「退任記念展 中島千波 人物図鑑」 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

上野の東京藝術大学大学美術館では「退任記念展 中島千波 人物図鑑」が
開かれています。
会期は12月2日(日)まで、入場は無料です。

11月25日には中島さんのギャラリートークがあったので、行ってきました。
会場は大勢の人で賑わっていました。
12月2日(日)の2時からも開かれる予定です。

中001


中島千波さん(1945~)は疎開先の長野県小布施で生まれ、1965年に
東京藝術大学に入学、1994年に東京藝術大学デザイン科の助教授に就任、
2000年に教授に就任しています。
長く院展に出品していましたが、現在は退会しています。

この展覧会は2013年3月の退任を前にしての記念展で、大作約50点が
展示されています。
中島さんは受付でニコニコとして座っておられました。

中島さんは桜などの花の絵で有名ですが、この展覧会ではほとんどが
女性の人物像で、花を主題にした作品はありません。
これは「藝大で教鞭を執ってきた証」とのことです。

「青」 1969年 神奈川県立近代美術館
中002

「欲望」 1970年 長野県信濃美術館
中003

初期の作品はシュルレアリスムで、マグリットに似ています。
大学時代の血気盛んな、権力に対して憤りを持っていた時代の作品とのことです。

「草の主」 1972年 長野県信濃美術館
ポスターに使われている作品です。

(トーク)
為政者が戦争に駆り立てるのを理不尽と考えていた時の作品で、
赤い縞は星条旗を表している。
モデルは父(日本画家の中島清之)に頼んだ。
草の主(クサノアルジ)はキクの別名。 

若い頃は正直なもの。
ただ、このような絵は売れないから食っていけない。
食っていけなくないと絵がひもじくなってくる。
学生に対しては、ひもじい絵を描かず、自分の考えを出せと言っている。

「衆生・女・阿吽」 1977年 神奈川県立近代美術館
中004

やがて、人物が画題となってきます。
阿形と吽形、丸と四角の対比になっています。
禅画の寒山拾得のような雰囲気があります。

(トーク)
次に、現象の元は人間と考え、人間をテーマにする、「衆生」シリーズを
描き始めた。
モデルは結婚したばかりの家内。

「衆生・視」1979年 山種美術館
蓮の花の上に座った女性が顔を覆った手の隙間から覗いています。

(トーク)
見ざる、言わざる、聞かざるがモチーフで、やはりモデルは家内。
この作品が山種美術館賞を受賞し、この頃に院展でも賞をもらった。


「形態*'82-8」 1982年 国立国際美術館
中005

銀箔地ですが背景は抽象画風です。

(トーク)
受賞をきっかけに、次は精神性をあまり出さない線と形で構成する作品を
描くようになった。
この絵は下地を塗ってから銀箔を貼り、それを削って下の色が透けて見える
ようにしている。
銀は時間が経つと空気に触れて黒くなるので、表面に処理をして空気に
当たらないようにしている。
100年も経てば黒くなるかもしれないが、それはそれで面白いし、その頃には
自分はもういない。

「identity*'09-8-1」 2009年
中006

白描画を思わせる女性像に囲まれた池のような所に自画像が浮いています。
中島さんの描く女性は骨太で、がっしりしています。

(トーク)
「identity」シリーズでは、自画像が踏まれたり、ブラックホールのような物に
吸い込まれたりしている。
「existence」シリーズでは、「存」「在」「生」「死」といった字を画面に
組み込んでいる。
「空」シリーズでは、ちょっと見ただけでは分からないが、赤や黒一色の中に
線描で裸体の女性を描き入れている。

自分は絵を気分で描いている。
絵を観るときは、深く考える必要は無く、パッと見た感じで良い。

桜の絵の注文はどんどん来るので、沢山描いたおかげで上手くなった。
絵はデッサンが基本だから、練習すれば上手くなる。
しかし上手い絵が良い絵かどうかは別。

自分は伝統的な日本画を意識している訳ではなく、岩絵具という画材を
使って描いていると言って良い。


中島さんのトークはユーモアも交えた、興味深いものでした。
小さなお子さんの質問にもていねいに答えておられました。


2010年に日本橋三越で「中島千波の花鳥画の世界展-平成花菖蒲-」が
開かれていました。
その時の中島さんのギャラリートークの記事はこちらです。
花を描くことについていろいろ話されています。

展覧会のHPです。




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【2012/11/27 00:36】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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