「琳派芸術 II」展 出光美術館
日比谷・有楽町
chariot

日比谷の出光美術館では、「琳派芸術 II」展が開かれています。
出光美術館のコレクションを中心にした展示で、会期は12月16日(日)までです。

琳派003


2011年に開かれた、「酒井抱一生誕250年 琳派芸術 ―光悦・宗達から
江戸琳派―」展の第2部<転生する美の世界>が東日本大震災により
途中閉幕となったため、新しい視点も加えて再度開かれたものです。

11月18日までの前期と11月20日からの後期で一部展示替えがあります。

I 金と銀の世界

酒井抱一は私淑した尾形光琳の代表作に倣った作品を描いています。

「風神雷神図屏風」 酒井抱一 二曲一双
琳派001

俵屋宗達の「風神雷神図屏風」を尾形光琳が模写し、さらにそれを酒井抱一が
模写したものです。

琳派の継承の流れを伝える作品ですが、宗達に比べ抱一の風神雷神は顔が
かなり優しくなっています。

琳派002

「八ツ橋図屏風」 酒井抱一 六曲一双
琳派004

尾形光琳の「八橋図屏風」を写したものですが、葉によって色の濃さを変えて
表裏を表し、燕子花の数を少なくしてすっきりとまとめられています。
紙ではなく絹地に金箔を貼り、さらに金泥を刷いて、より輝くようにしている
とのことです。

(参考)
こちらは尾形光琳の「八橋図屏風」の右隻です。
琳010


また酒井抱一は屏風の裏絵に銀地を採用して、新しい表現を試みています。

「紅白梅図屏風」 酒井抱一 六曲一双
右隻(部分)
琳派007

左隻(部分)
琳派006


たらし込みを使った枝は伸びやかです。
元は金地屏風の裏側で、屏風を折りたたんだ時に裏の面同士の
当たる場所に紅梅の顔料が付着した跡が付いているのが分かります。
酒井抱一は金地屏風の裏に使われる銀地の画面を好んでいたようです。


II 草花図の伝統

琳派の絵師たちが最も得意とした「草花図」の伝統を元に酒井抱一は
晩年の代表作、「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」を描いています。

「西行物語絵巻」 第四巻 絵:俵屋宗達 詞:烏丸光広 
 寛永7年(1630) 重要文化財

琳派003

前期の展示で、後期は第一巻が展示されます。
鎌倉時代の絵巻を俵屋宗達が模写したものです。
萩の茂る庵に住む老僧を西行が訪ねる場面です。
萩、薄、女郎花の茂る野を鹿や狐が駆けて行きます。
人の営みも自然の中に溶け込んでいます。

「四季草花図屏風」 「伊年」印 六曲一双
琳派015


俵屋宗達の工房の作であることを表す「伊年」印の捺された屏風です。
量産できるように上下2段に同じ調子でびっしりと草花を並べてありますが、
金地に映えた豪華な画面です。

「秋草図屏風」 伝尾形光琳 二曲一双 サントリー美術館 重要美術品
琳派013

左隻(部分)
琳派014

下地に金箔地を使わず、菊の葉は淡い墨で描き、水墨画に似た雰囲気を
持っています。

「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」 酒井抱一 六曲一双
右隻
琳派008

左隻
琳派009

月次花鳥図の型に依りながら、昆虫や小鳥、外来種の向日葵なども
取り入れて、現実感のある季節を描き出しています。
琳派012 琳派011 琳派010

右: 紫陽花に蜻蛉です。
中: 向日葵を描くと絵の重心が高くなります。
左: 柿の木に目白が目白押しに並んでいます。


III 江戸琳派の先駆者

酒井抱一より以前に江戸に琳派を伝えた、俵屋宗理、中村芳中などの作品です。

「朝顔図」 俵屋宗理 細見美術館
琳派016

余白を生かした洒脱な画面構成で、朝顔の葉は輪郭線を使わない
没骨法の水墨で淡く描かれています。
俵屋宗理は酒井抱一に先駆けた江戸琳派様式の絵師とのことです。

「扇面貼付屏風」 中村芳中 六曲一双
右隻
琳派019

琳派020


太い輪郭線でゆったりと大らかに描かれ、ユーモラスな雰囲気があります。
中村芳中は大坂の絵師・俳人ですが、寛政11年(1799)から3年ほど
江戸に滞在し、その時、「光琳図譜」を作って酒井抱一より先に江戸に
光琳風を広めています。

「燕子花図屏風」 酒井抱一 享和元年(1801年) 二曲一隻
琳派017

余白を大きく取った無地の画面に、水墨と群青の燕子花が弧を描くように
並べられています。
燕子花の色は濃淡があり、淡い水墨の葉にはたらし込みが使われています。
枯れた葉もあり、蜻蛉も一匹とまっているのが見えます。
繊細で叙情的な、俳味も感じられる風景です。


IV 俳諧・機知・闇

江戸の気風を映す江戸琳派は新規な画題や洒脱な画風を特徴としています。

「糸桜・萩図」 酒井抱一 
琳派021

糸桜の枝が奇抜な形に曲がっています。
短冊と色紙には酒井抱一自作の句が自筆で書かれています。

糸桜  そめやすき 人のこゝろや 糸さくら
萩   白萩や 有明残る 臼の跡

「月夜楓図」 酒井抱一 静岡県立美術館
琳派022

前期の展示です。
濃淡を付けた水墨で楓の葉を表し、幹や枝も墨の濃淡で立体感を出しています。
闇への注目はその後の江戸琳派にも受け継がれていったそうです。

速水御舟の夜桜を描いた作品にも同じような繊細な感覚が感じられます。

V 抱一門下の逸材

酒井抱一の門下の逸材である鈴木其一の作品の展示です。
鈴木其一は師の酒井抱一の洗練された洒脱な画風を更に進めて、
デザイン性の高い、近代的とも言える作品を描いています。

「桜・楓図屏風」 鈴木其一 六曲一隻
琳派025

琳派026

楓は紅葉でなく青葉を描き、桜花の白と対比を見せています。
くっきりとした明快な図柄と強い色彩が鈴木其一の特徴です。

「四季花木図屏風」 鈴木其一 六曲一双
右隻
琳派027

左隻
琳派028

右隻(部分)
琳004

右隻には白牡丹を囲むように紅白梅、蒲公英、菫、燕子花が
描かれています。
左隻に描かれているのは楓、白菊、桔梗、水仙、薮柑子です。


2011年の「琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派―」展の第1部<煌めく金の世界>と
併せて、ほぼ2年がかりで俵屋宗達から鈴木其一にいたる琳派の世界をたっぷりと
味わうことが出来ました。

「琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派―」展第1部の記事です。

展覧会のHPです。





出光美術館の次回の展覧会は「オリエントの美術展」で、
期間は2013年1月11日から3月24日です。

オリエント007

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