「日本美術デザイン大辞展」 三井記念美術館
三越前
chariot

日本橋の三井記念美術館では、美術の遊びとこころⅤ 三井版、
「日本美術デザイン大辞展」が開かれています。
「大辞典」ではなく、「大辞展」です。
会期は8月26日(日)までです。

デ001


日本美術についての難しい用語のいろいろを実際の美術品を使って
解説するという、ユニークな企画です。

50音順の用語に合わせて、所蔵品を中心にして約90点が展示されています。

(あ―葦手絵:あしでえ) 「舟月蒔絵二重手箱」 室町時代・15世紀
デ002

デ010


絵の中に文字を忍び込ませておく装飾技法です。
月と萩、川と小舟が蒔絵で描かれた手箱の蓋の表に夜・雲・遅、蓋の裏に
秋・水・速の字が隠れています。
画像では分かりにくいですが、右の岩に夜・雲、下の岩に遅の字が見えます。
和漢朗詠集の中の漢詩に依った趣向です。

 秋水漲来船去速
 夜雲収尽月行遅

 水かさの増した秋の川を来た船は速く去っていくが、
 雲の無い空に浮かぶ月は行くのが遅い。

(き―雲母摺:きらずり) 「光悦謡本」 江戸時代・17世紀
デ003

版木にニカワを付けて紙に摺り、白雲母の粉末をかけて定着させます。
光悦謡本は江戸初期刊行の光悦流の書体の謡本で、表紙を雲母摺にしてあります。

(さ―歳寒三友:さいかんさんゆう) 「祥瑞松竹梅花鳥文胴締水指」 
 明時代・17世紀

デ006

寒い冬に友とすべき3つのものとして、松竹梅のことをいいます。
寒さの中でも緑を失わない松や竹、花を咲かせる梅は中国では高潔な文人の象徴と
されていました。
それが日本に伝わると、目出度いものの代表となります。
祥瑞(しょんずい)は日本の茶人の注文で明末・清初に景徳鎮で焼かれた染付磁器です。
上段に松竹梅、下段に捻り文が描かれています。

(す―すやり霞) 「酒呑童子絵巻」 亀岡規礼筆 江戸時代・19世紀
デ007

デ008

絵巻物などで場面転換などのために描き入れる、横にたなびく長い霞です。
この絵では画面の上下に描かれています。
大江山の酒呑童子を討ちに来た源頼光と四天王の一行が、そうとは知らない
酒呑童子たちに歓待される場面です。
床の間には花を活けた青磁の壷もあって、鬼にしては風雅な住まいです。

(た―誰が袖:たがそで) 「誰が袖図屏風」 江戸時代・17~18世紀
デ004

衣桁にかけた華やかな衣装を屏風絵などに描いたもので、
古今集の歌に依った名前です。

 色よりも香こそあはれとおもほゆれ誰が袖ふれし宿の梅ぞも

右上は付紐のある子供用の着物で、左の小袖は裂いた布地をつづり合わせて、
モザイクのように仕立ててあります。

(へ―偏壷:へんこ) 「粉引偏壷」 朝鮮時代・16世紀
デ005

元は移動用に胴が扁平になった金属の水筒のことでしたが、やがて陶磁器で
作られるようになります。
粉引は黒褐色の土に白泥を化粧掛けし、透明感の強い釉を施したもので、
朝鮮時代の粉引は茶人に好まれています。
この壷は全羅南道の窯で焼かれています。

(ろ―六祖図:ろくそず) 「六祖破経図」 梁楷筆 南宋時代・13世紀
デ009

中国禅宗で達磨を初祖として六番目の慧能(えのう)(638-713)を描いた
図像をいいます。

この絵では慧能が経典を破り捨てています。
禅宗では書かれた経典に頼らないという、不立文字(ふりゅうもんじ)の教義があり、
それを表しています。
慧能は歯をむいて嬉々としてお経を破っていますが、慧能の伝記にはこのような話は
無いそうです。
それにしても禅宗は、壁に向かって9年座ったり、自分の臂を切ったり、
火もまた涼しかったりと、烈しいところがあります。

梁楷は南宋の画家で、山水や人物を得意としており、この絵は足利将軍家、
豊臣秀吉、西本願寺、松平不昧と伝来しています。


作品の解説を一つ一つ読んでいくと、とても良い勉強になりました。
50音の用語に合う展示品をどれにするか考えるのは大変だったろうと思います。

茶室の如庵の掛軸は織田有楽斎の書いた招待状でした。
七月七日付で、ちくごどの宛に、お暇なら明日朝お茶を差し上げたい、とあります。

展覧会のHPです。


 

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