「珍品ものがたり」 皇居三の丸尚蔵館
大手町
chariot

三の丸尚蔵館で開かれている「珍品ものがたり」に行ってきました。
会期は9月2日(日)までで、現在は後期の展示です。

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三の丸尚蔵館は皇居東御苑内にあり、皇居の大手門を入ってすぐの所です。
皇室の所有していた美術品類が平成元年に国に寄贈されたのを機に設立
されています。
休館日は月曜・金曜で、入館は無料です。

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今回の展示は作品の成立や伝来に「ものがたり」のある品に焦点を当て、
約20件が展示されています。

「菩薩立像(伝 蒙古仏)」 平安時代・10~11世紀
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対馬の法清寺に伝来した平安期の諸仏の内の1体で、宮内庁に献納されています。
伝承では鎌倉時代の蒙古襲来の時の蒙古の軍船の船首を飾っていたものが漂着
したとも、15世紀の李氏朝鮮時代の廃仏毀釈で流されて来たとも言われています。
大陸や半島に近い対馬ならではの伝承です。

「蒙古襲来絵詞」 鎌倉時代・13世紀
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肥後の御家人、竹崎季長の文永の役、弘安の役での活躍を描いた2巻の絵巻物で、
今は弘安の役を描いた後巻が展示されています。
蒙古の軍船に乗り込んで、敵の首を掻いています。
別の軍船には戦鼓や銅鑼を打つ者、櫂を漕ぐ者などが描かれています。

「蒙古襲来絵詞」は画風、紙質などの違う紙が混じっていて、中世に別の絵を
集めて編集したのではないかとされています。
たしかに船に乗っている蒙古兵の描写は、場面によって違っているのが分かります。

「蔦細道蒔絵文台硯箱[御在来]」 桃山時代~江戸時代初期・16~17世紀
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蔦の模様の豪華な高蒔絵の文台と硯箱で、宮内庁はこの[御在来]とそっくり
同じデザインの、旧高松宮家所蔵と上杉家所蔵のセットも所蔵しています。
伝承では豊臣秀吉が幾つか作り、諸方に配ったものとも、東山御物にあったものを
秀吉が写させたものともされています。

「黄金分銅」 桃山時代~江戸時代初期・17世紀
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約373gの分銅型の黄金で、桐の紋などの刻印が打ってあります。
元和2年(1616)に徳川家康から九男で尾張徳川家の祖、義直に
分与された品です。
伝承では元和元年の大阪夏の陣での大坂城からの戦利品とも言われています。
徳川方は落城した大坂城から大量の金銀を回収しています。

「青海波塗硯箱」 伝 青海勘七 江戸時代 17世紀
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徳川光圀の愛用の品で、青海勘七の考案した青海波塗の地模様に金銀の鋲を
散らして波の飛沫を表しています。
蓋の裏には光圀の自作の漢詩が書かれています。

「旧諸大名槍雛形」 明治17年(1884)
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大名行列の時に目印になった毛槍や薙刀の雛形です。
幕府の槍師だった山田幾右衛門が後世への記録のため、明治9年から制作を始め、
474点を17年に完成させています。
右から5点は紀州徳川家で、柄には青貝を貼ってあります。

各大名は道中や江戸の街中を通る時、この毛槍や馬印などからから前方から来る
行列の主が誰であるか確認し、その格によって自分たちが道をゆずるかどうかを
決めていました。
間違えると大変なことになるため、見分けの専門家を雇っていたということです。

「西南戦争熊本城矢文・征矢」 明治10年(1877)
西南戦争で熊本城に立て篭もる政府軍に降伏を勧めるため西郷軍から射込まれた
矢と矢文です。
矢文は「今般政府妄リニ暗殺ヲ謀リ自ラ国憲ヲ犯スノ罪…」という文言で
始まっていて、政府の援軍は敗れており、降伏すれば寛大に扱うとあります。
西南戦争勃発の原因の一つは、鹿児島に篭もっていた西郷隆盛を暗殺する
計画があるとの誤解が生じたことです。
矢にも、「おふえんは皆うちやぶれり籠城の者共兵器をすてゝくたり来たらは
命をたすくる者也」と書かれています。
実際には西郷軍は田原坂で政府の援軍と戦い、支え切れずに撤退しています。

西郷軍では島津家一門の桂久武が弓を持って従軍しており、実戦に弓が使われた
最後ともされています。
矢羽も立派な矢で、射たのは桂久武かもしれません。
矢と矢文は籠城軍の司令官の谷干城が明治天皇に献上したものです。

点数は少ないながら、興味深い品々の揃った展覧会です。


三の丸尚蔵館の次回の展覧会の予定は以下の通りです。

題名: 「描き継ぐ日本美―円山派の伝統と発展」(仮称)
会期: 9月15日(土)~11月11日(日)(予定)


 

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【2012/08/26 00:17】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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