「あなたに見せたい絵があります。-ブリヂストン美術館 開館60周年記念」展
京橋・東京
chariot

京橋のブリヂストン美術館では「あなたに見せたい絵があります。-ブリヂストン美術館
開館60周年記念」展が開かれています。
会期は6月24日(日)までです。
休館日は4/15(日)、4/23(月)、5/28(月)のみです。

3月31日の開始に先立ち、3月30日にブロガーを対象とした内覧会がありましたので、
私も参加させていただきました。

先ず、1階の講堂で島田紀夫館長のご挨拶があった後、学芸員の貝塚健さんによる
スライドを使った概要説明がありました。

あ0076


今回は、同じ石橋財団の運営する京橋のブリヂストン美術館と久留米の石橋美術館の
所蔵作品から109点を選んでの展示です。

作品はテーマ別に11章に分かれて展示され、それぞれの作品には分かりやすい解説も
付いています。

(写真撮影は主催者の許可を得てあります。)

1章 自画像

あ0014

左はポール・セザンヌの「帽子をかぶった自画像」(1890-94年頃)です。
国立新美術館の「セザンヌ展」で観てきたばかりの、1875年頃のいかめしい自画像に
比べると、薄塗りで表情も穏やかです。

右はエドゥアール・マネの「自画像」(1878-79)で、マネの2点しかない自画像の1点です。
鏡を見て描いているので、服の合わせが逆になっています。
セザンヌはパリに出てきた初期の頃、マネの影響を受けています。

藤島武二の「自画像」(1903年頃)です。

あ0141

おもに近代日本の洋画を所蔵する石橋美術館の所蔵です。
油絵による唯一の自画像で、30歳代半ばの東京美術学校の助教授時代とのことで、
自負心の強そうな顔付きをしています。

2章 肖像画

あ0025

正面にピエール=オーギュスト・ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」
(1876年)、左はエドガー・ドガの「レオポール・ルヴェールの肖像」(1874年頃)、
右はルノワールの「少女」(1887年)です。

「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」は、まだ無名のルノワールが肖像画家として
成功するきっかけとなった作品です。
ブリヂストン美術館を代表する作品で、1階のカフェ、「ジョルジェット」も彼女の名前に
由来します。

他に石橋美術館所蔵の、黒田清輝の「針仕事」(1890年)、藤田嗣治の「横たわる女と猫」
(1932年)なども展示されています。

3章 ヌード

左は石橋美術館所蔵の安井曾太郎の「水浴裸婦」(1914年)、右は国吉康雄の
「横たわる女」(1929年)です。

あ0096

「水浴裸婦」はフランスで修業中の作品で、傾倒していたセザンヌの影響が見られます。
大きな画面ですが、奥行きが浅く、窮屈な感じもします。

「横たわる女」はアメリカで幻想的な光景を描いていた国吉が、欧州に行った時に
エコール・ド・パリの画家たちにモデルを使って描くことを勧められ、描き始めた作品です。

4章 モデル

カミーユ・コローの「森の中の若い女」(1865年)

イタリア旅行の30年後の作品で、当時を思い出してにフランスのアトリエでモデルに
イタリアの農婦の服を着せて描いています。
光の具合は屋外で描いたように見えます。

5章 レジャー

あ0115

左はウジェーヌ・ブーダンの「トルーヴィル近郊の浜」(1865年頃)で、海岸でピクニックを
楽しむ上流階級の人たちを描いています。
パリから通じた鉄道に乗って出かけるのが彼らのレジャーになっていました。
ブーダンは若いモネに戸外で絵を描くことを勧めた画家です。

右はエドゥアール・マネの「オペラ座の仮装舞踏会」(1873年)です。
マネの得意な黒の効いた、都会の歓楽の情景です。

6章 物語

石橋美術館所蔵の藤島武二の「天平の面影」(1902年)です。

あ0108

樹下美人図の形に倣った、優美でロマン的な作品です。
背景も日本画の金地のように見えます。

青木繁の「海の幸」(1904年)をはじめとして、「天平時代」(1904年)、「大穴牟知命」
(1905年)、「わだつみのいろこの宮」(1907年)も揃っています。

あ0023

青木繁のこれらの作品は昨年夏にこちらで開かれた、「没後100年 青木繁展
-よみがえる神話と芸術」にも展示されていたので、1年経たずに再会出来た
ことになります。

「没後100年 青木繁展の記事はこちらです。

「海の幸」の額縁は魚と波をデザインしているのに気が付きました。

あ0143


石橋財団コレクションは創設者・石橋正二郎と同郷の青木繁の作品の収集から
始まっています。

7章 山

あ0123

左は、ギュスターヴ・クールベの「雪の中を駆ける鹿」(1856-57年頃)、右は
ポール・ゴーガンの「乾草」(1889年)です。

狩猟のテーマは当時人気が合ったようで、クールベもよく描いています。

ポール・セザンヌの「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」(1904-06年頃)

セザンヌの風景画といえば、サント=ヴィクトワール山で、故郷のプロヴァンス
地方を代表する山です。
シャトー・ノワールとは黒い城という意味で、サント=ヴィクトワール山と
シャトー・ノワールを共に描いた、珍しい作品とのことです。

こちらのコレクションには珍しい、石橋美術館所蔵の雪舟の四幅対、「四季山水図」
(室町時代)もありました。

8章 川

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左はクロード・モネの「睡蓮」(1903年)、右は「睡蓮の池」(1907年)です。

セーヌ川沿いのジヴェルーに移り住んだモネは庭を広げ、川から水を引いて池を作り、
睡蓮の連作を描き始めます。
同じ睡蓮を描いても、時期によって風景から光そのものへと興味の対象が移っていくのが
分かります。

モネは光へと向かい、セザンヌは物のあり方へと向かっていますが、人付き合いの悪い
セザンヌがモネに好感を持っていたというのも面白いところです。

9章 海

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左から、ポール・シニャックの「コンカルノー港」(1925年)、クロード・モネの
「黄昏、ヴェネツィア」(1908年頃)、モネの「雨のベリール」(1886年)です。

この「雨のベリール」とよく似た、青木繁の「海景(布良の海)」(1904年)も並んで
展示されています。

10章 静物

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左は安井曾太郎の「薔薇」(1932年)、右は石橋美術館所蔵の安井曾太郎の
「レモンとメロン」(1955年)です。

「レモンとメロン」はセザンヌに倣って、違う視点から見たように描いているので、
鉢がテーブルの上で斜めになって見えます。
亡くなる年の作品で、修業時代に比べると、のびのびと自由な筆遣いです。

11章 現代美術

ワシリー・カンディンスキーの「二本の線」(1940年)です。

あ0137

何が描いてあるのか分からない代わりに、観る方は自由に解釈できる楽しさがあります。
私は水槽の中の魚などに見えます。


新しく購入した作品2点のお披露目展示もありました。

ギュスターヴ・カイユボットの「ピアノを弾く若い男」(1876年)です。

あ0090

カイユボットは印象派の画家で、他の印象派の画家たちの作品を購入して経済的援助も
しています。

ピアノを弾いている弟を描いた作品で、パリの裕福な家庭の一こまをみせています。
グランドピアノの奥行き、窓の位置など、いろいろ考えてあります。

昨年の国立新美術館での「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」で、「スキフ
(一人乗りカヌー)」(1877年)を観たときにも思いましたが、カイユボットは
空間構成の面白い画家です。

「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」の記事はこちらです。

第2回印象派展に出品された作品で、これでブリヂストン美術館は第3回展に出品された
ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」とともに、印象派展出品作を
2点所蔵することになります。

岡鹿之助の「セーヌ河畔」(1927年)です。

あ0093

岡鹿之助が自分の様式を確立した頃の作品です。
ルソーのような雰囲気があり、人物も描き込まれています。
クレーンの形はユーモラスで、絵本のような趣きがあります。

岡鹿之助は自分の作品を変奏曲のように組み替えて新しい作品を描いていることが
分かります。
同時に展示されている、「雪の発電所」(1956年)は実景を元に描いているので、
珍しい例といえます。

あ0122



普段は東京ではあまり観る機会の無い、石橋美術館の収蔵の黒田清輝、藤島武二、
青木繁、坂本繁二郎などの近代洋画も多く展示されています。
タイトルの「あなたに見せたい絵があります。」通り、見所の多い展覧会です。

展覧会のHPです。


今回は久しぶりにブリヂストン美術館の講堂に入りました。
かなり前のことですが、こちらの土曜講座によく来て、河北倫明、若桑みどり、
中山公男などの方々の講演を聴きました。
バロックの画家カラバッジョを知ったのも若桑みどりさんの講演によってでした。
スライドに映された「悔悛するマグダラのマリア」を初めて観たときの印象を今でも
よく覚えています。

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