「和のよそおい―松園・清方・深水―」展 山種美術館
恵比寿
chariot

恵比寿の山種美術館では、「和のよそおい―松園・清方・深水―」展が開かれています。
会期は3月25日(日)までです。

和001


山種美術館所蔵の、上村松園、鏑木清方、伊東深水の美人画を中心にした、
着物姿を描いた作品が展示されています。


上村松園 「春芳」(部分) 1940年
チラシに使われている作品です。
梅の香を賞でる武家の女性の姿で、内掛にも梅の紋が入っています。
小袖は松藤模様で、鹿の子絞りに金の刺繍がされています。
べっ甲の櫛かんざしを差した髪は元禄勝山という髪型で、揚帽子を付けています。
元禄勝山は勝山という遊女が始めたと言われ、丸髷の原型となったということです。

上村松園 「砧」 1938年
上006

謡曲の「砧(きぬた)」を題材にしています。

都に上ったまま戻って来ぬ夫を待ちわびる妻の姿です。
晩秋の風物である、布を叩いて柔らかくする道具の砧が足元に置いてあり、
ともしびが灯っています。
髪は垂髪の先を輪にする玉結びとのことです。
戦国から江戸初期の風俗で、小袖は橘の模様ですが、打掛は枯葉を散らし、
時の移りを暗示しています。

謡曲の「砧」は「長安一片の月、萬戸衣を擣つの聲」で有名な李白の詩、
「子夜呉歌」を下敷きにしています。
作者によれば、肖像のような仏像のような気持ちで描いたとのことです。

上村松園 「牡丹雪」(部分)  1944年
牡丹雪12-12-2009_001

雪の積もった傘を傾けて、二人の町娘が歩いています。
一人は、袂で傘の柄をくるむ様にして持ち、前かがみになって、
片手で裾を持ち上げ、もう一人は御高祖頭巾を被っています。
清らかで、凛とした風情が、雪によって引き立ちます。

上村松園 「盆踊り」 1934年頃
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色紙に描かれ、笠を被り刀を落し差しにした男と、扇を持った女が
満月の下で踊る様を、さらっと描いています。
女の髪型は立兵庫でょうか、帯も細く、江戸時代初期の風俗です。
おっとりとした趣きは与謝蕪村の俳画のようです。

和のよそおいと云えば何と言っても上村松園で、作品は約20点展示されています。

鏑木清方 「伽羅」 1936年
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沈香炉という、髪に香りを薫きしめる枕でうたた寝をした女性が目を
覚ました姿です。
市松模様の帯が粋で、朝顔や花菖蒲の模様や色彩に初夏の雰囲気が表れています。

池田輝方 「夕立」 六曲一双 右隻 1916年
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江戸の風俗を描いた屏風絵で、絵馬を掲げた額堂には空を見上げる若い色白のやさ男、
色黒で髭の剃り跡も青い男、濡れた袖を絞る女、立ち話をする女たちが集まっています。
女の着物は夏なのであっさりした柄です。

お店の番傘を差した男の腰には煙草入れと鮫鞘の脇差が差してあります。
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柱には歌舞伎の「毛抜」の場面の絵馬がかかっています。
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左隻では石の鳥居と神門、築地塀、その上には青い銀杏が被さっています。
門の下では雨宿りしている町娘が小僧さんとひそひそ話をしています。
やさ男のことを話しているのでしょうか。

江戸時代の雨宿りの一瞬の人間模様を描き出していますが、人物たちは大正時代の
甘い雰囲気の顔立ちをしています。
雨宿りを主題にしたのは英一蝶が最初とのことですが、英一蝶がいろいろの
階層の人間を描いたのに対し、こちらは若い町人たちです。

池田輝方(1883-1921)は京橋の生まれで、水野年方に師事し、鏑木清方とは
同門で、美人画、風俗画を得意としています。

伊東深水 「吉野太夫」 1966年
歴003

吉野太夫は江戸初期の京都の廓を代表するといわれた太夫とのことです。
廓の桜を見て、「ここにさえさぞな吉野は花盛り」と読んだことからこの名が付きました。
 
立兵庫という、上に伸ばした独特の髪形で、吉野太夫の逸話に因んで、
満開の桜花を背景に立っています。
桐や扇面散らしの模様で埋め尽くされた打掛や小袖の輪郭線は、リズムを
持って交差しています。
手前の禿(かむろ)が茶入や香合を載せた盆を差し出しているのは、吉野太夫が
茶道など諸芸に秀でていたことを示しているのでしょう。

伊東深水(1898-1972)は深川の生まれで、鏑木清方に師事しています。

小林古径 「河風」 1915年
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黒の絣の浴衣姿の女が河原に置いた縁台に掛け、桔梗の団扇を持って
足を水にひたしています。
後ろに垂らした帯の色が鮮やかで、水の描き方にも特徴があります。
小林古径(1883-1957)の33歳頃の作品で、後の画風と違い、
絵に生々しさがあります。

他に奥村土牛「舞妓」「姪」、小倉遊亀「舞う(舞妓)」「舞う(芸者)」、
守屋多々志「聴花(式子内親王)」なども展示されています。


展覧会のHPです。

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【2012/02/19 03:50】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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