「生誕100年 髙山辰雄・奥田元宋―文展から日展へ―」展 山種美術館
恵比寿
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恵比寿の山種美術館では、「生誕100年 髙山辰雄・奥田元宋―文展から日展へ―」
展が開かれています。
会期は2013年1月27日(日)までです。

高山001


同じ1912(明治45)年6月生まれで、共に日展で制作した髙山辰雄(1912-2007)と
奥田元宋(1912-2003)の作品と、二人の属していた日展およびその前身である
文展系の画家の作品を、所蔵品を中心にして展示しています。

髙山辰雄の作品は9点、展示されています。

髙山辰雄 「坐す人」 1972年
大きな画面で、修行僧のような人物が苦行している姿です。
前に置いている手を大きく描いて、人物の苦悩を表しています。
手を大きく描くのは髙山辰雄の特徴です。
半ば抽象的な背景は、滝を表す縦の白と、道を思わせる横の赤で引き締まっています。

髙山辰雄は、「なにか自分がものを思う時に何かをこの掌の中に持っているような
気がする。多分、「思い」というものを掌の中に持っているのだろう。」と
述べています。

髙山辰雄 「春を聴く」 1979年
髙山辰雄独特の点描法で、二羽の鳩が薄い灰緑色の野原にうずくまっています。
うっすらとした道が曲がりながら、遠くの森に続いています。
春のおとずれを聴いている鳩ということですが、何かを見つめる眼が印象的です。

髙山辰雄 「中秋」 1986年
金地に墨の点描で風景を、銀で満月を描いています。
月の光の中のしみじみとした風景です。
髙山辰雄の風景画に特徴の、手前から画面奥に向かう道がここでも見られます。

髙山辰雄 「聖家族 III」 1993年 三番町小川美術館蔵
ポスターなどに使われている作品で、ほとんど墨の色だけで描かれています。
海か広野のような景色を前にして向き合う二人の姿に深い精神性を感じます。

髙山辰雄は、「筆を動かしていると自分の脳か心臓を筆先で触っているように
感じる。画面を筆で触りながら、自分の心の中にフッと触るかもしれないと思う。
自分が何者かを捜しているのかもしれない。」と述べています。


奥田元宋の作品は7点と下図、スケッチが展示されています。

奥田元宋 「奥入瀬(秋)」(部分) 1983年
高山002

縦約2m、横約5mの大作で、奥入瀬渓流の紅葉を描いています。
年を取ると大きな作品を描けなくなるので、80歳までは日展とは別に
年に1作描くことにしたそうで、これは71歳のときの作品です。
奥田元宋は赤色をあふれるように使ったことで有名で、「元宋の赤」と
呼ばれています。
その赤は深く、荘厳さがあります。

奥田元宋 「湖畔春耀」 1986年
五月の十和田湖畔の山桜です。
錦のような重厚な色面の中に、一本の薄紅が浮かんでいます。


以下は文展、日展系の画家の作品です。

小林古径 「闘草」 1907年
高山003

初期の作品で、第1回の文展出品作です。
五月五日の頃に草を持ち寄って、その優劣を競った、「草合わせ」という
四天王寺蔵の平安時代の扇面古写経にも描かれている遊びです。
手前の子は汗衫(かざみ)を着ています。
小林古径によれば、肌の色の表現に苦労したそうです。

池田輝方 「夕立」 六曲一双 右隻 1916年
和004

第10回文展で特賞を得た作品です。
江戸の風俗を描いた屏風絵で、絵馬を掲げた額堂には空を見上げる
若い色白のやさ男、色黒で髭の剃り跡も青い男、濡れた袖を絞る女、
立ち話をする女たちが集まっています。
池田輝方(1883-1921)は京橋の生まれで、水野年方に師事し、
美人画、風俗画を得意としています。

「山雨一過」 1943(昭和18)年 絹本・彩色
原風景005

第6回の新文展出品作です。
雨上がりの山道の情景です。
谷から吹き上がる風に木々も草も馬子の蓑も揺れ、雲も千切れて飛んで行きます。

橋本明治 「月庭」 1959年
第2回の新日展出品作です。
二人の舞妓が月の光の中で腰掛けています。
橋本明治の特徴である、太い線描の重量感のある作品で、青みがかった色彩と
黒の描線により、ステンドグラスのような印象を受けます。

野島青茲 「麗衣」 1962年
第5回の新日展出品作です。
インドの衣装を着けたインド大使夫人の肖像です。
大きな画面に三角形に裾の広がる安定した構図で、気品のある姿を重厚な
線描で描いています。
襟の模様には金を挿して、華やかな画面に仕上げています。

東山魁夷 「年暮る」 1968年
山種001

親交の深かった川端康成に、京都の風景の残っている今のうちに描くように
奨められ、取り組んだ作品の一つです。
河原町にあるホテルの屋上からの景色とのことで、昔ながらの町家の屋根にも、
遠くのお寺にも雪が積もっています。
手前の家の窓に一つ、明かりが点いていて、いかにも京都の暮れの情景です。

京都の四季を描いた、「春静」「緑潤う」「秋彩」とともに揃って展示されています。


山口華楊 「生」 1974年
ど005

第5回の改組日展出品作です。
戦前の夏の日に但馬の農家で子牛を見て、その命に感動した記憶を元に
20年以上後に描いた作品です。
脚もまだ頼りなげですが、柔らかな光に包まれ、優しい目でこちらを見ています。
板壁にも時を経た風合いがあります。

他に、上村松園の「蛍」、松岡映丘の「山科の宿」、杉山寧の「響」、
加藤栄三の「流離の灯」なども展示されています。

山種美術館のHPです。

山種美術館の次の展覧会は特別展、「琳派から日本画へ―和歌の心・絵の心―」です。
会期は2013年2月9日(土)から3月31日(日)までです。



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【2012/12/03 00:15】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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