「生誕120年 福田平八郎と日本画モダン」 山種美術館
恵比寿
chariot

恵比寿の山種美術館では特別展、「生誕120年 福田平八郎と日本画モダン」が
開かれています。
会期は7月22日(日)までです。

福田001


明快でモダンな作風で知られる福田平八郎(1892-1974)の作品約20点と、
同時代の画家たちのモダンな作品の展示です。
6月24日までの前期と6月26日までの後期で一部展示替えがあります。

福田平八郎 「牡丹」 1924年 山種美術館蔵
初期の作品で、絹地の裏からも色を塗る裏彩色を使って、やや霞んで見える牡丹を
画面いっぱいに細密に描いています。
加山又造の描きそうな妖しい雰囲気を持っています。

画風が転換したきっかけは、1928年の中国旅行と1930年の六潮会(りくちょうかい)への
参加とのことです。
六潮会では評論家や、洋画家の牧野虎雄、中川紀元、木村荘八、日本画家の中村岳陵、
山口蓬春と交流します。

福田平八郎 「漣」 1932年 大阪市立近代美術館建設準備室蔵
福田002

前期展示です。

画風転換の記念となる作品で、銀地の水面に立つさざなみを群青の1色だけで
描いています。
題名がないと、水面を描いたものかどうかはっきりしないほど抽象化されています。
画面の上の隙間を少なくして、遠近感も出しています。
現在観ても斬新な作品ですから、80年前にはさぞ日本画として意表を衝いた絵に
見えたことでしょう。

初めは銀(プラチナ)箔地に描くつもりだったのが、表具屋が間違えて金箔の屏風を
持ってきたので、仕方なくその上にプラチナ箔を貼って描いたところ、以外に良い具合に
なったということです。
会場にはサンプルとして、プラチナ箔地と金箔にプラチナ箔を重ねたものが展示されて
いましたが、たしかに金箔と重ねた方が柔らかい色合いになります。

福田平八郎 「筍」 1947年 山種美術館蔵
福田12-12-2009_001

単純化された明快な画面で、一面に竹の落ち葉の散り敷かれた中に2本の筍を
くっきりと描き出しています。
並んで立っている筍には強い存在感があります。
皮の巻き付き方もリズム感があり、皮の先の緑色が鮮やかです。

福田平八郎 「雨」 1953年 東京国立近代美術館蔵
近1-3-2010_004

後期展示です。
瓦屋根に雨が降り始めた一瞬です。
屋根の瓦が規則的に並んでいるだけという、色彩にも乏しい景色を
見事に絵画的に仕上げています。
雨粒をはじく雪国の瓦と違って、雨の跡の残る京都の瓦の特徴をよく捉えています。
微妙に遠近を付けて、屋根の傾きも感じさせます。

私が初めてこの作品を観たとき、屋根瓦が絵の題材になり、しかも新鮮な感覚が
あることに感心しました。

福田平八郎 「彩秋」 1943年 山種美術館蔵
福田005

柿の葉を色面分割して彩色しています。
弟子の正井和行は、これと同じような絵柄の「青柿」を福田平八郎から見せられ、
この絵が解るかと訊かれても、理解出来なかったそうです。
弟子がまだ理解出来ないような技法を使うなど、いろいろ工夫をしていた訳です。


日本画モダンの章では、以下の視点で各作家の作品を展示しています。

 琳派へのオマージュ
 主題の再解釈
 大胆なトリミング・斬新なアングル
 構図の妙
 風景のデザイン化

前田青邨 「おぼこ」 1944年 東京国立近代美術館蔵
福田003

後期展示です。
オボコはボラの幼魚で、水面近くを群れをなして泳ぎます。
前田青邨は歴史画を得意としていますが、構図には近代的な感覚が見られます。
それは大作の「大物浦」(1968年)、「異装行列の信長」(1969年)などにも表れています。

山口蓬春 「夏の印象」 1950年 個人蔵
福田004

さわやかな明るい色彩で、麦わら帽子はモザイクのようです。
遠くの貝殻は小さく、画面に遠近感があります。
散らばっている様子はもうちょっとでシュルレアリスムに届きそうです。

山口蓬春 「卓上」 1952年 山種美術館蔵
西005

こちらも明るく洋風で、キュビズムを感じる作品です。
日本画モダンということでは、山口蓬春は際立っています。


花鳥風月を描いていた日本画も、洋画に学び、時代感覚を取り入れて
モダンになっていることが良く分かります。


関連企画として、面白そうなフォトコンテストも開催されています。
締切は7月22日なので、興味のある方は美術館のHPの5月4日付
新着情報をご覧ください。

山種美術館のHPです。




関連記事

【2012/06/03 04:57】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(2) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
  • IMAさん、こんばんは。
  • これだけ近代日本画の揃った美術館は他には無いので、いろいろ事情はあるでしょうが、維持し続けて欲しいものでね。
    リンクの件、もちろんOKです。

    【2012/06/05 22:50】 url[chariot(猫アリーナ) #/8nqih4Y] [ 編集]
  • こんばんわ!
    山種美術館の所蔵、いいのがいっぱいですヨね。でも事情があって最近は手放す作品も少ないないとか・・・。何とか持っていてもらいたですけど。
    ところでですが、リンク貼らせていただいていいでしょうか?
    IMA

    【2012/06/05 00:10】 url[ I M A #-] [ 編集]
    please comment















    管理者にだけ表示を許可する

    trackback
    trackback url ↓
    http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/1465-53113033

    blog_name=【はろるど】 ♥   「福田平八郎と日本画モダン」 山種美術館
     
    山種美術館 「福田平八郎と日本画モダン」 5/26-7/22 山種美術館で開催中の「福田平八郎と日本画モダン」のプレスプレビューに参加してきました。 一面の瓦に滴り落ちる雨粒の軌跡、...
    【2012/07/05 21:44】

    blog_name=【弐代目・青い日記帳 】 ♥   「福田平八郎と日本画モダン」
     
    山種美術館で開催中の 「福田平八郎と日本画モダン」展に行って来ました。 http://www.yamatane-museum.jp/ 今年は福田平八郎(1892-1974)の生誕120年にあたる節目の年。 明治の開国以降急速...
    【2012/06/17 22:26】

    プロフィール

    chariot

    Author:chariot
    東京のビルの多い街で暮らしています。

    最近の記事

    最近のコメント

    最近のトラックバック

    カテゴリー

    ブログ内検索

    月別アーカイブ

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    RSSフィード


    | ホーム |