「悠久なる刻を求めて 杉山寧」展 日本橋高島屋
日本橋
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日本橋高島屋8階ホールでは「悠久なる刻を求めて 杉山寧」展が開かれています。
会期は3月25日(月)まで、入場料は800円です。

杉003


戦後日本の代表的な日本画家、杉山寧(1909-1993)の没後20年の回顧展で、
作品約70点が展示されています。

杉山寧は浅草生まれで、1928年に東京美術学校(現東京藝術大学)に入学
しています。
松岡映丘に師事し、同門の浦田正夫、山本丘人らと瑠爽画社を結します。
高山辰雄も後に参加しています。

「椿と乙女」 1931年 個人蔵
杉004

初期の作品はくっきりとした線描を用いた伝統的な画風です。

1932年に「磯」で帝展に入選し、1933年に卒業制作の「野」を描き、
首席で卒業しています。

「海女」(部分) 1934年 個人蔵
杉008
 
三重県志摩地方の波切村に旅行したときに着想を得た作品です。
大作で、画面に動きと立体感があり、海の色は深く、木の質感まで表され、
伝統的な日本画とは異なる新鮮な力強さがあります。
この新鮮さと高い技量は「磯」や「野」にも共通しています。

1938年に肺を病み、しばらく静養を余儀なくされ、戦後を迎えます。

やがて画風を大きく変え、抽象化された空間構成の造形的な作品を描く
ようになります。

「耿」 1957年 富山県立近代美術館
杉005

ほとんど抽象画に近い作品も描いています。
石神井公園の三宝寺池を題材にしていますが、下絵の天地を逆にしたら
その方が良く思えたので、その構図を完成作にしたそうです。
耿(こう)とは光という意味だそうです。

杉山寧は作品の題名に漢字一字を当てるようになります。
絵から説明的な要素や叙情性、文学性を排するためとのことです。

たしかに杉山寧の作品は初期を除いてきわめて構築的でゆるぎが無く、
叙情性を排除しています。

「悠」 1963年 個人蔵
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エジプトシリーズの第1作です。
1962年にエジプトを旅行し、古代の遺跡や彫刻の持つ実在感と永続性に惹かれ、
以後よく題材に選んでいます。
かなりの厚塗りで、造形的な画面構成になっていて、ピラミッドやスフィンクスは
赤々と照り輝いています。

「垙」 1980年 個人蔵
杉002

エジプトのサッカラ街道で実際に見た光景を元にしています。
垙(こう)とは道、巷という意味だそうです。
のどかな情景ですが、女性の引く綱に緊張感のある、洗練された画面です。

「生」 1971年 個人蔵
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杉山寧のよく描いたテーマの中に裸婦像があります。
従来の日本画には、「内側から張り出てくる」充実感のある人体、裸婦が
描かれていないと考え、充実した、彫刻のような裸婦を描いています。

「チェルべトリの夫婦像」 1983年 個人蔵
杉009

古代イタリアの先住民族、エトルリア人夫婦の陶棺です。
杉山寧はヨーロッパに旅行し、ギリシャやイタリアの古代彫刻を
多く描いています。


展覧会の副題に、「 日本画を超えた日本画家」とありますが、
たしかに叙情を排した、構築的で抽象的な画面の作品には洋画に
近いものがあります。
そのモダンさが杉山寧の大きな特徴といえます。
山本丘人や高山辰雄も初期に比べて画風を大きく変えており、
それは戦後の日本画の在り方を模索した結果でしょう。

ただ、私は初期の「磯」「野」「海女」の瑞々しさ、鮮やかさにも
深い魅力を感じます。

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【2013/03/10 00:04】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • flowerhさん、こんばんは。
  • 池の小島を描いているようですね。
    広い三宝寺池のどこかにあるのでしょうか。
    絵の天地を逆にするほどですから、かなり抽象画に近くなっています。

    【2013/03/10 18:33】 url[猫アリーナ(chariot) #/8nqih4Y] [ 編集]
  • こんにちは~

    三宝寺池とかでてくると目が止まってしまいます。

    今度チェックしておきますね(^^)

    【2013/03/10 14:12】 url[flowerh #-] [ 編集]
    please comment















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