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「三代 山田常山-人間国宝、その陶芸と心」展 出光美術館
日比谷・有楽町
chariot

日比谷の出光美術館では、「三代 山田常山-人間国宝、その陶芸と心」展が
開かれています。
会期は2月19日(日)までです。

三代山田常山(1924-2005)は常滑焼の急須などの作陶により人間国宝に
認定された陶芸家です。
今回は出光美術館が20年以上にわたり蒐集してきた作品、約180件の展示です。

三代山田常山は愛知県常滑市の生まれで、初代の祖父、二代の父も常滑焼の
急須作りの名匠です。
煎茶は中国で発達した文化で、茶器は江蘇省の宜興窯で盛んに作られました。
初代、二代はこの宜興窯に倣った作品を作っています。
三代は伝統に基きながら、土の色、形などさまざまな工夫を凝らした作品を
制作しています。

「梨皮朱泥茶注」 平成2年(1990)
常山005

常滑の伝統的な急須は朱泥と呼ばれる赤い色です。
梨皮はこれに砂礫を練りこんだものです。
明るい地肌に星が散って華やかな姿です。
茶注は把っ手が付きますが、この作品はそれを省いています。

色は他に紫泥、烏泥(うでい)などがあります。
紫泥は金属成分を加えて茶色く発色させたもので、烏泥はその量を多くして、
黒い色を出しています。

「常滑燻し茶器揃え」 昭和50年代
常山004

燻しは焼成した茶器をもう一度窯で焼いて色を出すものです。
中国以来の伝統的な形は茶銚といって、注ぎ口と把っ手が一直線になっています。
左右対称を重んじる中国的美意識によるのでしょうが、把っ手を横に付けると
自在な変化を好む和風の味わいになります。
湯冷ましは熱いお湯を急須に入れる前に冷ます器で、この作品では持ちやすくするため、
横に小さな突起が付いています。
茶碗は煎茶の色を楽しめるように内側に白泥を塗ってあります。

「常滑自然釉茶注」 昭和60年代
常山003

鎌倉時代の常滑焼の大壷は肩が大きく張った緊張感のある形をしています。
これは「鎌倉形」といって、その形に倣って作られた山田常山独特の形です。
注ぎ口や把っ手の付け根に指跡を残して柔らか味を出しています。

自然釉の作品には、燃料の薪に竹を混ぜることで青みがかった金属的な色合いの
出ているものもあります。

「梨皮彩泥水注」 昭和60年代
常山002

高さ11.6cmの大きな作品で、急須ではなく水指です。
蓋が黒いのは蓋黒といって、茶釜の黒い蓋からの発想で、山田常山の独創です。
解説ではこの水注をパンダのようと形容していましたが、ゆったりとしてユーモラスな
味わいがあります。

急須の蓋にも林檎のへたをかたどったものなど、いろいろ面白い工夫があります。

他にも、抹茶茶碗、花入、大皿、大壷などが展示されています。
特に大皿、大壷は古風で素朴さと力強さがあり、小品の急須とは違った魅力があります。
中には元旦に制作と記されている作品もあるので、正月元日に窯を開けたのでしょうか。
年中努力を惜しまずに制作に打ち込んでいたことが分かります。


煎茶は黄檗宗の祖、隠元によって日本に伝えられたとされ、江戸時代後期に中国風の
煎茶がさかんになると、青木木米らが煎茶の茶器を作ります。
日本の文人画でも煎茶を楽しむ場面を池大雅などが描いています。
やがて煎茶道も形成されますが、明治以降は中国の文人趣味に由来する煎茶道は
勢いを失っているようです。

今では抹茶による茶道に比べ地味な存在となっている煎茶ですが、文人趣味を元と
しているだけあって、本来は自由な清雅さを持っています。
三代山田常山の作品はその煎茶というものの楽しさ、面白さを伝えてくれます。

展覧会のHPです。

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【2012/01/17 02:10】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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