「日本橋~描かれたランドマークの400年~」展 江戸東京博物館
両国
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両国の江戸東京博物館では「日本橋~描かれたランドマークの400年~」展が
開かれています。
会期は7月16日(月・祝)までです。

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江戸東京博物館開館20周年記念特別展ということで、所蔵するコレクション
約130件によって、400年以上の歴史を持つ日本橋の歴史を振り返る展覧会です。

展示は以下の章に分かれています。

第1章 都市・江戸の橋
第2章 日本橋を描く~江戸城、富士山、魚河岸と~
第3章 文明開化と日本橋
第4章 石で造られた日本橋

第1章 都市・江戸の橋

日本橋は慶長8(1603)年に初めて架橋されています。
徳川家康が征夷大将軍になった年に当たります。

「東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景」 歌川広重 天保(1830~43)中頃
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南岸からの景色で、どちらのお大名でしょうか、毛槍と馬印を立てた大名行列の一行が
朝の日本橋を渡ります。
太鼓橋の形を上手く使っていて、お侍の武張った肘も描写されています。
手前の高札場の横では、日本橋の市場で仕入れた魚屋や八百屋の棒手振りが
商いに出かけるところです。
町の木戸は開けられ、遠くには火の見櫓も見え、いかにも江戸らしい鮮やかな風景です。

「隅田川風物図巻」日本橋部分 筆者不詳 江戸中期・18世紀中頃
長さ10m近い絵巻で、一石橋から始まり、日本橋川を下って日本橋、茅場町を過ぎ、
豊海橋で隅田川に合流し、さかのぼって永代橋、両国橋を過ぎ、浅草寺から木母寺、
そして梅若塚にいたる景色を描いています。

(昼景)
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北岸からの景色で、手前に魚市、橋を渡った南岸に高札場や木戸、材木置き場、
蔵が見えます。
日本橋が人と物資の集散地だったことを示しています。
今でも日本橋に鰹節屋や海苔屋があるのはこの頃の名残です。

(夜景)
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紙の一部を小さく切り抜き、薄い紙を貼って、暗い所で裏から光を当てると、
切り抜いた部分が明るく光るという、「影からくり絵」になっています。
展示室では一定時間ごとに照明を落として、その光るからくりを見せてくれます。

日本橋や両国の家並みに灯が点り、両国では花火が上がっています。
窓の中の人影まで映っているという凝り様で、江戸の夜の賑わいが浮かび上がります。

第2章 日本橋を描く~江戸城、富士山、魚河岸と~

絵画に描かれたいろいろな日本橋風景の展示です。

歌川広重 「東都名所 日本橋真景并ニ魚市全図」 天保(1830~43)中頃
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3枚続きの錦絵で、日本橋を描くときの典型的な構図で描いています。
北岸からの眺めで、右に富士山と江戸城、真中に日本橋と魚市、左に高札場と
船着場を配しています。

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渓斎英泉 「江戸日本橋より冨士を見る図」 文政(1818~29)中頃
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これも典型的な構図ですが、周りをアルファベットのような文字で囲って、
異国趣味を出しています。
オランダ東インド会社のロゴも混じっています。

葛飾北斎 「冨嶽三十六景 江戸日本橋」 天保2~4 年(1831~3)頃
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日本橋は人ごみに埋もれ、擬宝珠でやっと橋だと分かる賑わいです。
川の両岸には水運を利用した蔵が立ち並んでいます。
西洋の遠近法を使って描かれ、水路の正面に江戸城、遠くには富士山が見えます。

第3章 文明開化と日本橋

明治6(1873)年に路面が平らな西洋型木橋に架け替えられ、明治15(1882)年には
鉄道馬車も通ります。

歌川芳虎「東京日本橋風景」  明治3(1870)年
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大判錦絵の3枚続で、まだ太鼓橋の頃です。
騎馬、馬車、荷車、人力車や自転車まで描き込まれています。
左側の高札場がひときわ立派で、人力車はこの年に高札場横で営業を始めています。
日本橋の絵で高札場が注目されるのは、新しいお触れが次々出される明治維新直後の
特徴とのことです。
なぜ高札場がこんなに大きく描かれているのか不思議でしたが、謎が解けました。

第4章 石で造られた日本橋

現在の石造の橋が架けられたのは明治44(1911)年です。

「日本橋繁華之光景」 土屋伝 大正15(1926)年
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橋には青銅の柱が立ち、向こうには三越百貨店と赤レンガの帝国製麻ビルが見えます。
空を複葉機が飛んでいる一方で、日本橋川にはまだ川舟が行き交っています。
この方角では見えない筈の富士山も描かれています。

これと同じ構図で、大正12年の関東大震災で一帯が火に包まれている絵も展示されて
いて、この絵はその後の復興を強調しているものと思われます。

帝国製麻ビルは辰野金吾の設計ですが、昭和62年に取り壊されてしまいました。
現在は昭和38年に建設された首都高速道路が橋をまたいでいます。

川瀬巴水 「日本橋(夜明け)」 昭和15(1940)年
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北岸からの眺めで、昼の賑わい時ではなく、朝の日本橋を抒情的に描いています。
橋を行き交う人もうつむいています。
左の建物の上には白木(屋)の文字も見えます。
今のコレド日本橋の場所です。
太平洋戦争の始まるのは翌年の昭和16年で、やがて日本橋も空襲の被害を受ける
ことになります。

江戸東京博物館の平常展会場には、江戸時代の日本橋の北詰側が実物大で
復元されているので、一緒にご覧になるとさらに興味が増すことでしょう。

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長くランドマークであり続ける日本橋の400年の変遷を伝える、興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。

2011年に三井記念美術館で開かれていた「日本美術にみる橋ものがたり」展でも
日本橋を取り上げていました。
「日本美術にみる橋ものがたり」展の記事はこちらです。

文化2(1805)年の日本橋の賑わいを長さ約12mにわたって描いた絵巻、
「熈代勝覧(きだいしょうらん)」の複製が東京メトロ三越前駅の地下コンコースに
常時展示されています。
解説も付いていて、私はそこを通るたびに眺めて楽しんでいます。

日本橋南詰で、高札場があるのが分かります。
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日本橋の向こうには富士山が見えます。
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橋の北詰の賑わいです。
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越後屋です。
現在は右側に三井本館、左側に三越本店があります。
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【2012/06/05 05:46】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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