「The Art of Gaman 尊厳の芸術展」 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

上野の東京藝術大学大学美術館では、東京藝術大学とNHKの主催で、
「The Art of Gaman 尊厳の芸術展」が開かれています。
会期は12月9日(日)までで、入場無料です。
その後、福島、仙台、沖縄、広島を巡回します。

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1941年の太平洋戦争の開始により、アメリカ西海岸に住んでいた日系アメリカ人と
日本人移民約120,000人は1942年に各地に建てられた14ヶ所の強制収容所に送られ、
戦争の終わる1945年までそこでの生活を強いられています。
強制収容の開始から今年で70年になります。
展覧会では収容されていた人たちが廃材などを使って作り出した日用品や芸術品の
数々が展示されています。

これらの作品の多くは収容所の辛い生活を思い出させる物として、解放の後の
やり直しの生活の中で顧みられることもなく、屋根裏やガレージの隅にしまわれた
ままだったそうです。

作品は撮影可能です。

「収容所の風景」 作者不詳 木、ペンキ
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強制収容所として最も有名なカリフォルニア州マンザナー強制収容所を描いています。
遠くの山はウィリアムソン山です。

「マンザナー強制収容所の砂嵐」 
 The U.S. National Archives and Records Administration

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砂嵐の時はバラックの床下から砂が吹き上がってきたそうです。

第1章―生活に必要なもの

「杖」 ヘイキチ・エザキほか 様々な木
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収容所内で歯科医として働いていたチョウトク・ニシは患者から感謝の
気持ちとして19本もの杖を贈られています。

「喫煙道具」 作者不詳 くずの木材、サボテン
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収容所ではテーブル、椅子、小引出、はさみ、そろばんなども手作りしています。

第2章―生活を彩るもの

「ピンブローチとコサージュ」 
 グレース・アヤコ・イトウ、イワ・ミウラ、ブンゾウ・フジモト、タニグチほか 
 豆、ひまわりの種、貝殻、木、紙、針金

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「おもちゃの汽車」 エドワード・ジツエ・クルシマ 
 くず鉄、くずの木材、絵の具

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「チェスセット」 ミノル・フランクリン・カワノ 木
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「蛇」 タキゾウ・オバタ メスキートの木、硬質木材、針金
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タキゾウ・オバタは成功した農場主でしたが、すべてを失った収容所生活の中で、
蛇によって不屈の精神を表現しようとしています。

第3章―生活の記録

「表札」 カネイチ・ヤマイチ くずの木材、絵の具
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収容者は収容所当局から名前ではなく、番号で呼ばれていました。
カネイチ ヤマイチは自分の住居の入口に表札を掲げることで、
自己の尊厳を主張しました。

「住宅模型」 トシマ くずの木材、爪楊枝、絵の具、糸、針
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「冬のトパーズ収容所」 ジョージ・マツサブロウ・ヒビ 
 カンヴァス・油絵の具

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ユタ州にあった収容所です。
見るからに寒々とした光景です。

「憲兵に撃たれたワカサ・ハツキ(タンフォーアン集合センター)」 
 チウラ・オバタ 紙、インク

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収容所や集合センター(予備的収容所)は有刺鉄線で囲まれ、不用意にフェンスに
近づくと警備兵に撃たれています。
チウラ・オバタはカリフォルニア大学バークレー校の美術専攻の教授でした。
収容所でも児童の美術教育に尽くし、また収容所の生活を絵画記録として
残しています。

「ジェローム収容所での母(1943)」 ヘンリー・スギモト 
 米袋、布、絵の具、糸

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逆境の中での強い意志を持った顔です。
母親の息子・ラルフは日系人で編成された第442連隊戦闘団に入隊しています。
この部隊はイタリアなど欧州戦線に投入され、延べ死傷者約1万人、死傷率約30%
という敢闘ぶりを示し、米国史上最も多くの勲章を受けた部隊となっています。
ミュンヘン近くにあったナチスのダッハウ強制収容所を解放したのもこの部隊です。

第4章―故国の文化

「仏壇」 シンタロウ・オオニシ 薪の丸太、くずの木材、金属
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丸太をくり抜き、扉も付けています。
中に阿弥陀像が入っています。

「硯」 ホウメイ・イセヤマ 石
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「木製の刀と拵」 トミタロウ・サノ 木、糸、絵の具
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トミタロウ・サノは武家の出身で食料品店を営んでいました。
2人の息子のために儀礼用に作ったものです。

右上 「日本人形」 サチコ・カワサキ 
 古い着物、糸、モール、紙、インク、くずの木材


手前 「日本人形」 タニ・フルハタ 
 着物の布、クレープペーパー、針金、刺繍糸、インク、木

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「感謝状」 作者不詳 紙
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収容所の建設に膨大な人員が必要になったため、志願者を収容者から募って
参加させています。
ワイオミング州のハート・マウンテン収容所の閉鎖を前にして建設協力者に
出された感謝状で、縁取りが有刺鉄線になっています。

「サンタ・アニタの地図のある飾り板 タメイチ オキモト 木・板
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新墨州惨多不意(ニューメキシコ州サンタフェ)収容記念 為中川氏、とあります。
漢字表記に収容者の思いが表れています。

「俳画」 作者不詳 紙、インク、水彩絵の具
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背景にマンザナー収容所が描かれています。

  血の誇しかと抱いて待つ明日

まさにGamanと尊厳を五七五に込めています。

突然、暮らしを奪われ、異常な環境に押し込められながら、誇りと希望を
失わなかった人々の思いを伝える品々には心を打たれます。

展示品のリストを添付します。

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【2012/11/21 00:05】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(1) |
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    【2013/08/30 20:11】 url[ #] [ 編集]
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