「桜 さくら SAKURA 2012」展 山種美術館
恵比寿
chariot

広尾の山種美術館では、所蔵作品による特別展、「桜 さくら SAKURA 2012」が
開かれています。
会期は5月20日(日)までです。

桜001


チラシに使われているのは、橋本明治の「朝陽桜」1970(昭和45)年です。
皇居新宮殿を飾った杉戸絵と同じ作品で、福島県三春の滝桜を描いています。

山種美術館が千鳥ヶ淵近くの三番町にあった時は毎年、桜の咲く頃は桜にちなんだ
展覧会が開かれていました。
今回は広尾に移ってからは初めての桜の絵の展覧会で、約60点の展示です。

4月14日には、「弐代目・青い日記帳」のTakさんの企画による山﨑妙子館長の
ギャラリートークが催されたので、私も参加させていただきました。

(撮影は美術館の方の許可を得てあります。)

会場に入ってすぐの場所で迎えるのは、奥村土牛の「醍醐」1972(昭和47)年、です。

山0062

画塾の先輩で敬愛する小林古径の七回忌に奈良を訪れた帰りに見た醍醐寺の桜に
感動して描いた作品です。

館長によれば、桜の花の色は綿臙脂という、ラックカイガラムシの体液を綿に
染み込ませた染料を使っていて、並んで展示されている加山又造の「夜桜」1986
(昭和61)年も綿臙脂による彩色とのことです。

会場で東京藝大の宮廻正明教授から頂いたという綿臙脂を見せてもらいましたが、
本当に臙脂色をした平たい大きなお煎餅の形をしていました。
ちょうどその日はテレビ東京でも「醍醐」をテーマにしていて、宮廻教授がその使い方を
見せてくれていました。
これを胡粉で描いた白い色の桜花の上に何度も塗り重ねて、淡く上品な桜色を出して
いるそうです。
今ではあまり使われない珍しい染料とのことですが、味わいの深い色です。

手前はその小林古径の「清姫のうち 入相桜」1930(昭和5)年、向こうは「弥勒」
1933(昭和8)年、です。

山0063

「入相桜」は安珍清姫伝説を8枚に描いた作品の終わりの場面で、二人を葬った
比翼塚に植えられたという桜を描いています。

冨田溪仙の屏風絵、「嵐山の春」1919(大正8)年頃、が目を惹きます。

右隻
山0064

左隻
山0066

今回は修復を終えて15年ぶりの公開とのことです。
冨田溪仙は軽やかさが魅力です。

石田武の「千鳥ヶ淵」2005年、です。

山0067

千鳥ヶ淵に近い三番町の頃は、本当にこれと同じ景色を一緒に楽しみました。
石田武の作品は他にも3点、展示されています。

奥田元宋の「湖畔春耀」1986(昭和61)年、です。

山0069

錦を織ったような深々とした色の重なりは館長の言葉通り、カラリストとしての
奥田元宋を表しています。

川合玉堂の作品も並んでいます。

山0073


松岡映丘の「春光春衣」1917(大正6)年、です。

山0072

大和絵の復興を目指した松岡映丘が古画や有職故実を研究して描き上げた、
王朝の春です。

弟子だった橋本明治、山本丘人の作品も展示されています。

第2展示室の、手前は速水御舟の「夜桜」1928(昭和3)年と、向こう側「春の宵」
1934(昭和9)年、です。

山0075

桜を包む春の宵闇を墨の色が表しています。

会場の作品の幾つかには古歌も添えられ、風情を増しています。

速水御舟 「夜桜」 1928(昭和3)年

  見てのみや人にかたらむ桜花手ごとに折りて家づとにせむ  
                        素性法師 古今和歌集

小野竹喬 「春野」 1944(昭和19)年頃

  浅緑野辺の霞は包めどもこほれてにほふ花桜哉  
                よみ人しらず 拾遺和歌集

稗田一穂 「朧春」 1976(昭和51)年

  月影も花もひとつに見ゆる夜は大空をさへ折らむとぞする  
                         紀貫之 古今和歌集

山本丘人 「走春ノ或ル日」 1980(昭和55)年 

  この里に旅寝しぬべし桜花散りのまがひに家路わすれて  
                      よみ人しらず 古今和歌集

石田武 「吉野」 2000(平成12)年

  み吉野のよしのの山の桜花白雲とのみ見えまがひつつ  
                    よみ人しらず 後撰和歌集
 

桜色の着物をお召しの山﨑館長による興味深いトークとともに春の夜のお花見を
満喫しました。

展覧会のHPです。

2009年に三番町で開かれた「桜さくらサクラ・2009」展の記事はこちらです。

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【2012/04/17 01:45】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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