は11月5日(日)までで、休館日は火曜日です。
会期中、細かい展示替えがありますので、展覧会のHPでご確認下さい。

狩野img141

狩野元信((1476-1559)は狩野家初代の正信の子で、絵の型(画体)を定め、
工房を構え、漢画ばかりでなく大和絵も取り入れて、狩野派の繁栄の基を築いています。

元信は手本となる中国絵画を基に、真・行・草の3つの画体を生み出しています。
書体の楷・行・草に似ていて、真はかっちりとして馬遠や夏珪に倣い、行は少しくずして
牧谿に、草はさらにくずして玉澗に倣っています。

「禅宗祖師図」 狩野元信 
 六幅のうちニ幅 室町時代 16世紀 東京国立博物館 重要文化財

元信img233 (3)

元信img233 (4)

このニ幅は10月2日までの展示です。
真の画体で描かれていて、右の場面は「香厳撃竹」です。
唐の僧の香厳智閑(きょうげんちかん)は、掃き掃除をしていて跳んだ瓦礫が
竹に当たった音を聞いた瞬間に悟りを得た、といわれています。

「四季花鳥図」 狩野元信 
 八幅のうち四幅 室町時代 16世紀 京都・大徳寺大仙院 重要文化財

元信img233 (1)

この四幅は10月18日からの展示です。
元信の代表作で、大きな画面は緻密に描き上げられ、色彩も華やかです。
障壁画の制作を得意とする狩野派の始まりを見せています。

元信は中国画風ばかりでなく、大和絵風の絵巻物や扇絵、仏画、肖像画なども手掛け、
守備範囲を広げています。

「酒伝童子絵巻」 画/狩野元信 詞書/近衛尚通、定法寺公助、青蓮院尊鎮 
 大永2年(1522) サントリー美術館

伽006

伽012

展示替があり、この場面のある巻三は10月18日からの展示です。
小田原の北条氏綱の注文により狩野元信と弟子が描いた絵巻で、源頼光と
家来たちが討っている場面では酒呑童子の首が源頼光に喰らい付いています。
戦国時代の好みを映して凄惨な光景ですが、他の場面では同じ日の出来事の中に、
季節の異なる紅白梅、藤、萩、菊が描かれ、目を楽しませてくれます。

「細川澄元像」 狩野元信画 景徐周麟賛 
 永正4年(1507)賛 永青文庫 重要文化財

元信img248

10月9日までの展示です。
細川澄元(1489-1520)は戦国時代の武将で、管領細川政元の養子となっていますが、
政元の死後、後継者争いの中で早くに亡くなっています。
馬上凛々しく長巻を手挟んだ勇ましい出で立ちです。

「富士曼荼羅図」 「元信」印 室町時代 16世紀 
 静岡・富士山本宮浅間大社 重要文化財

10月9日までの展示です。
三保の松原や浅間神社、富士山に登山する参詣人の列が細密に描かれた、
上質の曼荼羅です。

「白衣観音像」 狩野元信 室町時代 16世紀 ボストン美術館
海中の岩の上に正面を向いて座す観音像です。
明確な描線で描かれ、肌の色や白い衣の色彩も鮮やかな、力のこもった作品です。
明治時代にフェノロサが購入し、現在はボストン美術館が所蔵しています。


真・行・草、それぞれの画体の作品が並び、仏画、肖像画、風俗画もあって、
狩野元信がどのように狩野派の基礎を固めたのかが具体的に分かる、
興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は六本木開館10周年記念展、「フランス宮廷の磁器 セーヴル、
創造の300年」展です。
会期は11月22日(水)から1月5日(日)までです。

img237.jpg


【2017/09/30 18:05】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「銀座洋食 三笠會館 池袋パルコ店」
池袋
chariot

「銀座洋食 三笠會館 池袋パルコ店」は池袋パルコの7階にあります。

みIMG_0860 - コピー


約80席の店内は全席禁煙、洋食屋さんらしい雰囲気です。

みIMG_0839 - コピー

みIMG_0858 - コピー

みIMG_0857 - コピー


若鶏と玉子ドリア1250円です。

みIMG_0848 - コピー


平日限定1日15食のランチ1200円は若鶏のソテーです。
サラダとパンが付きます。

みIMG_0853 - コピー

みIMG_0846 - コピー

ソテーは皮が香ばしくパリッとしています。

セットのコーヒー310円です。

みIMG_0855 - コピー


さすが三笠會館らしく、どれも美味しく、安心して利用できるお店です。


銀座の三笠會館本店の1階にある「Italian Bar LA VIOLA(ラ ヴィオラ)」に
行った時の記事
です。


【2017/09/29 20:02】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「運慶」展 東京国立博物館
上野
chariot

上野の東京国立博物館平成館では、興福寺中金堂再建記念特別展、「運慶」が
開かれています。
会期は11月26日(日)までです。

img193_2017092813000463b.jpg


平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した仏師、運慶(生年不詳―1223)を
特集した展覧会です。
運慶と縁の深い興福寺の中金堂の再建を記念しての開催で、31体とも言われる、
運慶の造った仏像のうち、22体が展示されています。

「大日如来坐像」 運慶作 平安時代・安元2年(1176) 奈良・円成寺 国宝
運慶img222 (9)

運慶img230 (1)

会場の最初に展示されています。
円成寺は奈良市にある真言宗の寺院です。
台座内墨書に父の康慶とともに運慶の名と花押があり、運慶の最初期の作と
考えられます。
張りのある体で、頬は膨らみ、凛としたお姿です。
目には玉眼(水晶などを嵌め込んだ目)が入り、金箔の剥がれた地の漆の色が
かえって荘厳さを増しています。
康慶や運慶は興福寺を拠点に活動した奈良仏師のグループに属しています。

「運慶願経(法華経巻第八)」 平安時代・寿永2年(1183) 国宝
治承4年(1180)に平重衡の南都焼討によって東大寺、興福寺の主要伽藍が
焼亡しています。
これを悲しんだ運慶が願主となって制作された法華経で、軸木に焼け落ちた
東大寺大仏殿の木を用い、墨を磨る水は比叡山、園城寺、清水寺から取り寄せています。
結縁者の中には快慶の名も見えます。

「毘沙門天立像」 運慶作 
 鎌倉時代・文治2年(1186) 静岡・願成就院 国宝

運慶img222 (1)

運慶img222 (2)

像内に納められた札から北条時政の発願で運慶が制作したことが分かります。
堂々とした姿ですが、顔には誇張が少なく、写実的です。
願成就院は真言宗の寺院で、北条氏の氏寺でした。
運慶の力強く写実的な作風は鎌倉武士たちに好まれていました。

「大日如来坐像」 鎌倉時代・12~13世紀 栃木・光得寺 重要文化財
運慶img222 (6)

光得寺は足利市にある臨済宗の寺院です。
運慶作の可能性の高い像で、足利氏2代の足利義兼の発願とされ、獅子の座に乗り、
造像時からの厨子に入っています。
像内には人の歯が入っており、これは願主の足利義兼の歯かもしれません。

「聖観音菩薩立像」 運慶・湛慶作 
 鎌倉時代・正治3年(1201)頃 愛知・瀧山寺 重要文化財

運慶img222 (7)

瀧山寺(たきさんじ)は岡崎市にある天台宗の寺院です。
鎌倉時代の僧・寛伝が母方の従兄弟の源頼朝追善供養のため、運慶・湛慶父子に造らせ、
像内に頼朝の鬢(耳ぎわの毛)と歯を納めたとされています。
左手に蓮華を持ち、右手でその花弁を開こうとしていて、像の口の辺りには人の歯が
入っているそうです。
彩色は後世に為されたものです。

「八大童子立像」 運慶作 6軀 
 鎌倉時代・建久8年(1197)頃 和歌山・金剛峯寺 国宝

運慶img222 (5)

八大童子は不動明王に仕える童子です。
8体のうち、運慶作の6体の展示です。
どの童子も玉眼が輝き、活き活きとした表情です。

制多迦童子
運慶img222 (3)

運慶img222 (4)

「無著菩薩立像」 運慶作 鎌倉時代・建暦2年(1212)頃 奈良・興福寺 国宝
運慶img230 (2)

運慶img230 (3)

世親菩薩立像とともに展示されています。
無著・世親は現パキスタンのペシャワール出身の大乗仏教の僧で、唯識思想を広めた
とされています。
2mほどの大きな像で、写実的な顔立ちは実際にその人がそこにたたずんでいるように
見えます。
頭は現代人に比べかなり前後に長い長頭型です。


運慶の子の湛慶、康弁など、運慶のグループ(慶派)の作品も展示されています。

「重源上人坐像」 奈良・東大寺 鎌倉時代 東大寺 国宝
東大寺005

10月7日からの展示です。
東大寺は平重衡の南都焼討で焼亡し、俊乗房重源(1121-1206)が責任者となって
再建されています。
60歳になって大事業に着手し、大仏と大仏殿の再建も成し遂げた重源の晩年の姿で、
口をへの字に結んだ、いかにも意思の強そうな顔をしています。
座って数珠を持つ姿勢は智拳印を結ぶ大日如来と似ていて、仏像制作と同じ要領で
造られていることが分かります。

「十二神将立像のうち 辰神・巳神・未神・申神・戌神」 
 京都・浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館 重要文化財

仏0130

仏0131

手前:戌神 奥:辰神
仏0134

巳神
仏0135

画像は2012年に同じ東京国立博物館で開かれた、「館蔵仏像名品選」の時のものです。
京都の浄瑠璃寺にあったと伝えられる像で、運慶の系統の作と思われます。
それぞれの像はその干支の動物を頭に戴いていて、巳神では蛇がとぐろを巻いています。
今回は、静嘉堂文庫の所蔵する子神・丑神・寅神・卯神・午神・酉神・亥神と合わせ、
12体すべてが揃って、展示されています。

「子犬」 鎌倉時代・13世紀 京都・高山寺 重要文化財
運慶img222 (8)

ころころとして愛らしい子犬です。
高山寺の明恵上人は動物を愛し、湛慶作とされるこの像も明恵が側に置いていたと
伝えられています。
湛慶(1173-1256)は運慶の長男で、慶派の中心の仏師となっていますが、
明恵と交流があったそうです。
仏師というより彫刻家の作品のようです。

「天燈鬼立像」「龍燈鬼立像」 
 康弁作(龍燈鬼) 鎌倉時代・建保3年(1215) 奈良・興福寺 国宝

運慶img230 (4)

運慶img230 (5)

像高約78㎝、邪鬼が灯篭を掲げているユーモラスな像です。
龍燈鬼の顔は俵屋宗達の風神雷神図に似ていて、体に巻き付けた龍も玉眼を
光らせています。
龍燈鬼の像内に入っていた紙から、この像が康弁作とが分かります。
康弁は運慶の三男ですが、康弁作と分かっている作品はこの1点のみです。


大変評判の展覧会で、私は2日目の朝の開館と同時に行きましたが、すでにかなりの
来館者で混雑していました。
早めの時期に行かれることをお勧めします。

展覧会のHPです。


次回の特別展は、「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」です。
会期は2018年1月16日(火)から3月11日(日)までです。

img216.jpg


【2017/09/28 20:09】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ヨコハマ トリエンナーレ 2017」 横浜美術館、横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜市開港記念会館
みなとみらい
chariot

横浜美術館と横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜市開港記念会館では、
「ヨコハマ トリエンナーレ 2017」が開かれています。
副題は「島と星座とガラパゴス」となっています。
会期は11月5日(日)まで、第2・4木曜日は休場です。

img166.jpg


3年に1度開かれる現代アートの展覧会で、今回のタイトルの島、星座、ガラパゴスは
接続や孤立、想像力や創造力、独自性や多様性などを表すキーワードとのことです。
横浜美術館の展示に行ってきました。

トIMG_0403 - コピー

トIMG_0409 - コピー

美術館正面に取り付けられているのは、アイ・ウェイウェイ(艾未未:1957-)による、
救命ボートと実際に難民が使用した救命胴衣を使ったインスタレーションです。
アイ・ウェイウェイは北京生まれで、現在はベルリン在住、社会運動にも積極的で、
中国当局に拘束されたりもしています。

会場は撮影可能です。

ジョコ・アヴィアント(1976-) 「善と悪の境界がひどく縮れている」 2017年
トIMG_0413 - コピー

インドネシアの東ジャワ生まれ、バンドン在住。
しめ縄から発想された、巨大な竹の造形です。

アン・サマット(1973-) 「酋長シリーズ」 2016年
トIMG_0438

トIMG_0435

トIMG_0440

マレーシアのマラッカ生まれ、クアラルンプール在住。
日用品を使って、酋長のような男女の姿を造形しています。

川久保ジョイ(1979-) 「テラ・アウストラリスのためのスライス」 2017年
トIMG_0448
トIMG_0449
トIMG_0450

トレド生まれ、ロンドン在住。
テラ・アウストラリスはラテン語で、南方大陸という意味です。

畠山直哉(1958-) 「陸前高田市高田町2012年6月23日 #1」
トIMG_0467

岩手県陸前高田市出身、東京都在住.。
東日本大震災で津波の被害を受けた場所のパノラマ写真です。

「陸前高田」より 2012-14年
トIMG_0475

空地になった所でゲートボールをしています。

風間サチコ(1972-) 「第一次幻惑大戦」 2017年
トIMG_0480

部分
トIMG_0483

部分
トIMG_0488

東京都生まれ、東京都在住。
大きな木版画で、電卓や年金を盾に児雷也と戦うサラリーマン、
勉強と部活漬けの生徒などで埋められています。

ザオ・ザオ(1982-) 「プロジェクト・タクラマカン」 2016年
トIMG_0503

トIMG_0506

新疆ウイグル自治区生まれ、北京在住。
タクラマカン砂漠に電気のケーブルを引き、冷蔵庫で冷やしたビールを飲むという
プロジェクトのビデオが上映されています。

ワエル・シャウキー(1971-) 「十字軍芝居:聖地カルバラーの秘密」 2015年
トIMG_0515

出演した人形
トIMG_0509

アレキサンドリア生まれ、アレキサンドリア在住。
人形劇による十字軍の戦いの2時間にわたる物語を延々と上映しています。

マーク・フスティニアーニ(1966―) 「トンネル」 2016年
トIMG_0516

フィリピンのバコロド生まれ、マニラ在住。
合わせ鏡の作用で、工事中のトンネルが奥まで続いているように見えます。

ポラ・ピヴィ(1971-) 2014年
トIMG_0519

ミラノ生まれ、アンカレッジ在住。
シロクマの毛皮がカラフルな羽毛になっています。
手前の題名は「準備ができたら教えて」、中は「大好きなジジ」、
奥は「芸術のため立ち上がらねば」です。


「ヨコハマ トリエンナーレ 2014」に行った時の記事です。

展覧会のHPです。


【2017/09/27 19:50】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「素心伝心 ―クローン文化財 失われた刻の再生」 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

上野の東京藝術大学大学美術館では『シルクロード特別企画展 「素心伝心
―クローン文化財 失われた刻の再生」が開かれています。
会期は10月26日(木)までです。

素こころimg214 (2)


クローン文化財とは東京藝術大学の開発した、芸術と科学技術の融合による
高度な複製技術によって複製された文化財のことで、保存と公開を両立させる
ことを可能にしています。

展覧会では、シルクロード伝いに花開いた仏教文化による仏像、壁画などを
復元、展示しています。
並河萬里の撮影した、シルクロードの遺跡の写真も併せて展示されています。
展覧会名の「素心伝心」とは、人が生まれながら持っている濁りなき心(仏性)が
シルクロードを通って伝わって行くという意味でしょうか。

会場は並河萬里の写真以外は撮影可能です。


法隆寺金堂

最初の展示は、復元された法隆寺金堂の釈迦三尊像と外陣壁画です。
室内には良い香りが漂い、法隆寺の僧による読経の声が流れています。
プロジェクターで写されているのは法華経で、大きな音を立てると、
しばらく文字が溶けるように消えます。

sIMG_0489

sIMG_0491

釈迦三尊は三次元計測を行なって3Dプリンターで型を作り、銅器生産の盛んな
高岡で鋳造し、表面を磨き、彩色しています。
両脇侍はそれぞれの天衣の長さが左右で異なり、長い方が外側になる方が
バランスが良いことから、現状と左右を入れ替えて配置してあります。
また、釈迦像には白毫と一部欠けていた螺髪を付け、大光背の縁に小孔が
開いていることから、当初は飛天が付いていたと考えられるので、
今回は飛天を加えています。

外陣壁画は1949年に模写作業中の失火により失われてしまいましたが、
写真を基に1967年から安田靫彦、前田青邨、橋本明治、吉岡堅二を中心
14名の日本画家によって復元模写が行なわれ、68年に完成しています。

sIMG_0496

sIMG_0574


北朝鮮・高句麗古墳群江西大墓

玄室内部の花崗岩に描かれた四神図の復元です。
高句麗最末期の古墳で、それ以前の時代には描かれていた星座や
人物像は省かれ、四神図のみという、シンプルな形になっているそうです。

2006年の現地調査で得られた色情報と質感情報を基に、模写や写真資料を用いて
玄室ごと復元しています。

東 青龍
seIMG_0501.jpg

西 白虎
sbIMG_0502.jpg

南 朱雀 2頭のうち、右側
srIMG_0503.jpg

北 玄武
sgIMG_0499


中国・敦煌莫高窟第57窟

現在は非公開となっている第57窟の再現です。
印刷された画像を砂、粘土、藁、敦煌の土を混ぜて塗り付けた壁面に貼り付け、
顔料で彩色しています。
本来は6体ありますが、主に清時代の修復がみられるため、今回は中央の
釈迦如来像と一番手前の菩薩像の2体を当初の形に推定復元しています。
釈迦如来像は敦煌研究院美術研究所、菩薩像は東京藝術大学が模造し、
それを計測して3D切削機で成形し、彩色しています。
莫高窟は東に向いており、朝日の入る時、石窟の中は輝いていたと思われます。

sbaIMG_0508.jpg

南壁面
sbaIMG_0510.jpg

麗しいお顔の菩薩像は金色の冠や瓔珞(首飾り)を着けています。

sbnIMG_0576.jpg

参考 莫高窟第57窟西壁仏龕
素こころimg214 (1)


中国・新疆ウイグル自治区キジル石窟第212窟

タリム盆地の北側にあった亀茲国は仏教国で、キジル石窟(キジル石窟寺院)を
残しています。
石窟にあった壁画の多くはドイツ探検隊によって剥ぎ取られ、持ち去られましたが、
一部は第2次世界大戦のベルリン空襲で失われてしまいました。
航海者窟と呼ばれる第212窟の側壁にも2つの壁画がありましたが、マイトラカニヤカ・
アヴァダーナという名の壁画は持ち去られ、ベルリンで失われています。
残された資料を基に、この壁画と、石窟に残った壁画、シュローナコーティカルナ・
アヴァダーナが復元されています。

skIMG_0572.jpg

マイトラカニヤカ・アヴァダーナ
skIMG_0518.jpg

シュローナコーティカルナ・アヴァダーナ
skIMG_0517.jpg

マイトラカニヤカ・アヴァダーナのお話は以下の通りです。
マイトラカニヤカは航海に出たいと思い、止める母親を振り切って家を出ます。
海で嵐に遭って難破し、マイトラカニヤカだけが助かります。
やがて4人の美女のいる城に辿り着いて歓待され、そこを出ると8人の美女のいる城、
さらに16人、32人の美女のいる城に迎えられます。
それも過ぎると、今度は鉄の門があり、入ってみると男がいて、回転する鉄の車輪が
男の頭を斬り続けています。
驚いて訳を訊くと、男は過去に母親に暴力を振るったため、このような罰を受けている
のだということです。
マイトラカニヤカも家を出ようとして母親を邪険に扱っていたので、今度は車輪が
マイトラカニヤカの頭に移り、次の人物がやって来るまで回り続けるというお話です。
これは、以前に母親に孝行した善行への報いとして美女が与えられ、母を捨てた
悪行には鉄の車輪が与えられ、善悪は相殺されないという、上座部仏教の思想による
因縁話だそうです。

海で難破し、船もバラバラになっています。
skIMG_0583.jpg

痩せこけた男が鉄の車輪の罰を受け、その車輪が右のマイトラカニヤカに
移っています。
skIMG_0580.jpg


タジキスタン・ペンジケント遺跡
タジキスタン国立古代博物館の所蔵する、発掘区VI 広間1壁画の「ハープを奏でる
女性像」と「戦闘図」の再現です。
ペンジケントはタジキスタンの西端にあり、ウズベキスタンのサマルカンドに近く、
5世紀から8世紀にかけてソグド人の都市がありました。
ソグド人はシルクロードを往来したイラン系の商業民族で、唐の玄宗皇帝の時に
反乱を起こした安禄山もソグド人です。

stIMG_0557.jpg

stIMG_0558.jpg


ミャンマー・バガン遺跡

ミャンマーのバガン遺跡は11~13世紀に栄えたバガン王朝の遺跡で、壁画や天井画の
多くは保存のため、公開が難しくなっています。
そこで、12世紀に描かれたミンカバー・グビャウクジー寺院の再現壁画が制作されました。
舞踊の様子などが描かれ、当時の文化水準の高さを示しています。

smIMG_0565.jpg

smIMG_0564.jpg


アフガニスタン・バーミヤン東⼤仏天井壁画

バーミヤンの東大仏の天井部分に描かれていた壁画、「天翔る太陽神」は2001年に
タリバンによって東大仏とともに爆破されています。
その壁画を、写真資料を基に原寸大で和紙に印刷し、実物と同じ形に再現された
天井に貼り、岩絵具で彩色して復元しています。

sdIMG_0593.jpg

sdIMG_0595.jpg

sdIMG_0596.jpg


槍を持ち、光背を負った太陽神を中心に、風神、翼を持つ飛天、4頭の馬の牽く
馬車などが描かれ、アフガニスタン特産のラピスラズリの青が空間を埋めています。
太陽神はギリシャの太陽神ヘリオス、イランのミスラなどの影響を受けているそうです。

壁の側面には僧に導かれた大仏の寄進者も描かれています。

大仏の制作はバーミヤンに始まっており、巨像を制作するというギリシャ文化の
影響ではないかということで、バーミヤンが東西文化の合流する場所だったことを
示しています。

展示室の壁には大仏の頭の位置から見たバーミヤンの雄大な景色の動画が
映されています。

sdIMG_0541.jpg

遠く白雪をいただいたヒンドゥークシュの峰々の上を雲が流れて行き、室内には
甘い香りが漂い、千住明さん作曲の音楽が流れています。
失われた大仏はこの風景を眺めておられたのかと思うと、ある種特別な感情が
湧いてきます。


文化財は戦争や紛争、事故、環境変化などによって失われてしまいがちですが、
このようなクローン文化財を制作する技術が大変貴重であることがよく分かります。

実物大の復元というのは、実際に見ると実に見事で、まるで自分が遠く敦煌莫高窟や
バーミヤンにいるような気持になります。
音楽と香りに包まれた浄土の世界に浸っていると、濁世に戻りたくなくなります。
仏教文化やシルクロードに興味のある方には特にお薦めする展覧会です。

法隆寺釈迦三尊の脇侍の顔に自分の顔を映し出す装置もあります。
アルカイックスマイルを浮かべられてみてはいかがでしょうか。

sIMG_0598.jpg


展覧会のHPです。


次回の特別展は、東京藝術大学創立130周年記念特別展、「皇室の彩(いろどり) 
百年前の文化プロジェクト」です。
会期は10月28日(土)から11月26日(日)までです。

img215.jpg


【2017/09/26 19:56】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ポールバセット 渋谷ヒカリエShinQs店」
渋谷
chariot

「ポールバセット 渋谷ヒカリエShinQs店」は渋谷ヒカリエの地下2階にあります。
場所は渋谷区渋谷2-21-1です。

ポIMG_0484 - コピー


黒が基調の店内は30席ほどで、全席禁煙です。
「ル ショコラ ドゥ アッシュ」とのコラボのお店で、チョコレートも
販売されています。
BGMはありません。

ポIMG_0486 - コピー

ポIMG_0465 - コピー

ポIMG_0467 - コピー


ライ麦ブレッドクロックムッシュセット1200円です。

ポIMG_0483 - コピー


こちらはエッグスラットセット1400円で、ポテトの中に半熟卵が入っています。

ポIMG_0479 - コピー

どれも小さめですが、ていねいに作られていて美味しいです。

ドリンクのカプチーノとルンゴです。

ポIMG_0475 - コピー

ポIMG_0473 - コピー

ルンゴはエスプレッソのお湯割りです。
エスプレッソは飲みやすい味です。

メニューにはフラットホワイトもあり、注文するお客さんも多いようです。


【2017/09/24 18:26】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「第81回 新制作展」 国立新美術館
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館では、「第81回 新制作展」が開かれています。
会期は10月2日(月)までで、火曜日は休館日です。

新制作協会は1936年設立の美術団体で、現在は絵画部、彫刻部、
スペースデザイン部があります。

田村研一 「BLAZING CARNIVAL 正しき行進」
sIMG_0440

部分
sIMG_0443

壮大で奇怪なパレードです。

佐藤泰生 「サーカス 二人」
sIMG_0402

ピエロに象やキリンが重なっています。

金森宰司 「ライフ「男」」
sIMG_0399

白黒の縞模様が効いています。

高堀正俊 「学生」
sIMG_0453

白く晒された写実です。

近藤オリガ 「永遠のクルミ」
sIMG_0420

厚みのある画面の中で、硬いクルミが浮かんでいます。

石川由子 「暮れ泥む」 
sIMG_0476

部分
sIMG_0479
     」
石川さんはノスタルジックな風景を描いていますが、今年はダイナミックな画面です。
猫もいっぱい居て、柱には1960年に大流行したダッコちゃんが取り付いています。

Thun Dina 「RECONCILIATION」
sIMG_0487

水辺の光景で、色彩が新鮮です。
背景に並んでいるのはクメール彫刻でしょうか。

藤川妃都美 「河岸町三丁目の記憶」
shIMG_0430.jpg

水辺で蛙を狙う白鷺の奥に町並が広がっています。

篠田哲也 「何処へ III」
shIMG_0432.jpg

海浜の景色の上に寄せる波が重なっています。

和田和子 「散策風景(夏)-1-」
shIMG_0458.jpg

和田さんは上から眺めた公園の景色をよく描いています。

樋本千穂 「春を待つ雪の音 I」
sIMG_0466

朝日の差す、おだやかな雪景色です。


彫刻の部では猫のいる作品を集めてみました。

田村史郎 「空蝉(生きたものの記憶)」
sIMG_0392

ご主人は帽子を残してどこかへ行ったようです。

本田悦久 「猫町の風景 II~彼の初期速度」
sIMG_0396

昔懐かしい板塀から着地の瞬間の分解写真です。

川原孝文 「遠い日の記憶」
sIMG_0394

猫は現在を見詰めています。


2016年の「第80回 新制作展」の記事です。


国立新美術館では9月27日(水)から12月18日(月)まで、
「安藤忠雄展 挑戦」が開かれます。

img201.jpg


野外展示場では代表作、「光の教会」が原寸大で再現されているところです。

sIMG_0390


【2017/09/23 19:15】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「ザ ショップ バイ アーバネスト」 赤坂
赤坂・赤坂見附
chariot

「ザ ショップ バイ アーバネスト」は東京メトロ赤坂駅近くの小路にあります。
場所は港区赤坂3-15-5です。

アIMG_0062


不動産屋さんのビルの1階で、壁はコンクリートの打ちっ放し、簡素でウッディなつくり、
シングルオリジンコーヒー専門で、イートインは6席とカウンター4席、全席禁煙です。
土日祝はお休み、開店時間は12時から午後4時までです。
BGMはジャズでした。

アIMG_0054 - コピー

アIMG_0051 - コピー


2階への螺旋階段が真ん中にあります。

アIMG_0053 - コピー

アIMG_0059 - コピー


カフェラテ450円はコスタリカで、IKEAのカップにたっぷり入っています。

アIMG_0058 - コピー


軽く一息入れるのに良さそうなお店です。


【2017/09/22 19:31】 お店 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」 六本木 森美術館
六本木
chariot

六本木の森美術館では、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 
1980年代から現在まで」が開かれています。
近くの国立新美術館との同時開催です。
会期は10月23日(月)までです。

両館でASEAN10か国、80組以上のアーティストの作品が展示されています。
サンシャワーとは天気雨のことで、東南アジアでよく起こる気象現象であり、
変化の多い東南アジアを表しています。

エントランスホールには巨大な象が吊り下げてあります。

サIMG_0165


会場は撮影可能です。

ズル・モハメド 「振動を、振動する」 2017年 作家蔵
サIMG_0167

小さなスピーカーからはシンガポールの高速道路近くで録音した音が出ていて、
シンガポールの喧騒を伝えています。

ジャカルタ・ウェイステッド・ アーティスト(JWA)
「グラフィック・エクスチェンジ」 2015年 作家蔵

サIMG_0170

JWAはジャカルタの商店の古い看板を譲り受け、代わりに新しい看板のデザインと
製品を提供しました。
集めた看板が展示され、交換の過程での商店主とのインタヴューのビデオも
放映されています。

リュウ・クンユウ (「私の国への提案」シリーズより)
 「文化遺産都市」 2009年 カザナ・ナショナル、クアラルンプール蔵

サIMG_0176

フォトコラージュの作品で、マレーシアの嘘っぽさもある発展を写しています。

 「そびえ立つ街」 2009年 作家蔵
サIMG_0182

ジョンペット・クスウィダナント 「言葉と動きの可能性」 2013年 森美術館蔵
サIMG_0183

インドネシアの学生運動、イスラム教徒のグループ、軍隊、政党の思想が書かれた旗が
吊り下がり、スハルト大統領の1998年の辞任演説が流れています。
独裁政権の終わりと新しい時代の始まりを祝う気持ちを表しています。

アディティア・ノヴァリ 「NGACOプロジェクト―国家への提案」 2014年 作家蔵
サIMG_0187

NGACOとはインドネシア語で、間違いや滑稽さ、でたらめさを表します。
目盛りの無い巻尺、ヒビの入ったヘルメット、割引価格に応じて小さくなるレンガなどが
NGACOブランドの製品です。
どこかいい加減なところに楽天的な気分があります。

リム・ソクチャンリナ 「国道5号線」 2015年 作家蔵
サIMG_0194

サIMG_0195

国道5号線はカンボジアのプノンペンと隣国タイを結ぶ幹線道路で、日本の援助で
拡幅工事が行われました。
道路沿いの家がスッパリ削り取られた様子を写しています。

トゥアン・アンドリュー・グエン
 「崇拝のアイロニー」 2017年 作家蔵

サIMG_0229

東南アジアに生息し、長寿や精力増強の効果があるとして密猟の対象となっている
センザンコウを祀っています。

 「警告」 2017年 作家蔵
サIMG_0227

サIMG_0223

サイとセンザンコウとドラゴンが人間に狙われている自分たちの現状を語り合っている
言葉がLEDの電光掲示板に表示されています。

バン・ニャット・リン 「誰もいない椅子」 2013-2015年 
 ポスト・ヴィダイ・コレクション、ホーチミン蔵
サIMG_0240

サIMG_0238

理容室の椅子はベトナム戦争時の北ベトナム軍戦闘機の操縦席、鏡には
元北ベトナム軍の軍人の客の髪を刈る元南ベトナム軍の軍人の理髪師が
映っています。
流れているのは、アメリカの南北戦争で愛する人を失った悲しみをうたった、
「The Vacant Chair」です。
1975年に北ベトナム軍によりサイゴン(現ホーチミン)が占領され、南ベトナムは
崩壊しています。


東南アジアの歴史と現在を捉えた、その活気とある種の混沌が伝わる、
大変刺激になる展覧会です。

展覧会のHPです。


【2017/09/21 19:24】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」 国立新美術館
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館では、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 
1980年代から現在まで」が開かれています。
近くの森美術館との同時開催です。
会期は10月23日(月)までです。

img151.jpg


両館でASEAN10か国、80組以上のアーティストの作品が展示されています。
サンシャワーとは天気雨のことで、東南アジアでよく起こる気象現象であり、
変化の多い東南アジアを表しています。

会場は撮影可能です。

バンクロック・スゥラップ 「どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなさそうだ」 
2015年 森美術館像

サIMG_0724

バンクロック・スゥラップはマレーシアを拠点に活動するグループです。
マレー民族のマレーシア、フィリピン、インドネシアを統合する構想がありましたが、
実現しませんでした。

FXハルソノ 「遺骨の墓地のモニュメント」 2011年 作家蔵
サIMG_0751

1965年のインドネシア、スカルノ政権崩壊に伴う華僑・華人への大虐殺事件では
数十万人ともされる人々が殺されています。
その殺された人たちの遺骨の写真が遺影のように並べられています。

サンチャゴ・ボセ 「受難と革命」 1989年 ボセ家蔵
サIMG_0755

竹を束ねた中にロバに乗ったキリスト像を置き、キリストの受難と19世紀フィリピンでの
スペインに対する解放を求めた農民運動を重ねて表しています。

リー・ダラブー 「伝令」 2000/2005年 福岡アジア美術館
サIMG_0762

カンボジアのポル・ポトによるクメール・ルージュ政権時代に伝令として使われていた
子供たちと、それとは無関係の子供たちの写真が同じような古色に仕上げられて
並んでいます。
スピーカーからは当時、禁止されていた音楽が流れています。
クメール・ルージュは近代科学も宗教も否定して原始共産制を目指しましたが、
100万人以上とも言われる犠牲者を出して崩壊しています。

イー・イラン(タム・ホン・ラム[パカード・フォト・スタジオ]との共同制作)
「バラ色の眼鏡を通して」 2017年 作家蔵

サIMG_0787

マレーシアのマラッカにあるパカード・フォト・スタジオで撮影した膨大な家族写真を
並べています。

アリン・ルンジャーン 「黄金の涙滴」 2013年
サIMG_0795

日本人の血を引くポルトガル人の女性がアユタヤ王朝時代にタイに伝えたとされる、
トーン・ヨートを模した3,700個の真鍮鋳物が吊り下げられています。
構造物にはアユタヤ朝の家屋の木材や第二次世界大戦の廃工場の鉄の梁などが
使われています。

スラシー・クソンウォン 「黄金の亡霊(どうして私はあなたがいるところにいないのか)」 
2017年 作家蔵

サIMG_0805

タイのアーティストで、観客参加型のアートを制作しています。
5トンの毛糸を敷き詰め、その中に金のネックレスが隠されていて、探し出した人は
持ち帰ることが出来ます。
欲望への批判でもあるようですが、探すより遊んでいる人が多いようです。


近年発展してきた東南アジアの、植民地支配の歴史、民族構成、宗教が複雑に
絡み合う様子を反映した展示で、とても刺激になる展覧会です。

展覧会のHPです。


【2017/09/21 19:14】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「驚異の超絶技巧!-明治工芸から現代アートまでー」 その2
三越前
chariot

日本橋の三井記念美術館では特別展、「驚異の超絶技巧!
-明治工芸から現代アートまでー」が開かれています。
会期は12月3日(日)までです。
会期中、一部展示替えがあります。

9月16日に開かれたブロガーナイトの記事の2回目で、今回は現代アートの作品を
紹介します。

「驚異の超絶技巧!」の1回目の記事です。

現代作家の作品の多くは、この展覧会のために制作されています。
写真は特別の許可を得て撮影しています。

「origin as a human」 髙橋賢悟 個人蔵
gIMG_0265.jpg

gcIMG_0204.jpg

ネアンデルタール人のような頭骨が花で飾られています。
花を石膏で型取りし、焼いて出来た空洞にアルミニウムを流し込む技法で、
4万枚もの花びらを作ったそうです。

「鹿の子海老」 大竹亮峯 個人蔵
gcIMG_0266.jpg

cIMG_0261.jpg

大竹さんの自在(真中)は木製で、左右の2点と違って、脚だけで自立しています。

「自在蛇骨格」 満田晴穂 個人蔵
gcIMG_0321.jpg

骨格の自在という珍しい作品で、これも動くそうです。

「有線七宝錦蛇革鞄置物 反逆」 春田幸彦 個人蔵
gcIMG_0231.jpg

gcIMG_0234.jpg

有線七宝を銅に施し、鞄にされた筈のニシキヘビが鎌首をもたげているという、
毒気のある形をしています。

「盛上七宝鰐革財布置物 無駄死に、無駄口、無駄遣い」 春田幸彦 個人蔵
gIMG_0348.jpg

何とも面白い形で、有線七宝の上に釉薬を盛って焼き上げる、盛上七宝という
技法によって、革の凹凸感を出しています。

「一刻:皿に秋刀魚」 前原冬樹 個人蔵
gcIMG_0210.jpg

皿とサンマの食べ残しを一体で彫り出した一木造りで、油彩で彩色しています。
前原さんはプロボクサー出身で、その後、東京藝術大学油画科に入学したという、
ユニークな経歴の持ち主です。

「一刻:空き缶、ピラカンサ」 前原冬樹 個人蔵
gIMG_0352.jpg

空き缶とピラカンサはそれぞれ一木造りで、金属と植物の質感を見事に表しています。

「飛翔」 大竹亮峯 個人蔵
gIMG_0333.jpg

榧の一木造りで、藤の豆に留まっているセミの羽根は竹に和紙を貼ってあります。

「ソメイヨシノ」 橋本雅也 個人蔵
gcIMG_0207.jpg

猟師に同行し、仕留めた鹿の角や骨を使って造形しています。
鹿から花への転生です。

如庵の床の間には橋本さんの「タカサゴユリ」が活けてあります。
掛け軸は伝小野道風の継色紙です。

gcIMG_0292.jpg


「Arcadia」 稲崎栄利子 個人蔵
gcIMG_0213.jpg

会場におられた作者の稲崎さんによれば、磁土でパーツを一つ一つ成形し、
乾燥させるため、完成まで1年以上かかっているそうです。

「右心房左心室」 山口英紀 個人蔵
gcIMG_0311.jpg

左右を反転させた写真のように見えますが、細密な水墨画です。
右の道路には自動車が描いてあって、血液の流れになぞらえています。

「Map of the World (Dedicated to Unknown Embroiderers)」 青山悟 個人蔵
gcIMG_0306.jpg

gcIMG_0305.jpg

刺繍画で、国名と国境を蛍光の糸で先ず縫い出し、その後に全面の地を
縫っています。
照明が消えると国市名と国境が浮かび上がります。

「しかみ改」 加藤巍山 個人蔵
gIMG_0301.jpg

加藤巍山さんは仏師で、仏像彫刻が基本になっています。
三方ヶ原の戦いで武田信玄に敗れ、這う這うの体で浜松城に逃げ帰った徳川家康が、
この失態を忘れないようにと描かせた、「しかみ像」を基にしています。
「しかみ像」では困惑した情けない顔をしていますが、この木像はきりりとした表情です。

「Untitled (Soda crushed, Blue cap bottle) From the series
“PET” (Portrait of Encountered Things)」   臼井良平  個人蔵

gcIMG_0346.jpg

ペットボトルの水に見えますが、全部ガラスで出来ています。

「綿毛蒲公英」 鈴木祥太 個人蔵
gIMG_0354.jpg

真鍮の細い線を束ねてタンポポの綿毛を作り出していて、
金属で風を表現しています。

「流刻」 本郷真也 個人蔵
gcIMG_0344.jpg

鉄板を貼り合わせたオオサンショウウオにはずっしりした存在感があります。

残念なことに、佐野藍さんと更谷富造さんの作品の写真を撮り損ねてしまいました。


どれも文字通り、超絶技巧を駆使していて、紹介し切れない質と量です。
特に現代作家の作品は見逃せない、貴重な展示です。
細かい細工が多いので、単眼鏡を持って行くとよいでしょう。


次回の展覧会は特別展、「国宝雪松図と花鳥―美術館でバードウォッチングー」です。
会期は12月9日(土)から2018年2月4日(日)までです。

img194.jpg


【2017/09/19 17:09】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
「驚異の超絶技巧!-明治工芸から現代アートまでー」その1 三井記念美術館
三越前
chariot

日本橋の三井記念美術館では特別展、「驚異の超絶技巧!
-明治工芸から現代アートまでー」が開かれています。
会期は12月3日(日)までです。
会期中、一部展示替えがあります。
細かい細工が多いので、単眼鏡を持って行くとよいでしょう。

超絶img065


2014年に同じ三井記念美術館で開かれた、「超絶技巧! 明治工芸の粋」展に
続いての企画で、今回は現代作家15名の作品、約50点も併せて展示されています。

「超絶技巧! 明治工芸の粋」展の記事です。

9月16日にブロガーナイトが開かれたので、参加してきました。
ブログ「弐代目・青い日記帳」主催のTakさんの挨拶の後、小林祐子学芸員の司会で、
山下裕二明治学院大学教授の解説を伺いました。
解説を聴くと、なぜ超絶技巧なのかがよく分かります。

cIMG_0263.jpg


明治工芸と現代アートの2回に分けて記事にします。
写真は特別の許可を得て撮影しています。
写真の数は多いですが、どれも素晴らしい作品です。

「猫ニ花細工花瓶」 初代 宮川香山 眞葛ミュージアム
cIMG_0201.jpg

猫の毛並みまで表現されています。
cIMG_0239.jpg

会場の最初に置かれています。
初代宮川香山の興した横浜眞葛焼は高浮彫で有名で、多くが輸出されました。
横浜眞葛焼は三代で絶えていますが、五代目に当たる方と眞葛ミュージアムの
山本博士さんが会場に来られていました。

「崖ニ鷹大花瓶」 初代 宮川香山 眞葛ミュージアム
cIMG_0315.jpg

2016年にサントリー美術館で開かれた、「没後100年 宮川香山展」の記事です。

「紫陽花図花瓶」 並河靖之 清水三年坂美術館
cIMG_0236.jpg

並河靖之は色の境目に銀線などを置く、有線七宝を京都で制作し、
これも多くが輸出されました。

2017年に東京都庭園美術館で開かれた、「並河靖之七宝展 
明治七宝の誘惑―透明な黒の感性」の記事
です。

「月に時鳥図花瓶」 安藤重兵衛 個人蔵
cIMG_0222.jpg

並河靖之の有線七宝に対し、色の境目に線を置かない無線七宝で、
絵画のようなグラデーションを見せています。
安藤七宝店は安藤重兵衛に始まる尾張七宝の店で、現在は名古屋市と
東京の銀座5丁目に店舗があります。

並河靖之と並び称せられた、濤川惣助の無線七宝も展示されています。

「群鶏図香炉(蟷螂摘 矮鶏摘)」 正阿弥勝義 清水三年坂美術館
蟷螂の摘まみ
cIMG_0245.jpg

矮鶏の摘まみ
cIMG_0240.jpg

正阿弥勝義は岡山藩御抱え彫金師の出身の金工家です。
正阿弥勝義の作品は2010年に泉屋博古館分館で開かれた、
「幕末・明治の超絶技巧展」でも何点か展示されていました。

「古瓦鳩香炉」 正阿弥勝義 清水三年坂美術館
cIMG_0327.jpg

古瓦に留まった鳩に見付かった蜘蛛が逃げようとして、下の方にわずかに
身を寄せた瞬間を捉えています。
鉄が古錆びた色を出しており、鳩は銀製です。

「幕末・明治の超絶技巧展」の記事です。

安藤緑山 「胡瓜」 個人蔵
cIMG_0219.jpg

初公開の作品です。
牙彫(げちょう)と呼ばれる象牙彫刻で、色も質感も本物とまったく
見分けが付きません。
安藤緑山は牙彫師で、野菜や果物を得意とし、素材に着色するという
当時は異端だった技法を使っています。
緑山自身の経歴はほとんど判っていません。
2014年の「超絶技巧! 明治工芸の粋」展にも出品され、話題になりましたが、
注目された結果、その後約80件が新たに発見されたそうです。

安藤緑山のさまざまな牙彫の作品です。

cIMG_0290.jpg

cIMG_0286.jpg

cIMG_0280.jpg

cIMG_0278.jpg

cIMG_0276.jpg

「吹上菊図文庫」 旭玉山 清水三年坂美術館
cIMG_0226.jpg

桐の箱に象牙などの別の素材を嵌め込む彫嵌の技法によっています。
旭玉山は江戸生まれの牙彫作家で、高村光雲とともに東京美術学校の
教授も勤めています。

「釣瓶に蝦蟇」 三代 正直 個人蔵
cIMG_0229.jpg

cIMG_0269.jpg

正直(まさなお)は伊勢の根付師で、三代まで続いています。
根付(ねつけ)は印籠や煙草入れなどを帯に提げるときの留め具で、
装飾のため細かい細工がされています。
作品は根付より大きな木彫で、一木から古びた釣瓶、ガマガエル、
カタツムリなどを彫り出しています。

「羽根蒔絵香合」 白山松哉 清水三年坂美術館
cIMG_0257.jpg

漆工で繊細な研ぎ出し蒔絵が施されています。

老松に桐鳳凰図刺繍屏風」 二代 田中利七 清水三年坂美術館
cIMG_0330.jpg

cIMG_0332.jpg

10月29日までの展示です。
伊藤若冲の「動植綵絵」のうち、「老松白鳳図」に拠った作品で、
若冲の印も縫い出されています。
絹糸で表した羽根が輝いています。

参考 「老松白鳳図」 伊藤若冲
皇10-8-2009_004

「大工図刺繍額」 昇竜 清水三年坂美術館
cIMG_0308.jpg

10月29日までの展示です。
小品で、細密な刺繍によって人物を描き出しています。

「瓢形一輪生」 山田宗美 清水三年坂美術館
cIMG_0296.jpg

何気ない造形に見えますが、1枚の鉄板から打ち出す鍛金の技法により
制作しています。

「伊勢海老」 宗義 清水三年坂美術館
cIMG_0248.jpg

自在という工芸で、触覚や脚、胴体を自在に動かすことが出来ます。
明治維新で甲冑の需要を失った甲冑師が考案し、龍、鯉、伊勢海老、虫などを
制作しています。
鉄や銅などを使いますが、この作品は銀製です。

「伊勢海老」 山崎南海 清水三年坂美術館
cIMG_0253.jpg


2016年には東京藝術大学大学美術館でも「驚きの明治工藝展」が開かれました。

「驚きの明治工藝展」の記事です。

現代作家の作品は次回に紹介します。


【2017/09/18 14:41】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
プロフィール

chariot

Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム | 次ページ>>