「リヒテンシュタイン展 華麗なる侯爵家の秘宝」 国立新美術館
乃木坂
chariot

六本木の国立新美術館では「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展が
開かれています。
会期は12月23日(日)まで、火曜日が休館日です。
その後、高知県立美術館、京都市美術館を巡回します。

リ002


リヒテンシュタイン公(侯)国はオーストリアとスイスの間にある、
立憲君主国家です。
リヒテンシュタイン家はハプスブルク家の家臣で、1719年に神聖ローマ帝国に
属する領邦国家としてリヒテンシュタイン公(侯)国の成立が認められています。
ナポレオン戦後の1815年にはウィーン議定書によりドイツ連邦に加わりますが、
1866年に連邦の解体と共に独立し、現在に至っています。

リヒテンシュタイン家が代々収集してきたコレクションは総数約3万点で、
ウィーンにあるリヒテンシュタイン家の夏の離宮で、1807年から公開されてきました。
1938年のナチスドイツのオーストリア併合により中止されますが、2004年に
再開されています。

1.バロック・サロン

夏の離宮での展示方法に倣って、展示会場の中の大きな一室が豪華な
バロック様式にまとめられ、絵画、彫刻、工芸品、家具、タペストリー
などが壁沿いにずらりと並び、天井にも絵が飾ってあります。
空間全体を一つの芸術として提示するという考え方によるもので、作品には
題名や説明書きは無く、番号だけが付いていて、専用のリストにある番号と
合わせて鑑賞するようになっています。
まるで、お城の舞踏会に出席しているような気分になる、素敵な展示です。

2.ルーベンス・ルーム

リヒテンシュタイン家はバロックの大家、ルーベンスの作品を多く所蔵していて、
今回はそのうち10点が一室に展示されています。

「デキウス・ムス」連作より、
 「占いの結果を問うデキウス・ムス」 1616/17年

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東京展のみの出展です。
自身の犠牲と引き換えにラテン同盟軍に勝利するという、神官による
牛の肝臓占いの結果に驚くローマの将軍、デキウス・ムスです。
縦3m近い大作で、バロックらしく大げさとも言える画面ですが、動的で緊密な
画面構成の作品を観ていると、さすがルーベンスだと思います。

「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」 1616年頃
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5歳の長女の肖像です。
愛らしく利発な表情を見事に描き出しています。

3.名画ギャラリー

ラファエッロ・サンティ 「男の肖像」 1502/04年頃
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手前に半身像、背景に風景というルネサンス時代によく見られるスタイルです。
ラファエッロの若い頃の作品とのことで、みずみずしい表現です。

アンソニー・ヴァン・ダイク 「マリア・デ・タシスの肖像」 1629/30年頃
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アントウェルペン出身で、優美な肖像画で有名なアンソニー・ヴァン・ダイクの
作品です。
モデルはアントウェルペンの上流階級の女性で19歳頃とのことです。
王侯貴族のような衣装ですが、上品な色調で、フランドル地方特産のレースも
見せ所です。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 
 「キューピッドとしゃぼん玉」 1634年

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フランドルの隣、オランダのレンブラントの若い頃の作品です。
弓の弦をはずし、仕事をさぼってシャボン玉で遊んでいるキューピッドです。
シャボン玉は儚さの寓意ですが、キューピッドと組合わせることで、
愛のはかなさを表しているとのことです。
キューピッドの顔がレンブラントの最初の妻サスキアと似ているように思えます。

カナレット 「ヴェネツィアのサン・マルコ広場、鐘楼のある眺め」
 1723年以前

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カナレットはヴェネツィアの風景画家で、都市景観を細密に描いています。

エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン 
 「虹の女神イリスとしてのカロリーネ・リヒテンシュタイン侯爵夫人」 1793年

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東京展のみの出展です。
マリー・アントワネットの画家として知られるヴィジェ=ルブランが
フランス革命による亡命中に描いた作品で、モデルはリヒテンシュタイン侯
アロイス1世の夫人です。
当時はモデルを神話の登場人物に扮した姿で描くことが流行っていましたが、
観た人たちは夫人が裸足で描かれていることに驚いたそうです。

フランス革命とナポレオンの疾風怒濤の時代を過ぎ、旧体制(アンシャン・
レジーム)の時代に戻った19世紀前半のヨーロッパでは、理想主義を追わず、
日常生活に価値を見出す、ビーダーマイヤー様式が流行します。

フリードリヒ・フォン・アメリング 
 「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像」 1836年

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東京展のみの出展です。
お人形を抱えて何とも可愛い顔で眠っているのはアロイス2世の娘、
マリー・フランツィスカ・デ・パウラ・テレジア・ヨーゼファです。
透き通るような白い肌は油彩ならではの表現です。
じっとしてはいてくれない子供でも、眠っている間ならゆっくり
スケッチ出来たことでしょう。

フェルディナンド・ゲオルク・ヴァルトミュラー 「幼き日のオーストリア皇帝
 フランツ・ヨーゼフ1世、おもちゃの兵隊を従えた歩兵としての肖像」 1832年

リ010

オーストリア帝国の実質的な最後の皇帝となるフランツ・ヨーゼフ1世
(1830-1916)の幼い日の姿です。
在位は70年近く、皇妃エリザベートの夫でもあるフランツ・ヨーゼフですが、
傾きかけた帝国を担うという、将来の重荷のことも知らずに遊んでいます。

4.クンストマイヤー

バロック時代の工芸品の展示です。
酒器やゴブレット、ジョッキ、チェストなど、精緻で豪華な工芸技術を楽しめる
コーナーです。

リヒテンシュタイン家の充実したコレクションをたっぷり楽しめる展覧会で、
特にバロック・サロンの展示は新鮮です。

展覧会のHPです。


会場でも販売されていました。



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【2012/10/17 00:03】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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