「ユベール・ロベール-時間の庭-」展 国立西洋美術館
上野
chariot

上野の国立西洋美術館では、「ユベール・ロベール-時間の庭-」展が開かれています。
会期は年5月20日(日)までです。

ロ001


フランスの風景画家ユベール・ロベール(1733-1808)は、荒廃した古代神殿や
モニュメントのある風景を描いて、「廃墟のロベール」と呼ばれました。
また、「国王の庭園デザイナー」の称号を持つ、風景式庭園のデザイナーでもありました。

展覧会ではロベールの作品を中心に、影響を与えたクロード・ロラン、ジョヴァンニ・
パオロ・パニーニらの作品を含め、素描・油彩画・版画など約160点が展示されています。

クロード・ロラン 「笛を吹く人物のいる牧歌的な風景」 
 1635-39年 静岡県立美術館

ロ007

古代の遺跡のある夕暮れの景色に人物を交えた、ロマンチックな風景画です。
ローマのティボリにあるシビラ神殿が描かれています。

ユベール・ロベールはパリ生まれで、1754年に主人のスタンヴィル侯爵のお供で
ローマに赴き、そこで11年間絵画の修業を重ねています。
この頃はポンペイ遺跡の発掘が行われるなどして、ヨーロッパでは古代ブームが
起きていました。

「セプティミウス・セウェルス門のヴァリエーション」 1756年 ヴァランス美術館
ロ002

ローマ滞在初期の作品ですが、実際には見えないガイウス・ケスティウスのピラミッドを
描き入れるなど、後の想像を働かせた画風が現れています。

「パラティヌスの丘の素描家たち」 1761-62年 ヴァランス美術館
ロ003

展示されている、ヴァランス美術館所蔵のサンギーヌ(赤チョーク)による素描83点の
1つです。
ロベールはローマではよくフラゴナールと一緒にスケッチして回っています。

「古代遺物の発見者たち」 1765年
ロ10

コロッセウムの廃墟がモティーフですが、そこからは見えないガイウス・ケスティウスの
ピラミッドや、別の場所にあった蛮族の像などを描き入れて、古代的な雰囲気を作って
います。

ロベールは1765年にフランスに戻り、翌年には王立アカデミーに入会しています。
1780年代にはルーヴル宮殿内にアトリエと住居を与えられ、王室の絵画コレクションの
管理にも当たっています。

「廃墟の中の水飲み場」 1774年  ヴァランス美術館
ロ008

ローマ滞在時を思い出して描いています。
古代遺跡と現在の生活が同居しているローマの光景を見ていたロベールは、
よく古代の遺跡と現在の人物を一緒に描いています。

「ティヴォリの滝」 1776年 プティ・パレ、パリ市立美術館
ロ004

左上にシビラ神殿が見えますが、実際のティヴォリの景色とは異なり、素材を
自由に組み合わせています。

「モンテ・カヴァッロの巨像と大聖堂の見える空想のローマ景観」 
 1786年 国立西洋美術館
ロ005

ロ13

高さ161cmの大きな作品で、ローマの別々の場所にある建築やモニュメントを
並べています。
左にコンセルヴァトーリ宮、右にクイリナーレ広場の巨像、奥にはパンテオンと
聖ピエトロ大聖堂です。
像の足元では母子が見上げたり、花売りが商売に励んだり、男が休んでいたりします。
ロベールは母子の姿を好んで描いています。

「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える
 空想のローマ景観」 1786年 国立西洋美術館

ロ006

ロ12

こちらはトラヤヌス帝記念柱、マルクス・アウレリウス帝騎馬像、オベリスク、
古代ローマ神殿などを組み合わせています。
母子を乗せた馬に水を飲ませる男、兵士、鍋を火にかけている男は現在の人びとの
生活を表していますが、古代の衣装を着た男も見えます。
吼えている犬や炊事の煙は今を実感させ、朽ちた古代神殿の壮麗さとの対比を
際立たせています。

2つの作品は対になっていて、ロシアの注文で描かれたものらしく、現在は国立西洋
美術館の所蔵で、普段は常設展示されています。
私は西洋美術館に行く度に、このノスタルジーにあふれた情景を眺めるのを楽しみに
していました。

「アルカディアの牧人たち」 1789年  ヴァランス美術館
ロ11

ニコラ・プッサンの代表作、「アルカディアの牧人たち」に倣っていますが、ティボリの滝を
遠景に置いて、風景画のように描いています。
石棺にはARCADIAの文字と一緒に、「ROBERT(ロベール) 1789」とも書かれています。
遠景や水の青色に深みがあり、牧人の衣服の赤との対照の際立つ作品です。

ロベールは哲学者のジャン・ジャック・ルソーの石棺のデザインも行なっています。
石棺はパリのパンテオンに安置されています。

「ヴェルサイユのアポロンの水浴の木立」 1803年 カルナヴァレ美術館
ロ009

ロベールは宮廷の庭園デザイナーとしても活躍していて、従来の幾何学式庭園ではなく、
当時流行の、自然を取り入れたイギリス式庭園を設計しています。

ルイ16世の命令によるヴェルサイユ宮殿の庭園改造では、人工の洞窟にアポロンと
ニンフの彫像を置いて、古代的な情景を作り出しています。
この作品は、自らがデザインした木立と洞窟を後に描いたものです。

順調な画家生活を送っていたロベールですが、1789年に始まったフランス革命で
状況は一変します。
1793年から94年までは投獄までされています。
獄中で、生活の資を得るためにお皿に描いた絵も展示されています。

その後、画家として復帰した後、1808年に亡くなっています。

私は「空想のローマ景観」をいつも観ていて、ユベール・ロベールとはどんな画家か
知りたかっただけに、とても満足できる展覧会でした。

展覧会のHPです。

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【2012/03/16 01:14】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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