「生誕90周年記念 山下清展」 日本橋三越
三越前
chariot

日本橋三越本店新館ギャラリーでは、「生誕90周年記念 山下清展」が
開かれています。
会期は1月14日(月)まで、入場料は一般・大学生800円です。

山下001


山下清(1922-1971)は浅草に生まれ、翌年の関東大震災で焼け出されて、
父の故郷の新潟に移ります。
そこで重い消化不良を起こし、高熱のため軽い知的障害、言語障害が残ります。
学校でいじめられるため、1934年に千葉県の養護施設、八幡学園に入園し、
ここで貼絵の才能を開花させます。

会場には少年時代の作品が展示されていて、最初は昆虫を1匹だけ描いていた
ものが、入園して貼絵を始めてからは園内の情景を活き活きと描き出すように
なります。

観兵式や高射砲、軍艦の艦砲を描いた作品もあります。

山下清は1940年の11月18日に、学園から抜け出し、放浪の旅に出ます。
以後、全国を廻りながら時々実家や学園に戻り、旅先の風景を貼絵にしています。

逃げ出すときの様子を描いた鉛筆画もあって、風呂敷を持ち、出てきた窓を
閉めているところです。
線路を歩いている絵、駅で寝ている絵、食物を恵んでもらっている絵もあります。
放浪中はいろいろな職業で働きながら生活費を得ていました。

放浪を始めた理由は、20歳になったら受けなければならない徴兵検査が怖かった
ためもあったそうです。
結局、21歳の時に受けさせられて、不合格になっています。
太平洋戦争のさ中なので、合格していれば兵役に就かねばならなかったでしょう。

「桜島」 貼絵 1954(昭和29)年
山下002

冬なので、描かれた桜島はうすく雪を被っています。
錦江湾は青色の密度を変えて、遠近感を表しています。
線路は上から見たように描かれていて、素朴な味わいがあります。
線路工夫の作業に興味を持ったようですが、一緒に描かれている茶色の着物の
人物は山下清自身でしょうか。

戦後も放浪を続けていた山下清ですが、やがて作品が評判となって有名人になります。
そして、この年の1月10日に鹿児島で発見され、この時で放浪生活は終わります。

山下清は放浪中に旅先でスケッチなどはせず、並外れた映像記憶力で景色を覚え、
学園や自宅に帰ってから作品にしていたそうです。
ドラマではランニングに半ズボン姿が有名ですが、実際には夏は浴衣、冬はドテラを
着て放浪していました。

「ソニコンロケット」 貼絵 
 1959(昭和34)年頃 増田屋コーポレーション蔵

山下003

ソニコンロケットは笛を吹くとその音に反応して動くブリキの玩具です。
会場には実物も展示されています。
ロケットの青色に合わせて山や畑や川に青色を使い、畑の野菜も元気良く
並んでいます。
玩具で遊ぶ楽しさが伝わってきます。

「菊」 油彩 1949(昭和24)年~1956(昭和31)年頃 津具屋製菓蔵
山下005

数少ない油彩の作品です。
点描のようにびっしりと小さな色面で埋めて描いているところは貼絵と似ています。
油彩は絵具が乾くのに時間がかかるため、テンポが合わなかったようで、
あまり描いていません。

「ロンドンのタワーブリッジ」 貼絵 1965(昭和40)年
山下004

ヨーロッパ旅行をした時の作品です。
この時はスケッチをしています。
とても細かく精確に描かれ、色彩も洗練され、ちょっと見ただけでは貼絵と
分かりません。
ただ、技量が高くなった分、素朴な力強さからは遠くなっています。

「皇居前広場(東京)」 版画/制作年不詳
山下007

現在の東海道五十三次を貼絵で制作する計画を立て、ペン画による下絵を
1964年から制作しています。
マジックペンは濃淡の表現に向かないため、あまり絵画用に使われませんが、
山下清はドットの密度によって濃淡を表しています。
出発点の日本橋は人がごちゃごちゃいて描けないということで、皇居前から
始めています。
正面に二重橋、左奥に警視庁の旧庁舎、その向こうに国会議事堂も見えます。

現代の五十三次なので、四日市の風景は石油工場です。

山下清は花火が好きで、毎年花火見物を楽しみにしていました。
1971年の7月に突然の脳出血で倒れ、49歳で亡くなっていますが、最後の言葉は
「今年の花火見物はどこに行こうかな」でした。

「長岡の花火」 貼絵 1950(昭和25)年
山下006

星空に駆け上がる花火、咲き揃う大輪の花火、水面に映る花火すべてを描き出し、
花火を見る喜びにあふれています。
河原を埋めた観客のどよめきまで聞こえてきます。

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【2013/01/03 00:02】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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