「近代の京焼と京都ゆかりの絵画―受け継がれるみやこの美―」展 泉屋博古館分館
六本木1丁目
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六本木の泉屋博古館分館では、分館開館10周年記念展Part IIとして、
「近代の京焼と京都ゆかりの絵画―受け継がれるみやこの美―」展が開かれています。
会期は6月17日(日)までです。
5月13日(日)までの前期と5月15日(火)からの後期で、一部展示替があります。

京001


住友コレクションの中から、近代から近世にかけての京都文化を表わす、京焼などの
工芸品や絵画作品が展示されています。
4月21日には学芸員の方によるギャラリートークがあったので、行ってきました。

「二条城行幸図屏風」 江戸時代・17世紀
5月13日(日)までの展示です。
京006

寛永3(1626)年に上洛中の徳川秀忠、家光に招かれて、後水尾天皇と中宮和子
(後の東福門院)が二条城に行幸したときの盛儀を描いています。
中宮和子は秀忠の娘で、尾形光琳の実家の雁金屋に多額の着物の注文をしています。

上段は堀川通りを行く後水尾天皇と中宮和子の一行です。
堀川には仮説の桟敷が設けられて、大勢の見物人でひしめいています。
野点をしている人たちや、お約束の喧嘩の場面も描かれています。

下段は天皇を迎えに中立売通を御所に参内する将軍たちの一行です。
商家でも大勢の人が見物していて、子供に乳をやる母もいます。

左隻の左側には上段に天皇の御輿、下段には御所の門に到着した武家の一行が
描かれています。
京007

沿道では武士たちが平伏しています。
京010


「柳桜図」 木島桜谷 大正6(1917)年
京003 京002

5月13日(日)までの展示です。
後期には「燕子花図」が展示されます。

木島桜谷(このしまおうこく)(1977-1938)は京都で活躍した日本画家です。

輝く金地の左隻には覆い被さるような桜、右隻には湧き上がるような柳を配しています。
琳派風の装飾的な画面に、近代的な写実も加わり、とても明るい空間となっています。

京003

京002

展示室の奥正面に置いてあって、室内は華やかな雰囲気に包まれています。


「色絵龍田川水指」 仁清 江戸時代・17世紀
住006

赤と緑の蛇籠と水流で川を、芽吹いた柳で春を表しています。
口縁に紅葉が散らしてあって、紅葉の名所の龍田川となります。
白地に赤色が効いています。

「色絵鶏撮丸香炉」 仁清 江戸時代・17世紀
住004

香炉の蓋の横を向いた鶏がつまみになっています。
羽毛の描き具合が面白く、胴の唐草、蓋の牡丹模様の赤と緑が華やかです。
煙出しの部分を見ると、とても薄く作られていることが分かります。

「白鶴香合」 仁清 江戸時代・17世紀
住007

うずくまり、首を少し横に向けた鶴の姿です。
表情やたたんだ脚の具合が可愛く、釉の色合もやわらかく、温かです。
仁清は鳥や動物の姿を写した作品をよく作っています。

「唐物写十九種茶入」 仁清 江戸時代・17世紀
19種類の茶入を揃えた、茶入のサンプル集のような作品です。
「肩衝」「平肩衝」「文琳」「円座文琳」「茄子」「瓢箪」「芋の子」「瓶子」「大海」「内海」
「水滴」「樽」「丸壷」などがあります。

住友コレクションの中核になる品々を蒐集した住友家15代当主の住友春翠は
公家の徳大寺家出身で、京都文化の中で育った人です。
京焼の野々村仁清を好んだとのことで、仁清の作品を7点集めています。

近代になると、京焼も伝統に学ぶ一方でさまざの工夫を重ねます。

「依仁清意孔雀型香炉」 初代宮川香山 明治時代後期~大正時代初期
住005

横浜眞葛焼の創始者の初代宮川香山は輸出用の高浮き彫りで有名ですが、
京焼出身のこともあって、
仁清や乾山を写した作品も作っています。
国宝の「色絵雉香炉」に拠った作品で、孔雀の羽根を大きく広げた、大胆で面白い
デザインです。
羽根の緑や金彩には仁清らしい味わいがあります。

住友春翠は宮川香山の作品でも高浮き彫りではなく、その後の滑らかな姿で
明快な彩色の作品を好み、上京したときは横浜にある香山の眞葛焼の窯を
よく訪れたそうです。

「色絵鴛鴦置物」 五代清水六兵衛
京005

清水焼の五代清水六兵衛(1875~1959)の作です。
こちらも仁清風で、目を開けて起きている雄と眠っている雌の対比の面白い、
愛らしい作品です。

「秘色窯瑞雲文瓢形花瓶」 三代清風与平 明治時代後期
京004

「秘色」とは「秘色青磁」のことで、越州窯で9~10世紀に焼かれた
青磁を指すとのことです。
堂々とした瓢箪型の青磁の胴一面に雲を浮き出させています。
三代清風与平(1851~1914)は宋代の青磁、白磁の写しに巧みで、
陶芸では最初に帝室技芸員に選ばれています。

「葱翠磁彫刻転枝豆文花瓶」 初代三浦竹泉 大正時代・1910年代
緑色がかった青磁の花瓶ですが、牡丹唐草文に似せて枝豆を浮き彫りにしてあります。
重厚な牡丹唐草文に比べて、ほほえましい俳味が出ています。
中国の古陶磁を写すだけでなく、日本の趣味に合った工夫もしていることが分かります。

初代三浦竹泉(1854~1915)は西洋の彩色を取り入れるなど、京焼の改良に
努めています。

他に初代伊東陶山、七代錦光山宗兵衛などの作品も展示されていて、京焼の奥深さと
幅の広さを見せてくれます。


「葆光彩磁珍果文花瓶」 板谷波山 大正6(1917)年 重要文化財
京011

京焼ではありませんが、板谷波山の作品も特別出品されています。

板谷波山(1872~1963)は陶芸家として最初の文化勲章の受章者で、
葆光釉(ほこうゆう)といわれる薄いヴェールのような釉薬を掛ける技法で
有名です。
板谷波山は東京美術学校で彫刻を学んだ後、金沢の石川県工業学校で
陶芸の指導するうちに自身も本格的に陶芸を始めています。
その後、長く東京の田端で製作し、号の波山(はざん)は故郷茨城県の
筑波山に由来しています。

作品は高さ50cmほどもあり、桃、枇杷、葡萄を盛った籠がとても細密に描かれ、
絵に立体感があります。
まるで光が器の中に閉じ込められているようで、板谷波山の作風を代表する
端正で優美な作品です。

この作品は同じ年に指定された初代宮川香山の作品とともに、明治以降の
陶磁器作品としては初めて、2002年に重要文化財に指定されています。

住友春翠のコレクションを中心にしているだけあって、上品でみやびな作品の
揃った展覧会です。
主な展示作品を解説したパンフレットもあって、親切な展示になっています。

展覧会のHPです。





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【2012/04/25 03:07】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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