「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」展 東京国立近代美術館
竹橋
chariot

竹橋の東京国立近代美術館では 60周年記念特別展、「美術にぶるっ!
ベストセレクション 日本近代美術の100年」展が開かれています。
会期は2013年1月14日(月・祝)までです。
11月25日までの前期と27日からの後期で一部展示替えがあります。

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美術にふるえる体験、感動、知的に考えることの出発点である衝撃を
「ぶるっ!」という言葉で表しているそうです。

東京国立近代美術館は1952年に京橋の現在、フィルムセンターのある場所に
開館して今年で60周年になります。
これを記念して、全フロアを使っての日本の近代美術100年を回顧する展覧会です。

2部構成になっていて、「第I部 MOMATコレクションスペシャル」は4階から
2階までを使って、代表的な所蔵作品を展示しています。

明治以降に指定された重要文化財51件のうち、東京国立近代美術館は13件を
所蔵していますが、この展覧会ではそのすべても展示されます。

「第II部 実験場1950s」は1階を使って、東京国立近代美術館の開館した
1950年代の芸術活動を振り返ります。

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11月7日に夜間特別鑑賞会があったので、応募して行ってきました。
会場は一部を除いて撮影可能です。

「第I部 MOMATコレクションスペシャル」

展示室1 ハイライト

展覧会のハイライト的な展示ということで、重要文化財6点などが並んでいます。

右:川合玉堂 「行く春」 1916年 重要文化財
左:原田直次郎 「騎龍観音」 1890年 護国寺蔵(寄託) 重要文化財

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右:萬鉄五郎 「裸体美人」 1912年 重要文化財
左:横山大観 「生々流転」 1923年 重要文化財

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東京国立近代美術館は展示室もリニューアルされ、レイアウトや壁の色が
変わったりしています。
4階には、「眺めのよい部屋」という休憩室があって、竹橋の景色を見渡せます。

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展示室2 はじめの一歩

青木繁の「日本武尊」(1906年、東京国立博物館蔵)、安井曽太郎の「金蓉」」
(1934年)などの展示です。

左:土田麦僊 「湯女」 1918年 重要文化財
右:土田麦僊 「舞妓林泉」 1924年

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同じ土田麦僊でも生命感にあふれた「湯女」に対して、「舞妓林泉」は
理知的で冷えています。


展示室3 人を表す 1

岸田劉生や藤田嗣治などの展示です。

左:和田三造 「南風」 1907年
右:南薫造 「少女」 1909年

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「南風」の力強さと「少女」の柔らかさが良い対照になっています。

左:藤田嗣治 「五人の裸婦」 1923年
右:藤田嗣治 「自画像」 1929年

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藤田独特の乳白色の肌の世界です。


展示室4 人を表す 2

彫刻で、荻原守衛の「女」、高村光太郎の「手」などが展示されています。


展示室5 風景を描く

谷中安規の版画、木村荘八の永井荷風作「濹東綺譚」の挿絵などです。

左:佐伯祐三 「ガス灯と広告」 1927年
右:岸田劉生 「道路と土手と塀(切通之写生)」  1915年 重要文化財

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展示室6 前衛の登場

恩地孝四郎、瑛九、古賀春江などの作品です。


展示室7 戦争の世紀に 1

戦争画などの展示です。

小磯良平 「娘子関を征く」 1941年 前期展示
中国戦線での行軍風景を、ベラスケスの「ブレダの開城」を思わせる、
馬を後ろから見た構図で描いています。
軽機関銃や小銃を持って立っている兵士はやや前屈みで、疲れの表情が見えます。
小磯良平は戦後、戦争画を描いたことを悔いていますが、それでもこの作品は
小磯の代表作と言ってよいと思います。

福田豊四郎 「英領ボルネオを衝く」 c.1942年  前期展示
日本画による戦争画です。


展示室8 戦争の世紀に 2

左:鶴田吾郎 「神兵パレンバンに降下す」 1942年
右:宮本三郎 「山下、パーシバル両司令官会見図」 1942年
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「山下、パーシバル両司令官会見図」は記録フィルムを元に描いた、
有名な作品です。

右:藤田嗣治 「アッツ島玉砕」 1943年
左:藤田嗣治 「サイパン島同胞臣節を全うす」 1945年

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「サイパン島同胞臣節を全うす」は藤田嗣治の一つの頂点を示す作品だと思います。
不思議なのは乳白色の画面と線描の画家だった藤田がこのような力作を描き、
戦争が終わると何事も無かったかのように、また以前の画風に戻っていることです。
小磯良平や宮本三郎の戦争画はその画業の延長線上にあるものとして観ることが
出来ますが、藤田の画風の変わり方の激しさには驚きます。

この展覧会は普段は2点程度しか展示されない戦争画をまとめて観ることの出来る、
滅多と無い機会でもあります。


展示室9 写真

植田正治、森山大道、須田一政などの写真作品です。


展示室10 日本画

上村松園 「母子」  1934年 重要文化財
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ポスターなどに使われている作品で、安田靫彦の「黄瀬川陣」とともに2011年に
重要文化財に指定されています。

左:髙山辰雄 「いだく」 1977年
右:東山魁夷 「秋翳」 1958年

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「いだく」はレオナルド・ダ・ヴィンチの「聖アンナと聖母子」を
思い出しますが、求心的な画面です。

他に、下村観山の「木の間の秋」1907年、小林古径の「機織」1926年、
鏑木清方の「三遊亭円朝像」 1930年(重要文化財)、安田靫彦の
「黄瀬川陣」 1940/41年(重要文化財)、加山又造の「春秋波濤」1966年など、
名作揃いです。

日本画のコーナーにはスツールが置かれています。

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展示室11 疑うことと信じること 1

草間彌生や横尾忠則の初期の作品などです。


展示室12 疑うことと信じること 2

荒川修作や高松次郎などです。

左:高松次郎 「遠近法の椅子とテーブル」 1966-67年
右:高松次郎 「No.273(影)」 1969年

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光と遠近感の悪戯です。


展示室13 海外作品とMOMAT

東京国立近代美術館は海外の作品も所蔵しています。

アンリ・ルソー 「第22回アンデパンダン展に参加するよう
芸術家達を導く自由の女神」 1905-06年

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フランシス・ベーコン 「スフィンクス-ミュリエル・ベルチャーの肖像」
  1979年

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フランシス・ベーコン(1909-1992)はアイルランド生まれで、
イギリスで活動した画家です。
極端にゆがんだ顔の人物など、異様な雰囲気の作品を描いています。
東京国立近代美術館では2013年3月8日(金)から5月26日(日)の予定で、
「フランシス・ベーコン展」が開かれる予定です。

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その他

田中功起 「一つのプロジェクト、七つの箱と行為、美術館にて」 2012年
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2階の階段前のスペースに引越しのダンボールが積んであり、椅子が並んでいて、
椅子に座ってビデオ映像を観られるようになっています。
ビデオでは2人の男がダンボール箱を抱えて美術館の中を右往左往していて、
観ていると面白いです。

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「第II部 実験場1950s」

サンフランシスコ講和条約により日本が独立を果たし、戦後復興を始めた、
活気のみなぎる時代の芸術を回顧します。
さまざまな傾向、媒体、運動の作品が盛り沢山に展示されています。

河原温 「浴室」シリーズ  1953年
初期の作品で、有名な鉛筆画のシリーズです。

左:粟津潔 「海を返せ(ポスター原画)」  1955年 金沢21世紀美術館蔵
右:中村宏 「砂川五番」 1955年 東京都現代美術館蔵

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米軍の基地反対闘争が各地で起きた時代でした。

左:木村伊兵衛 「秋田」シリーズ 1952-53年 宮城県美術館蔵
右:東山魁夷 「道」 1950年

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東山魁夷はこの時期に既に自己の作風を確立しています。


近代日本の美術を網羅する展覧会だけあって、とても充実した展示です。
じっくり観ていくとかなりの時間がかかるので、まず自分の観たい展示から
始めると良いとおもいます。

展覧会のHPです。

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【2012/11/12 00:06】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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