「没後70年 竹内栖鳳―京都画壇の画家たち」展 山種美術館
恵比寿
chariot

恵比寿の山種美術館では、「没後70年 竹内栖鳳―京都画壇の画家たち」展が
開かれています。
会期は11月25日(日)までです。
10月28日(日)までの前期と30日(火)からの後期で一部展示替えがあります。

竹内002


円山四条派以来の写生を基本に西洋画の技法も取り入れ、京都画壇を代表する
画家となった竹内栖鳳(1864-1942)の作品を中心とした展示です。
円山応挙ら江戸時代の作品、および竹内栖鳳に師事した上村松園や西村五雲らの
作品も展示されています。

円山応挙 「虎図」 18世紀・江戸中期 東京国立博物館
竹002

前期の展示です。
輪郭線を用いずに描く、付立という技法を試している段階の作品とのことで、
毛並みのふわりとした感じが出てています。

伝 長沢芦雪 「唐子遊び図」  18世紀・江戸中期 重要美術品
竹011

竹012

文人の嗜みである四芸(琴碁書画)と唐子を組合わせた絵柄です。
芭蕉と唐子の取合わせは、兵庫県の大乗寺に残る円山応挙の襖絵、
「郭子儀図」に倣ったものだろうとのことです。
こっけいな表情や目尻の垂れた黒目がちの目元は長沢芦雪のスタイルに近い
とのことですが、碁でけんかになって頬っぺたを引張られている子は
ますます垂れ目になっています。

竹内栖鳳 「象図」(部分) 1904年頃 
(左隻)
竹003

(右隻)
竹004


前期の展示です。
金地に写実的に描かれた象は墨の濃淡で立体感がうまく表されています。
屏風から象の姿が浮き上がってくるようです。
象の背に乗った猿が飛んでいく雀に向かって手を伸ばしているという、
面白い趣向です。
大きい動物と小さい動物を組合わせて動物の大きさを強調するのは
長沢芦雪が得意とした技法とのことです。

竹内栖鳳 「熊」 1910年 京都市美術館
前期の展示です。
こちらを向いた熊を大きな画面いっぱいに墨で真っ黒に描いています。
竹内栖鳳は動物の匂いまで描き出すと言われていますが、本当に熊の
体臭まで感じられます。

竹内栖鳳 「絵になる最初」(部分) 1913年 京都市美術館
竹005

後期の展示です。
絵のモデルになるため着物を脱いだ少女が、その着物で体を隠して、羞いの
表情を見せている瞬間です。
顔を半ば隠している左手の仕草に気持ちが良く出ています。
代表作の「班猫」もそうですが、一瞬を捉えて描き出すのは、なかなか
技量がないと出来ません。
弟子の上村松園も、「花がたみ」という作品を描く時に、狂女の心を表す
手の形について、栖鳳の助言を受けたそうです。

竹内栖鳳 「班猫」 1924年 重要文化財
大2-14-2010_004

竹内栖鳳の代表作です。
沼津の八百屋さんの飼い猫が、宋の徽宗(きそう)皇帝の描いた猫と
同じ柄なので、貰い受けて京都に連れて帰り、描いた作品です。

徽宗皇帝の猫の絵は、目を見開いて前足を舐めている姿ですが、
こちらは背中を毛繕いしながら、こちらを見上げた瞬間を捉えています。
細かい筆遣いで柔らかい毛並みの柔らかさまで表現され、瞳孔の細く
なった緑色の目が印象的です。
「班猫」は普通、「斑猫」と書くところですが、竹内栖鳳の箱書きには
「班猫」となっているそうです。

会場にはモデルになった猫の写真もあって、たしかに同じ顔をしています。

竹内栖鳳 「緑池」 1927年
大2-14-2010_001

小品で、一匹の蛙が池から顔を出しています。
池の水の淡い緑色がいかにも暖かそうな春を感じさせます。
竹内栖鳳はこのような何気ない情景を写し取るのも巧みです。

竹内栖鳳 「潮来小暑」 1930年
竹008

中国江南の楊州に似ているということで、竹内栖鳳はよく潮来を訪れています。
ヨーロッパ旅行でターナーやコローなどから強い影響を受けたということですが、
この作品も西洋画のような雰囲気があります。

竹内栖鳳 「若き家鴨」(右隻・部分) 1937年 京都国立近代美術館
竹010

前期の展示です。
わらわらと集まってひしめいている家鴨を巧みな筆捌きでさらりと描いています。

竹内栖鳳は、日本画では省筆が大事だが、充分写生をしていれば、いるものと
いらないものとの見分けがつくので、安心して無駄を省くことが出来る、
と述べていて、写生の大切さを強調しています。


西村五雲 「白熊」 1907年
竹009

大作で、白熊がオットセイを捕まえている姿です。
西村五雲(1877-1938)の若い時の力作です。
京都市動物園で写生した白熊を元に自然の中の荒々しい姿を写実的に描いています。
師の竹内栖鳳がアントワープの動物園でライオンを写生して、1902年に「大獅子図」を
描いたのに倣っての作品と思われます。
写実を重んじた竹内栖鳳に学んだ西村五雲らしい、西洋画に対抗しようとの意気込みの
感じられる作品です。

村上華岳 「裸婦図」  1920年
村上002

村上華岳(1888-1939)の初期の代表作です。
イタリア絵画風の背景で、女性の輪郭線に影を付けて立体感を出しています。
一方で、上半身は正面を向き平面的に描かれていて、西洋と東洋の融合を
図っていることが分かります。
後の、菩薩を描いた仏画シリーズの基となる、聖性と女性美とを兼ね備えています。

上村松園 「新蛍」 1927年
竹006

浮世絵風の美人画で、団扇で口元を半ば隠して趣を深くしています。
簾越しの姿を描くという、上村松園(1875-1949)得意の技法を見せています。


円山四条派の伝統を受け継ぎ、確かな写実に基いた竹内栖鳳の作品は
どれも平明で親しみやすく、観ていて心地良いものがあります。

山種美術館のHPです。


大手町の三の丸尚蔵館では「描き継ぐ日本美-円山派の伝統と発展」展が
開かれていて、竹内栖鳳の作品も展示されています。
前期は10月14日(日)まで、後期は10月20日(土)から11月11日(日)までです。

「描き継ぐ日本美-円山派の伝統と発展」展の記事です。





山種美術館の次の展覧会は「生誕100年 高山辰雄・奥田元宋 文展から日展へ」です。
会期は12月1日(土)から2013年1月27日(日)までです。

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【2012/10/04 00:02】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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