「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」展 三菱一号館美術館
東京
chariot

丸の内の三菱一号館美術館では「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」
展が開かれています。
会期は5月27日(日)までです。

型001

浮世絵と並んで欧米のジャポニズムを興す元にもなった、日本の型染の型紙に
焦点を当てた展覧会です。

展示は以下の章に分かれています。

第1章 型紙の世界 ―日本における型紙の歴史とその展開
第2章 型紙とアーツ・アンド・クラフツ ―英米圏における型紙受容の諸展開
第3章 型紙とアール・ヌーヴォー ―仏語圏における型紙受容の諸展開
第4章 型紙とユーゲントシュティール ―独語圏における型紙受容の諸展開
第5章 現代に生きる”KATAGAMI”デザイン ―型紙に由来する現代のデザイン


第1章 型紙の世界 ―日本における型紙の歴史とその展開

型紙による型染は鎌倉時代から南北朝時代にかけて始まり、江戸時代前期は
武士の裃や羽織に、中期以降には町人の着物にも盛んに用いられています。

明治時代の後半になると西洋式の染色技術が定着し、日本式の技法による
染めは衰退してしまいます。
型紙もこの時期に大量に海外に流出していきます。

「縹麻地源氏車青海波模様素襖上下」 江戸時代・19世紀 国立能楽堂
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4月22日までの展示です。
素襖は武士の礼装ですが、これは狂言の衣装です。
源氏車を連ねて青海波模様としてあり、舞台衣装なのでかなり目立ちます。

「黄地霞に枝垂桜と流水草花に飛鳥模様衣装」 
 琉球王府時代・19世紀 女子美術大学美術館

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型紙による染めは沖縄の紅型(びんがた)にも影響を与えています。
紅型独特の華やかな色彩です。

第2章 型紙とアーツ・アンド・クラフツ ―英米圏における型紙受容の諸展開

1862年のロンドン万国博覧会以来、欧米で日本の造形が注目され、型紙のデザインも
受容されていきます。
平面的で簡素な模様は布、紙、陶磁器、ガラスなど多様な媒体に応用できるので、
工業化時代のデザインとして利用されます。

シルヴァー・スタジオ 「テキスタイル:杜若」 1895年頃 イギリス リバティ社
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流水と杜若を大胆にデフォルメしたデザインです。

オーブリー・ヴィンセント・ビアズリー 『表紙・挿絵:オスカー・ワイルド作「サロメ」』 
 1920年版(1894年初版) イギリス 文化学園大学図書館

ビアズリーの「サロメ」には確かに型紙からの意匠が多く見られます。

チャールズ・レニー・マッキントッシュ 「ヒルハウスのライティング・デスクの椅子」 
 1904年 イギリス 豊田市美術館

背の高いマッキントッシュの椅子ですが、縦に並ぶ四角い装飾が型紙の影響とは
知りませんでした。

ルイス・コンフォート・ティファニーおよび工房 「ランプ:芥子」 
 1900-10年頃 アメリカ 黒壁美術館

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アメリカでは、ティファニーやフランク・ロイド・ライトらが影響を受けています。

第3章 型紙とアール・ヌーヴォー ―仏語圏における型紙受容の諸展開

フランスではルネ・ラリック、エミール・ガレ、アルフォンス・ミュシャなどの
アール・ヌーヴォーに大きな影響を与えます。

ルネ・ラリック 「チョーカー:くわがたそう」 1899年頃 フランス オルセー美術館
型009

やはり型紙デザインはアール・ヌーヴォーに多く取り入れられていることが分かります。

モーリス・ドニ 「家族の肖像」 1902年 フランス 個人蔵
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2011年に損保ジャパン東郷青児美術館で開かれた、「モーリス・ドニ―いのちの輝き、
子どものいる風景」展にも出品されていた作品です。
背景に描かれたの壁紙はドニ自身が下絵を制作しています。
「モーリス・ドニ展」で観たときには背景の模様が型紙由来とは気が付きませんでした。

第4章 型紙とユーゲントシュティール ―独語圏における型紙受容の諸展開

ドレスデン工芸博物館が国外最大の16000枚の型紙のコレクションを保有するなど、
ドイツにも大きな影響を与えています。
マイセンやビレロイ&ボッホの陶磁器の模様にも使われています。

ドイツでは幾モダンで明快なデザインと組み合わせたものが多いようです。

第5章 現代に生きる”KATAGAMI”デザイン ―型紙に由来する現代のデザイン

約100年前に欧米で流行した型紙デザインは現在、見直され始めているとのことです。
そこでは、デフォルメされた形ではなく、日本のデザインがほぼそのまま使われています。
エキゾチックなジャポニズムの時代は昔のことで、欧米でも日本的美意識の製品に
なじんできたからでしょう。

バーレイ 「ティー・サービス・セット:ブルーキャリコ」
 1968年デザイン(2011年製作) イギリス 個人蔵
 
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バーレイ社は現在も「ブルーキャリコ」や「フェリシティ」など、型紙由来のデザインによる
テーブルウエアを製作しています。

型紙 「芭蕉」 プリントズ・カーペット社アーカイヴ
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この型紙のデザインによるカーペットも展示されています。
現代のインテリアにも合う、ナチュラルな感じです。

日本人は型紙デザインを見慣れているので、100年前のアーツ・アンド・クラフツや
アール・ヌーヴォーの中にそれが入っているのを見ても違和感を感じません。
そのため、そのデザインが海外に流出した型紙を通じて伝わったことを見過ごして
しまいます。

豊富な作品や資料によって日本文化の海外へ伝わり方の一つを再認識できる、
興味深い展覧会でした。

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【2012/04/10 04:26】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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