「大西博 回顧展 -幻景-」 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

上野の東京藝術大学大学美術館の陳列館では「大西博 回顧展 -幻景-」が
開かれています。
会期は4月8日(日)までです。
入場は無料です。

大西001


大西博さん(1961~2011)は徳島県出身で、1987年に東京藝術大学の
油画専攻を卒業し、大学院の油画技法・材料第1研究室を終了後、1992年から
1997年までドイツのニュールンベルク美術大学に留学しています。
帰国後は東京藝術大学大学の教職に就き、2007年からは准教授を勤めました。

「鱒」 1987年 東京藝術大学蔵
 麻布、白亜地、卵テンペラ絵具、油絵具

大西002

大西003

卒業制作で、首席卒業による大学買い上げ作品です。
ティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」やマネの「オランピア」と同じ形ですが、
つるりと冷たい感触です。
ドイツやフランドルの絵画に惹かれていたとのことで、醒めたリアルさを感じます。

モデルの持っている赤い蝶のような物は何かと思ったら、釣りのルアーということでした。
それで題名が「鱒」というのも分かりました。
大西さんは釣りが大好きだったということです。
すると、モデルが頬をふくらませているのは魚のエラ呼吸を表しているのでしょうか。

「自画像」 1987年 東京藝術大学蔵
 麻布、白亜地、卵テンペラ絵具、油絵具

大西004

卒業制作の自画像で、魚のような形の帽子をかぶり、こちらも頬をふくらませています。
背景も暗く、ヒエロニムス・ボスを思い出します。

「水景」 2000年
 麻布、白亜地、膠、胡粉、卵テンペラ乳濁液、透明水彩絵具

大西005

画風が変わって、色彩も一色の濃淡になり、形も水面に写った影のようにおぼろに
なってきます。
静謐で、しみじみとした深さがあります。

大西さんはアフガニスタン産の天然石、ラピスラズリからウルトラマリンブルーの
精製方法を研究し、世界で一番発色の良い青色の顔料の精製に成功しています。
この顔料は「本瑠璃」と名付けられ、ホルべイン社との共同開発により水彩絵具として
販売されています。
ラピスラズリは貴重な天然石で、顔料としてフェルメールの作品にもよく使われています。
大西さんのラピスラズリとの出会いはアフガニスタンの復興支援に東京藝術大学から
現地に派遣された時とのことです。

「水景」 2007年 明王物産蔵
 麻布、白亜地、膠、胡粉、卵黄、ラピスラズリ(本瑠璃)

大西007

ラピスラズリの顔料、「本瑠璃」による作品も何点か展示されています。
淡く、澄んでいて、吸い込まれるようです。
ぼんやり浮かんでいるのは、琵琶湖の竹生島です。

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大西博さんは、2011年の3月に琵琶湖でボートに乗って釣りをしていて事故に遭い、
亡くなっています。


展覧会のHPです。


東京藝術大学の構内にある藝大アートプラザでは4月1日(日)まで、「Lapislazuli
-本瑠璃で描く-」展が開かれています。

大西010

東京藝術大学油画技法・材料研究室主催による、教職員、学生、OBなど有志38人による、
ラピスラズリを用いた小品の展示で、販売もされます。
大西さんへの思いの伝わる展示です。

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【2012/03/26 04:25】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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