「越境する日本人 工芸家が夢みたアジア 1910s-1945」 竹橋の東京国立近代美術館工芸館
竹橋
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竹橋の東京国立近代美術館工芸館では、「越境する日本人 工芸家が夢みたアジア
1910s-1945」が開かれています。
会期は7月16日(月・祝)までです。

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大正から昭和戦前期にかけて、工芸の源流や工芸の新しい可能性を求めて多くの
工芸家が大陸に渡って見聞し、あるいは現地で制作を行なっています。
そうした、「アジアはひとつ」という戦前の工芸における思潮を示す作品や資料が
展示されています。

山鹿清華 「熱河壁掛」 1937年 東京藝術大学大学美術館
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大きな壁掛で、展示期間は6月10日までです。
河北省熱河(現在の承徳)には清朝皇帝の避暑山荘があり、多くのチベット寺院が
建っていました。
その寺院を背景にして、親子のラクダを描いています。
ラクダの瘤や脚、尻尾などは厚く立体的に織り出しています

沼田一雅 「胡砂の旅」 1937年 京都国立近代美術館
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高さ20cmほどの陶磁器彫刻の作品で、鞍を置いた駱駝が精巧に造られています。
唐三彩の駱駝に刺激されているのかもしれません。

童謡の「月の沙漠」が発表されたのは1923年です。
日本人の砂漠やシルクロードへの憧れは現在も続き、日本画の画題にもなっています。

龍村平蔵 『漢羅「楽浪」』 1927年 龍村美術織物
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虎や朱雀、麒麟のような動物が織り出されています。
平壌郊外の楽浪遺跡の発掘により出土した青銅製の筒に彫られた狩猟文を元に
制作しています。

1910-20年代にかけて、雷文、唐草文、鳳凰文などの古典的な題材を使う新古典派の
作品が盛んに作られるようになります。
1925年には鋳金工芸の香取秀真、陶芸の板谷波山、漆工芸の六角紫水、堆朱工芸の
20代堆朱楊成たちによって工芸済々会が結成されます。
工芸済々会は「東西一に帰せんとする将来の文明」の建設を目標にしています。

板谷波山 「霙青磁牡丹彫文花瓶」 1925年 東京国立近代美術館
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六角紫水 「理想界の図蒔絵手箱」 1929年 広島県立美術館
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北大路魯山人 「萌葱金襴手鳳凰文煎茶碗」 1939年 東京国立近代美術館
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また、従来の唐物とは異質な唐三彩や磁州窯の人気が高まり、李朝の白磁、染付、
鉄絵なども注目されます。
これらの素朴な美しさが新しい工芸の方向を示すことになります。

富本憲吉 「染付陶板 京城東大門満月」 1934年 東京国立近代美術館
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富本憲吉は1922年に柳宗悦と朝鮮を旅行し、李朝陶磁に高い関心を寄せて、
李朝陶器写生巻3巻を描きます。
陶板の図柄はこの時の写生を元にしています。

昭和初期には北大路魯山人や川喜田半泥子が陶土を求めて朝鮮に渡り、
李朝風の陶器を作っています。

小森忍 「黒釉刻花果物皿」 1931-34年 瀬戸黒ミュージアム
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小森忍は南満州鉄道株式会社中央試験所に勤めた後、1921年に
小森陶磁器研究所を設立しています。

杉浦非水 「ポスター 南満洲鉄道株式会社」 1917年頃 東京国立近代美術館
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民族衣装を着た飛天がトーチを掲げています。
南満洲鉄道(満鉄)のポスターは具体的な営業内容を描かず、会社のイメージを
伝えようとしているとのことです。

河井寛次郎(考案) 「竹製棚、竹製テーブル、竹製椅子」 
 1940-41年 河井寛次郎記念館

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京都の自宅(現在の河井寛次郎記念館)を新築した時に木製家具をデザイン
したことから家具のデザインも手がけるようになります。
竹製家具を考案したのは台湾の竹製家具を目にしたのがきっかけです。

明治維新以来、日本は西洋に倣って近代化を推し進めています。
しかし、工芸においては陶磁器や染織など、アジアの質の高さは圧倒的です。
工芸家たちが今後の方向をアジアに見出したのも当然かもしれません。

東京国立近代美術館工芸館は旧陸軍の近衛師団司令部庁舎だった建物です。
太平洋戦争の降伏直前に陸軍将校の起こしたクーデター未遂事件(宮城事件)の
舞台の一つになった所でもあります。
その工芸館で、解説文にある、「可能性としてあり得たかもしれないもう一つの近代」に
ついて考える展覧会が開かれているのも興味深いことです。

展覧会のHPです。

工芸館の玄関から見た景色です。

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近くの北の丸公園です。

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皇居外苑のHPです。
What’s New には時々に咲いている北の丸公園の花のことが書いてあります。




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【2012/06/09 02:03】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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