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「ルドンとその周辺-夢見る世紀末」展 三菱一号館美術館
東京
chariot

丸の内の三菱一号館美術館では「ルドンとその周辺-夢見る世紀末」展が
開かれています。
会期は3月4日(日)までです。

ル001


三菱一号館美術館がルドンのパステル画、「グラン・ブーケ(大きな花束)」を収蔵した
ことを記念して、岐阜県美術館所蔵のルドンや関連する作家の作品約140点とともに
展示するものです。

オディロン・ルドンは1840年にボルドーで生まれています。
クロード・モネも同じ年の生まれです。
1度パリに出て新古典派の画家の塾に入りますが、すぐにやめてボルドーに帰ります。
そこで放浪の銅版画家、ロドルフ・ブレダン(ブレスダン)の指導を受けます。

1879年には初の石版画集、「夢の中で」を刊行し、これが画家としての実質的な
デビューとなります。

「絶対の探求…哲学者」 1880年 木炭、紙
ル002

ルドン特有の黒の世界です。
三角形は聖三位一体を、黒い太陽は芸術家のメランコリーを示唆しているとのことです。

伝統的な新古典派の画風になじまなかったルドンですが、印象派のような見えることの
追求ではなく、内面を描こうとしています。

「骸骨」 1880年頃 木炭、紙
骸骨が立っている絵ですが、面白いのは表情の無いはずの骸骨が眉をひそめたような
物思わしげな顔をしていることです。
黒の時代のルドンの作品にはどこかユーモラスなところがあります。

「気球」 1883年 木炭、黒チョーク、紙
ル003

電球のような形をした気球の中に人の顔が見えます。、
1879年にエディソンが炭素電球を発明し、この頃は少しずつ電球が普及しています。
気球は18世紀末の発明で、普仏戦争ではプロシア軍に包囲されたパリと地方の間の
通信手段としても使われています。
気球はルドンの作品の中でよく描かれています。

この時期のルドンの作品は、当時の天文学や生物学などの科学上の新発見が
引き起こした科学への関心が反映しているとのことです。
ルドンは自己の内面を描く画家と言われていますが、時代感覚や外部環境の影響を
大きく受けていたようです。

「光の横顔」 1886年 リトグラフ、紙
ル006

画集ではなく単品制作のリトグラフの最初の作品です。
やはり黒を基調にしていますが、神話的な雰囲気で、光を意識した画面になっています。
ベルギーの前衛画家の結成した二十人会の主宰者、オクターヴ・マウスに贈った作品
とのことで、ルドンの献辞が書かれています。
二十人会にはジェームズ・アンソールやフェルナン・クノップフも参加しています。

この後、1890年代になるとルドンの黒の世界は影ではなく、光を強調したものに
変わっていきます。
また、この時期から急に色彩豊かな作品を描くようになります。

「神秘的な対話」 1896年頃 油彩、画布
ル004

神殿の柱を後ろにした古代風の景色の中で、一人の女性がもう一人の若い女性に
語りかけています。
物語的な場面で、ギリシャ世界を思わせる青い空に紅い雲が輝き、足許には草花が
散りばめられています。

「翼のある横向きの胸像(スフィンクス)」 
 1898-1900年頃 パステル、木炭、チョーク、紙
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ギリシャ風の面立ちをした少女の横顔を中にして、色彩が雲のように湧き上がっています。
パステルで一気に描いた翼には勢いがあり、紫色が印象的です。

「グラン・ブーケ(大きな花束)」 1901年 パステル、画布
ル008

作品保護のため照明を落とした部屋にこの1点だけが展示されています。

ルドンを援助していたロベール・ド・ドムシー男爵の注文で、ヴェズレーにある
城館の大食堂の装飾壁画として描かれた16点のうちの中心となる作品です。
他の15点は現在はオルセー美術館が所蔵しているとのことです。

高さ248.3cmの大作で、青色の花瓶を中心にさまざまな花が咲き乱れています。
花は空中にただように咲き、黄色い花が一つ、上にするすると伸びています。
見上げていると花がふわりとこぼれ落ちてくるようです。

同じ花を描いても印象派とは異なる、何か夢幻的な雰囲気がルドンの魅力です。

ルドンは50歳に頃になって初めて色彩のあふれる作品を描き出しています。
子供に恵まれたことなど、精神的な安定によるものとも言われています。

精神の安定によって作風の変わった画家の例は他にもありますが、それまでの
緊張感を失う場合も多いようです。
ルドンの場合はうれしいことに、とても豊かな収穫をもたらしてくれています。

ルドンは第一次大戦に出征した息子の安否を気遣って冬のパリの街を歩き回り、
肺炎をこじらせて、1916に亡くなっています。


会場にはルドンに版画の世界を教えた、ロドルフ・ブレダン(ブレスダン)のリトグラフ、
象徴主義の画家でルドンに影響を与えたギュスターヴ・モローの油彩画や
ポール・ゴーギャンの木版画、エドヴァルド・ムンクのリトグラフなどが展示されています。

「死の喜劇」 ロドルフ・ブレダン(ブレスダン) 1861年 リトグラフ
版0144

これは2010年に国立西洋美術館で開かれた、「19世紀フランス版画の闇と光―
メリヨン、ブレダン、ブラックモン、ルドン」展に展示されていた時の写真です。
木の上や地面には賑やかに骸骨があふれています。
ロドルフ・ブレダン(ブレスダン)(1822~1885)はモチーフを細かく描き込んで、
濃密な画面を作っています。

また、ルドンを敬愛していたナビ派のモーリス・ドニやポール・セリュジエの作品も
展示されています。

「森の中の焚火」 ポール・セリュジエ 1888-90年頃 油彩、画布
ル005

焚火の光に浮かび上がる人のシルエット、倒れかかった立ち木、森の向こうの
暗い空には秘密めいた雰囲気があります。


会場は水・木・金曜日は夜8時まで開いています。
私が観に行ったのは水曜日の夜で、「グラン・ブーケ」をゆっくり鑑賞出来ました。

展覧会のHPです。

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【2012/01/22 04:18】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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