「古筆手鑑」展 出光美術館
日比谷・有楽町
chariot

日比谷の出光美術館では、「古筆手鑑」展が開かれています。
会期は3月25日(日)までです。

古001


古筆とは近世までに書写された写本類のことで、大部分は歌集などの仮名書きの
写本です。
古筆は近世になると珍重され、分割されて古筆切という断簡の形で流布します。

この古筆切を集めたアルバムが古筆手鑑(こひつてかがみ)で、江戸時代に発達します。
古筆手鑑の制作には専門の鑑定家が当たり、筆者を特定し、配列を決めています。

古筆家(こひつけ)は豊臣秀次の命名による固有の家名で、江戸時代を通じて古筆の
鑑定を家職としています。
この展覧会で展示される国宝の「見努世友(みぬよのとも)」と「藻塩草(もしおぐさ)」は
この古筆家が作成したもので、古筆手鑑の規範となっています。

古筆手鑑  「見努世友」 出光美術館蔵 国宝 
古004

会期前半(2月25日~3月11日)では表面部分を、会期後半(3月13日~3月25日)では
裏面部分を展示しています。

全部で229葉、聖武天皇に始まり、光明皇后、後鳥羽天皇、後醍醐天皇、藤原俊成・定家、
平清盛・忠度、源頼朝・実朝、新田義貞など歴史上の著名人のオンパレードです。
当時の古筆鑑定は、書風から書かれた時代を推測し、その時代の代表的人物の筆と
特定するという方法なので、このような華麗な構成になるようです。
藤原定家は定家様という特徴のある書風をしているので、すぐ見分けられます。

写真の右側は後宇多天皇(1267~1324)、左は伏見天皇(1265~1317)の筆です。

「見努世友」は兼好法師の徒然草の一文、「ひとり燈のもとに文をひろげて見ぬ世の人を
友とするぞこよなう慰むわざなる。」に拠っています。

古筆手鑑 「藻塩草」 京都国立博物館蔵 国宝
会期前半(2月25日~3月11日)では裏面部分を、会期後半(3月13日~3月25日)では
表面部分を展示しています。

こちらは全部で242葉、紀貫之、小野道風、藤原行成・佐理・公任・定頼・俊頼・定家、
鴨長明、西行、文覚、源頼朝・義経・実朝、女性では小大君、大弐三位、八条女院など、
何とも豪華な顔触れです。
源義経の書は数文字です。
展示されていない表面はやはり聖武天皇から始まっていて、「見努世友」と同じような
構成となっています。

昔は海藻を掻き集めて焼き、塩を採ったことから、「掻き」が「書き」に通じるということで、
古筆手鑑の名前には「藻」の字を使うことが多かったそうです。

古筆手鑑  「谷水帖」 阪急文化財団(逸翁美術館)蔵 重要文化財
三井財閥の実業家だった益田鈍翁が蒐集した平安時代の古筆を田中親美に依頼して
作成した手鑑です。
紀貫之、小野道風、藤原行成・佐理・公任・定頼・俊頼・俊成、源頼政・実朝、西行などが
並びます。

「谷水帖」のうち、「石山切 伊勢集」 伝藤原公任筆 平安時代
古002

雅な切継の料紙に書かれていて、王朝美を極めています。

「石山切」は白河天皇の六十の賀を祝って制作された、「西本願寺本三十六人家集」の
うち、「貫之集下」と「伊勢集」のことです。
西本願寺の所蔵でしたが、昭和4年(1929)に2つの集が分割され、断簡になった時に
付けられた名です。
昔は本願寺が石山(後の大阪城)にあったことにちなんでいます。

「高野切第一種」 伝紀貫之筆 平安時代 出光美術館蔵 重要美術品
古005

「高野切」は現存する古今和歌集最古の歌集で、一部が高野山に伝来したので
この名が付いています。

一幅の掛軸になっていて、書き出しは以下のようです。

 寛平のおほんときのきさいのみやの
 うたあわせのうた
           よみひとしら須
 うめかかをそてにうつしてととめては
 はるはすくともかたみならまし

寛平御時后宮歌合は寛平年間(889~893)に宇多天皇の母后班子の催した
歌合せです。

他に加賀前田家の所蔵していた古筆や古筆手鑑も展示されています。

手鑑や掛軸になって会場に並んだ、平安、鎌倉の人たちの筆の跡を観ていると、
まさしく兼好法師の言葉通り、見ぬ世の人を友とする心地がします。

展覧会のHPです。

関連記事

【2012/03/11 05:38】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
please comment















管理者にだけ表示を許可する

trackback
trackback url ↓
http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/1366-dcc8d5c0

プロフィール

chariot

Author:chariot
東京のビルの多い街で暮らしています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

ブログ内検索

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード


| ホーム |