「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」 渋谷 Bunkamura
渋谷
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渋谷のBunkamuraでは、「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」が
開かれています。
会期は2013年2月24日(日)までで、1月1日のみ休館です。
1月21日までの前期と22日からの後期で一部展示替えがあります。

白001


白隠慧鶴(はくいんえかく)1685~1768)は江戸時代中頃の臨済宗の僧で、
臨済宗中興の祖とされています。

白隠は教化の手段として、数多くの書画を描いた僧としても有名で、
1万点あまり現存しますが、各地のお寺や個人の所蔵が多いそうです。
今回は大作を中心に、40数ヶ所の所蔵者の約100点の作品を展示するものです。

「半身大燈国師」 萬壽寺蔵(大分県)
白002

最晩年の作とのことで、縦2m近くの大画面の背景を黒々と塗り、極端な
大目玉の達磨を一気に描いています。
衣の線や朱の色が力強く、特にアイラインがポイントです。
ポスターなどの赤色もこの朱色が元になっています。
80歳を越えてこれだけの大作を描ききる気力体力には感心してしまいます。

白隠が40歳台で描いた達磨も展示されていますが、まだ吹っ切れていない、
迷いの感じられる画風です。

「自画像」 松蔭寺蔵(静岡県)
弟子の東嶺円慈に印可を授けたときに与えた、自筆の頂相(ちんぞう)です。
頂相とは禅僧の正式の肖像画で、白隠も袈裟を着け、かしこまった姿で
自分を描いています。
目の大きい人だったようで、白目の真中に黒目のある四白眼で描かれていますが、
への字に結んだ口元がどことなくユーモラスです。
自画像を見ると、白隠の描く達磨はすべて自画像になっていることが分かります。

「布袋吹於福」 法華寺蔵(愛媛県) 大洲市立博物館寄託
白003

絹地に描かれた双幅の掛軸で、右幅で布袋が煙管の煙を吐くと、
左幅にお福の姿が現れます。
お福は福をもたらす象徴とのことで、様々の書体の「寿」の字の模様の
着物を着ていて、前結びの帯を締めています。
鏡に写ったお福の顔まで描かれ、布袋の吐く煙は上がってはまた下がり、
動きのある元気な絵です。

法華寺は大洲藩ゆかりのお寺で、参勤交代の途中、お殿様が絹布を持って
白隠の住む駿河の松蔭寺に立ち寄り、揮毫を頼んだものと思われます。
白隠は大名や武士の依頼にも応じていますが、武士の権勢を辛らつに
批判した書画も多く描いています。

「すたすた坊主」 早稲田大学會津八一記念博物館蔵
白007

すたすた坊主は、真冬でも裸で注連縄を着けただけの姿ですたすた歩き、
大道芸を披露する乞食坊主です。
神仏への代参も請け負うすたすた坊主に白隠は自分を重ねています。

「蓮池観音」 個人蔵
白004

白011

白隠は観音像も多く描いていて、伏し目がちのお顔なのが決まりです。
蓮は彩色され、陰影も付いて、ていねいに描かれています。

「南無不可思議光如来」 
太々とした字で「南無不可思議光如来」と書かれた、3mくらいはある、
とても長い一行書です。
この言葉は浄土真宗で使われる名号であり、親鸞の書を思い出してしまいます。
浄土真宗の門徒の人に書いてあげたのでしょうか。
白隠と浄土真宗との関係は今後の研究課題とのことです。

「鍾馗鬼味噌」 海禅寺蔵(島根県)
白008

唐の玄宗皇帝の夢枕に現れ、小鬼を退治したという鍾馗様が鬼を擂鉢で
擂り潰して、鬼味噌を作っています。
唐辛子味の鬼味噌と鬼を材料にした鬼味噌を掛けています。
左は鍾馗様の息子で、「とと(父)さ鬼みそをちとなめて見度い」と
言っています。
鬼は煩悩、邪念の象徴とのことです。

「隻手」 久松真一記念館蔵
白005

白隠は、片手で拍手したらどんな音がするかという公案(禅問答の問題)を
考えています。
禅の問題なので、理屈では答えが出ません。

「吉田猿侯」
牧谿や長谷川等伯の絵に出てくるようなテナガザルが、筆を持って
掛軸に書いたのは、兼好法師の「徒然草」の冒頭部分です。
賛には「吉田のゑんこうつれづれ草を書玉ふ所」とあり、吉田猿侯は
吉田兼好のもじりです。
白隠は兼好法師を嫌っており、この画題は数多く描かれているそうです。
わざわざ、徒然草の冒頭を書き出しているというのは、「徒然なるままに…」
という姿勢に生き方への真剣さが感じられないと思ったのでしょうか。

白隠も白隠の敬慕した大燈国師もその禅風は峻烈だったといいます。
自分も徒然になったらもう一度、徒然草を読みたいと思っていたので、
この絵にはたじろいでしまいます。

「大燈国師」 串本応挙芦雪館蔵
白015

大燈国師(宗峰妙超)は鎌倉時代末期の臨済宗の僧で、大徳寺の開山です。
師から印可を授かった後も、京都の五条の橋の下で二十年間、乞食とともに
暮らしたと伝えられています。
笠を被り、托鉢の鉢を持って乞食行をしている姿ですが、何となくとぼけた
味わいがあります。
花園天皇が瓜の好きな宗峰を探し出そうと、乞食に瓜を配るから集まれと
出した触れに釣られて出てきたところです。
乞食たちに役人が「無脚で来い」と呼びかけたところ、一人が「無手で渡せ」と
言い返し、宗峰であることが分かったそうです。
禅ではこのような居合い抜きに似た機知を重んじます。


ともかく、自由で大胆、おおらかな画風で、観ていて圧倒されます。
専門の画家ではないので、素朴派といっても良い描き方ですが、さまざまな発想が
豊かにあふれています。
現存しているのが1万点というのは、よほど描くことが好きだったのでしょう。

白隠の書画は細川家の永青文庫のコレクションも知られています。
2010年に東京国立博物館で開かれていた、「細川家の至宝-珠玉の永青文庫
コレクション-」にも白隠の書画が展示されていました。

「細川家の至宝-珠玉の永青文庫コレクション-」の記事です。

展覧会のHPです。




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