「田渕俊夫展 いのちの煌めき」 渋谷区立松涛美術館
渋谷
chariot

渋谷区立松涛美術館では、「田渕俊夫展 いのちの煌めき」が開かれています。
会期は7月22日(日)までです。

田001


渋谷区制施工80周年展ということで、渋谷区在住の日本画家、田渕俊夫さん
(1941~)の作品、約30点が展示されています。

田渕俊夫さんは日本美術院同人で、伝統的な日本画の技法に依りながら、
近代的な感覚を取り入れています。
くっきりとして緻密な描線を用い、色彩を対象の輪郭と一致させず、
色面として描く技法で知られています。

田渕さんの個展を観るのは、2009年に日本橋三越で開かれていた、
「画業40年 東京藝術大学退官記念 田渕俊夫展」以来です。
日本橋三越の「田渕俊夫展」の記事です。

作品には田渕さんの解説が添えられていて、鑑賞の援けになります。

「ヨルバの花」 1968年 名古屋市美術館
田003

東京藝術大学の大学院終了後に渡ったアフリカから帰国してすぐに描いた作品で、
初めて植物を描いています。
ヨルバはナイジェリアの種族の名で、作品も熱帯に繁茂する植物の生命力を
表しています。

「尾州八題之内 岩屋堂」 1978年 メナード美術館
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愛知県立芸術大学美術学部の助手時代の作品です。
瀬戸の東大演習林にある小さな川の上流で見つけた光景で、水の流れを描くのに
苦労したそうです。

「流転」 1983年 成川美術館
田004

色彩が色面となって描かれています。
作品制作のために庭中に朝顔の種を撒いて、芽が出て蔓が伸び、花が咲き枯れるまで、
半年かけてスケッチしています。
昼間に刈ると愛着心が湧くので、夜に奥さんと刈り取ったところ、積み上げられた中で
華麗な花がを咲いているのを翌日に見て、しばらく罪悪感に悩まされたそうです。

この展覧会の前に観てきた「クライドルフ展」でも、花を摘んでしまったことを
クライドルフが後悔するという話が紹介されていて、二人が同じ感性を持って
いることを興味深く思いました。

「泊」 1998年 個人蔵 
田002

偶然見付けたという、伊豆の稲取の漁港の風景です。
漁船を描くのは初めてなのでスケッチに時間がかかり、2,3隻分描くのが精一杯で、
作品にするときは3枚の写生を画面に繰り返して構図をつくったそうです。
描線がくっきりと際立っていて、漁船の並ぶ姿には整然としたリズムがあります。

田渕さんはスケッチにはパチンコの景品の0.5mmのシャープペンシルを使っている
そうですが、スケッチの線は明確で力があります。

「時の証人 II」 2000年 大三島美術館
田005

ベトナムの街角を駆け抜けるバイクの群れを、同じ絵柄のバイクに乗った人物を
少しづつずらしながら描く技法で表現しています。
喧騒と躍動感が表れていて、現代アートの趣があります。

「鶴岡八幡宮絵巻」 2011年 鶴岡八幡宮
絵巻物で、源頼朝たちの前で舞う白拍子姿の静御前の場面と、空から見たその頃の
鎌倉の場面が展示されています。
田渕さんは高い空から見た情景もよく作品にしていて、若宮大路と鶴岡八幡宮を
飛行機からの眺めのように描いています。

「惶 I」 2012年 個人蔵
田007

長さ約10mのパネルに描かれた長大な水墨画です。
惶は、おそれる、という意味で、東日本大震災により自然の脅威を思い知らされて、
それを画面に表したそうです。
右側は竜巻で風神、左側は雷で雷神を表しています。
水墨の持つ深みと鋭さのある作品で、吸い込まれるような迫力です。

「惶 II」 2012年 個人蔵
やはり約10mのパネルの水墨画で、こちらが東日本大震災を直接描いた作品です。

広い余白に少しの描線を使って、横一線になって押し寄せる迫る津波と、呑み込まれる
木立を描いています。
手前には松の梢が一つあって、これは陸前高田の一本松を象徴しているのでしょう。
抑えた表現の中に、しんとした底深い恐ろしさと、かすかな希望を感じます。

展覧会のHPです。




(お知らせ)
東京都美術館で昨日(6月30日)から始まった「マウリッツハイス美術館展」に
午後4時に行ってきましたが、入場までに館内で約20分待ちでした。
その時点での展覧会の特設や入口での掲示では待ち時間は10分となって
いましたので、表示よりもう少し時間がかかるようです。

展示は地下1階の、美術館の歴史、風景画、歴史画から始まり、1階の肖像画
(フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」はこちら)、2階の静物画、風俗画、
ミュージアムショップとなっていて、上の階にはエスカレーターで上がるので、
後戻り出来ません。


なお、同じ上野公園の中の上野動物園のパンダのシンシンは妊娠の際に
認められる変化があらわれたため、昨日から展示が中止になりました。

パンダの詳しい様子は、ぱんだうじさんの「毎日パンダ」というブログで紹介
されています。

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【2012/07/01 04:36】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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弥陀ヶ原を散策した翌日も富山は猛暑日だった。非常に強い日差しの中、田渕俊夫の作品展を見に水墨美術館へ行ってきた。平日の午前中だったこともあり館内は空いていて客の姿は殆ど...
【2012/09/10 17:13】

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