「書聖 王羲之」展 東京国立博物館
上野
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上野の東京国立博物館では日中国交回復40周年記念、「書聖 王羲之」展が
開かれています。
会期は3月3日(日)までです。
「書を芸術にした男」という副題が付いていて、会期中は前期(2月11日まで)と
後期(2月13日から)で、一部展示替えがあります。
また、前田育徳会所蔵の国宝、「孔侍中帖」は2月19日から3月3日までの展示です。

王001


王羲之(おうぎし、303-361)は東晋時代の政治家、書家で、後の時代の書に
多くの影響を与え、書聖と讃えられていますが、真蹟は1点も残っていません。

展覧会では後に製作された精巧な摸本や拓本など、約160点が展示されています。


第1章 王羲之の書の実像

中国古代以来の漢字の資料や、王羲之の書の摸本、拓本の展示です。

「行穣帖」(部分)  原跡=王羲之筆 唐時代・7~8世紀摸 
 プリンストン大学付属美術館

王002

2行が王羲之の書の摸本です。
王003


摸本は原本の上に薄い紙を置いて敷き写したもので、原本の形を正確に
写すことが出来ます。
2行目の「不」の字はすでに平仮名の「ふ」の字に近くなっています。

王羲之の書は生前から人気があったそうですが、書聖と仰がれるように
なったのは、唐の第2代皇帝太宗(599~649)が王羲之の書を愛して、
散在する書を集め、精巧な摸本を作らせたことによるものです。

精巧な摸本は双鉤填墨(そうこうてんぼく)といって、まず文字の輪郭線を写し、
中を埋めるときには髪の毛ほどの細い筆を使って、かすれや虫食いまで写し取ります。

「喪乱帖」 原跡=王羲之筆 唐時代・7~8世紀摸 宮内庁三の丸尚蔵館
前期の展示です。
王004

王005

最初の2行は「羲之頓首 喪乱之極 先墓再離荼毒 追」となっています。
「先墓再離荼毒」とは先祖の墓が匈奴によって荒らされたことを云うそうで、
苦難を深く嘆いた文面です。
王羲之は西晋の出身ですが、西晋は匈奴によって滅ぼされ、東晋が
後継国家として残っています。

「王羲之尺牘 大報帖(おうぎしせきとく たいほうじょう)」 
 原跡=王羲之筆 東晋時代・4世紀 唐時代・7~8世紀摸 個人蔵

王008

最近発見された新資料で、24文字が3行に書かれています。
2、3字目に大報とあるので、この名が付いています。
尺牘とは手紙のことで、日常の消息文のようです。
遣唐使によってもたらされた摸本と考えられます。

第2章 さまざまな蘭亭序

永和9年(353)の3月に、会稽郡の長官だった王羲之は別荘に41人の客を
招いて曲水の宴を開き、その場で詠まれた詩による詩集を編んで、序文を添えます。
これが有名な「蘭亭序」で、まず春の宴の楽しさを詠い、やがてその楽しみも
人生も尽きることの哀しみを述べて終わっています。

「蘭亭序」は王羲之の最高傑作とされ、太宗はこの書を深く愛して、ついには
自分の陵墓の昭稜に副葬させたため、原本は残っていません。

「定武蘭亭序-韓珠船本-」 王羲之筆 原跡=東晋時代・永和9年(353) 
 台東区立書道博物館

王006


「蘭亭序」は324文字から成っていて、後世この文字を自由に組合わせて
対句をつくることも行われます。

「楷書七言聯」 宣統帝筆 清時代・20世紀 東京国立博物館
王009

清朝最後の皇帝宣統帝、後の満州国皇帝、愛新覚羅溥儀の書です。
真面目そうな楷書で、臣下に下賜した品でしょうか。

「蘭亭曲水・龍山勝会図屏風」 池大雅筆  江戸時代・宝暦13年(1763) 
 静岡県立美術館

前期の展示です。
ともに宴として知られている、春の蘭亭曲水と秋の龍山勝会の楽しげな様子を
6曲1双の屏風に描いています。

「蘭亭曲水図屏風」 与謝蕪村筆 6曲1双 江戸時代・明和3年(1766) 
 東京国立博物館
後期の展示です。

第3章 王羲之書法の受容と展開

「真草千字文」 智永筆 隋時代・7世紀 個人蔵 国宝
王007

千字文はすべて文字の異なる1000字を4字ずつ250句にまとめたものです。
智永は王羲之の7代の子孫の僧で、王羲之の書風を遺すことに努めています。

「行書臨河序六屏」 朱耷筆 清時代・康煕39年(1700) 
 東京国立博物館

王010

朱耷(しゅとう)は明朝の皇族出身の明末清初の文人で、八大山人と称しています。
朱耷は個性の強い人だったということで、「蘭亭序」を書いてもかなり個性的な
書風になっています。

朱耷の絵は2012年に泉屋博古館分館で開かれていた、「中国絵画―
住友コレクションの白眉―」展にも展示されていました。

「中国絵画―住友コレクションの白眉―」展の記事です。


私の行ったのは1月27日(日)の昼頃でしたが、大勢の来館者がありました。
会期が進むと混雑するかもしれませんので、早めに行かれると良いでしょう。

展覧会のHPです。




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【2013/01/30 00:03】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(4) |
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  • やまとなでしこあんさん、こんばんは。
  • 東博と東京ドームにいらしたのですね。
    展覧会は丁寧に観るとどれだけでも時間がかかるように思います。
    また、面白い展覧会がある時は是非東京までお越しください。

    【2013/02/15 23:22】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 行ってきました。ブログリンクさせていただきました。ですが、こちらにはなぜか表示ができないのです。よろしきようにお願い申し上げます。2日だけの滞在でなかなか思うように動けませんでした。またゆっくりいきたいです。

    【2013/02/15 10:51】 url[やまとなでしこあん #mQop/nM.] [ 編集]
  • やまとなでしこあんさん、こんばんは。
  • 王羲之は西晋、八大山人は明、宣統帝は清と、それぞれ亡国の悲哀を味わっています。
    それが書に表れることを思うと中国の歴史の重さを感じないではいられません。



    【2013/01/31 00:58】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 書聖
  • 圧倒的な存在感の王羲之ですが、実際は謎!!だから余計に心が惹かれるのでしょうか?ぜひ行きたいと思っています。ご紹介ありがとうございます。八大山人のものは、名前と書風だけは知っていましたが、こちらの以前の記事を読み、興味を持つようになりました。中国という国の重みを背負うだけのものが盛り込まれる書というものはすごいと思います。個人と国というものも考えさせられますね。

    【2013/01/30 12:22】 url[やまとなでしこあん #mQop/nM.] [ 編集]
    please comment















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    行ってきました!!   ぎりぎりまで日にちが決まらなかったのですが、3月3日までなんで思い切ってゴウ!!       お天気も良く、たくさんの人出!! &n...
    【2013/02/15 10:46】

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