「シャガール 愛をめぐる追想」展 日本橋高島屋
日本橋
chariot

日本橋高島屋8階ホールでは6月25日(月)まで、「シャガール 愛をめぐる追想展」が
開かれています。
入場料は1000円です。

シャ001


マルク・シャガール(1887-1985)の、スイスの個人の所蔵する日本未公開作品と
岐阜県美術館の所蔵する版画による展示です。

「村の通り」 グワッシュ 1909年
シャ005

シャガールはロシア(現在のベラルーシ)のヴィテブスクで、ユダヤ系の家に生まれています。
パリに出てくる前のサンクトペテルブルクで絵画を習っていた頃の作品で、故郷の風景
でしょうか、板屋根の木造家屋が並んでいます。
人の姿が描き込まれているところは後のシャガールを思わせます。

ヴィテブスクは第2次世界大戦では独ソ戦の戦場になり、破壊されてしまっています。

「婚約者たち」 グワッシュ 1927年頃
シャ003

愛や追憶を描くシャガールの世界が始まっていて、抱き合う男女が花束の一部になっています。
1930年に描かれ、後にピッツバーグでのコンペティションに出品した「婚約者たち」の下絵で、
シャガールは3等賞を得ています。

1941年にフランスがナチスドイツに占領されたため、シャガール一家はマルセイユから
アメリカへの亡命を企てますが、反ユダヤ法が成立していたため、出国出来なくなります。
その時、コンペの賞状を示したおかげで亡命に成功したということです。

「キリスト復活 のための習作」 油彩 1948年
シャ004

「レジスタンス」「復活」「解放」の3部作のうち、「復活」の習作です。
キリスト教の物語を描いていますが、イエスが腰に巻いているのはユダヤ教の礼拝用の
肩掛けで、左下の男はトーラー(ユダヤ教の律法の書)を持ち、ユダヤ教の燭台も
描かれています。

シャガールは1947年に亡命先のアメリカからフランスに戻っています。

「ロバの横顔のカップル」 油彩 1980年頃
シャ006

最晩年の90歳頃の作品です。
カップルの男女、ロバ、故郷のヴィテブスクが描かれています。
3色に色面分割されていて、シャガールはよく色面分割を行なっています。

ロバはやさしさや無垢の生命の象徴とのことです。
ユダヤ教の中でも東欧やロシアのハシディズム(敬虔主義)では、人と動物とは
近い関係にあり、人は動物に転生することもあるとされているそうです。
シャガールの作品にロバや雄鶏などがよく登場するのはハシディズムの影響も
あるとのことです。

「画家の夢」 油彩 1980年頃
シャ002

同じく最晩年の絵で、展示されている作品の中で一番大きい作品です。 
男女、楽器を持つ楽師、ダビデ王と竪琴、ロバに乗った母子、ロバ、雄鶏、
キリストの絵を描く画家と天使、故郷の町、飛ぶ男、月と、シャガールのモチーフが
すべて描き込まれています。
まさに画面いっぱいに追想の世界が繰り広げられています。

シャガール自身は「私は夢を見ない」「夢ではなく、生命だ」と言って、自分の作品は
夢の世界を描いているのではないことを述べています。
東欧のユダヤ人の使っていたイディッシュ語では、非常にうれしい気持ちを、
「空中に舞い上がる」という言葉で表現するそうで、シャガールの作品はイディッシュ語が
絵画になったものとも言われています。

異なる時間を同じ画面に描いたり遠近法を無視するのもシャガールの特徴ですが、
これらは東方キリスト教のイコンの描き方でもあり、シャガール自身、「私はイコンに
多くを負っている」と述べているとのことです。

ロシア文化はルネサンスを通過せず、ビザンチンからそのまま近代に入ったとされており、
「自然主義、印象主義、写実的な立体主義くたばれ」と言ったというシャガールは
まさにロシア文化の画家だったことになります。
同じエコール・ド・パリの画家の藤田嗣治が日本文化を基本にしていたのと似ています。

シャガールの謎と題した解説も面白く、岐阜県美術館所蔵のサーカスを題材にした
リトグラフも魅力的な作品が多く、興味深い展覧会でした。


2010年に東京藝術大学大学美術館で開かれていた、「シャガール展」の記事はこちらです。


  


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【2012/06/11 01:58】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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