「薔薇と光の画家 アンリ・ル・シダネル展-フランス ジェルブロワの風-」展 損保ジャパン東郷青児美術館
新宿
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新宿の損保ジャパン東郷青児美術館では「薔薇と光の画家 アンリ・ル・シダネル展
-フランス ジェルブロワの風-」が開かれています。
会期は7月1日(日)までです。

シ001


アンリ・ル・シダネル(1862-1939)はフランスの画家で、伝統的な美術教育を
受けながら、印象派などの影響を受け、しかも印象派とは少し違った、静謐な
作品を描いています。

この展覧会では油彩画を中心に約70点が展示されています。

シダネルはインド洋のモーリシャス島の生まれで、1872年に一家はダンケルクに
移住します。
その頃、父に絵の才能を見出されて絵画の勉強を始め、1880年にパリに出て、
カバネルの塾に入ります。
カバネルと言えばアカデミックな絵画の代表者ですが、シダネルは印象派の
画家たちと知り合い、影響を受けるようになります。
1885年には北フランスのエタプルに移り、光に注目した作品を描くようになります。

「帰りくる羊の群れ」 1889年 ひろしま美術館
シ003

ミレー風の作品ですが、夕暮れの淡い光と人や羊の影を意識しています。
女性のマントの薄い紫色が印象的です。

「朝」 1896年 ダンケルク美術館
シ006

1894にパリに戻りますが、その頃は象徴主義が興っていました。
シダネルが最初に開いた個展に出品された作品で、妹の嫁いだ先である、
ロワール地方のモントルイユ=ベレーの情景です。 
花嫁のようなヴェールを被った女性が小舟に乗っている、象徴的な雰囲気の
作品ですが、やはり朝の光が主役です。

「夕日のあたる大聖堂」 1900年 ボーヴェ、オワーズ県立美術館
シ008

シダネルはフランスやヨーロッパ各地への取材旅行をさかんに行なっています。
北フランスのボーヴェにあるサン・ピエール大聖堂に当たる夕日です。
モネも光の中のルーアン大聖堂をシリーズで描いていますが、光の作用そのものに
興味を持っています。
シダネルは手前に暗がりの中の民家を置いて、夕暮れの雰囲気というものを
描いています。
シダネルの特徴の点描によっていますが、それは移ろう光の儚さを表わして
いるようです。

点描法で有名なジョルジュ・スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」が
第8回印象派展に出品されたのは1886年です。

シダネルはこの頃から人の姿を描かずに、建物や調度品によってその気配だけを
感じさせるようになります。

「コンコルド広場」 1909年 トゥルコワン、ウジェーヌ・ルロワ美術館
シ009

夜の情景で、雨の日なのか地面も光を反射しています。
街灯、噴水、馬車と一緒に自動車らしい形も見えます。

「広場」 ブリュッセル 1934年 ラーレン(オランダ)、シンガー美術館
シ007

シダネルは1898年に、妻となるカミーユと出会ますが、両親に反対されてベルギー
のブリュ-ジュに駆け落ちしています。
そのため、ベルギーの景観は後のシダネルにとって思い出深いものとなったようです。

2009年に同じ損保ジャパン東郷青児美術館で開かれた、「ベルギー王立美術館
コレクション ベルギー近代絵画のあゆみ展」で観たベルギー印象派の作品も
シダネルとよく似た雰囲気を持っていました。
この展覧会でもシダネルの作品が展示されていました。

「ベルギー近代絵画のあゆみ展」の記事はこちらです。

「離れ屋」 1927年 ひろしま美術館
シ012

シダネルは1901年にパリの北西にあるジェルブロワに移ります。
ジェルブロワはイギリスに支配されていたため百年戦争の戦場となり、
その後は見捨てられたような寒村でした。
シダネルは古い建物を買って住み、庭に薔薇を植えます。
さらに村の人にも薔薇を植えることを勧め、やがて村中が薔薇に包まれて、
今ではジェルブロワは「フランスの最も美しい村」の一つに選ばれています。

グーグルのストリートビューで、「Gerberoy」と入力すると、本当にシダネルの
絵のような景色を見ることが出来ます。
「アンリ・ル・シダネル通り」というのもあります。

作品は夕闇の中に浮かび上がる庭の薔薇です。
家の窓の明かりが人の暮らしの気配を感じさせます。

「青いテーブル」 1923年 ラーレン(オランダ)、シンガー美術館
シ002

1901年頃から、人のいないテーブルとイス、食器類を描くようになります。
作品はジェルブロワの自宅の情景です。 
セザンヌの、存在としての静物ではなく、情景としての静物を表わしている
ように見えます。

「夕暮の小卓」 1921年 大原美術館
シ013

パリの南の町、ヌムールの夕暮れです。
シダネルは水辺の情景も好んで描いています。

「教会の下の家、黄昏」 1934年 トロワ美術館
シ011

ジェルブロワの夕闇の迫る前のひとときの情景です。

「薔薇の花に覆われた家」 1928年 ル・トゥケ=パリ=プラージュ美術館
シ014

シダネルは1909年にパリ郊外のヴェルサイユにアパルトマンを借りて、
寒い季節はそこで過ごします。
ヴェルサイユ宮殿のすぐ横にあったので、シダネルは宮殿の庭を
よく散歩しています。
夕暮れ時の家の窓には明かりが灯り、壁の薔薇は星のようです。

「ランビネ美術館」 1937年 ランビネ美術館
シ015

シダネルが亡くなる年の1939年にシャルパンティエ画廊で開かれた、
生前最後の個展に出品された作品です。
ヴェルサイユにあるランビネ美術館の前庭と正面を描いています。
木は葉を落とし、水盤には枯れ葉が散っていますが、美術館の中には
誘うような暖かな光が灯っています。


解説には、シダネルの追求したのは印象派の真昼の光ではなく、夜から昼あるいは
昼から夜に変わる一瞬の、いわば「秘密の時間」の微妙な光、とありました。
それは目に見える光ではなく、「心に映る光」と言えます。

どの作品も静謐で、何となく寂しく、懐かしく、自分も絵の中に入っていきたい、
いつまでも観ていたい、という思いがして、会場を去り難い気持ちになりました。

展覧会のHPです。

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【2012/04/28 05:16】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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blog_name=【Art & Bell by Tora】 ♥   アンリ・ル・シダネル展 @損保ジャパン東郷青児美術館
 
 シダネルはかなり前から知っている画家である。その穏やかな点描風の画は、なんとなく和むものでありながら、実際には、ちらと見ながら、その前を通り過ぎていた。  今回、こ
【2012/05/25 22:18】

blog_name=【弐代目・青い日記帳 】 ♥   「アンリ・ル・シダネル展」
 
損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の 薔薇と光の画家「「アンリ・ル・シダネル展―フランス ジェルブロワの風―」に行って来ました。 http://www.sompo-japan.co.jp/museum/ 2011年11月6
【2012/05/24 22:13】

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