「ルーベンス」展 栄光のアントワープ工房と 原点のイタリア Bunkamuraザ・ミュージアム
渋谷
chariot

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは、「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と
原点のイタリア」展が開かれています。
会期は4月21日(日)までで、期間中は無休です。

ル001


バロックを代表するフランドルの画家、ペーテル・パウル・ルーベンス
(1577-1640)の展覧会です。

イタリアに学んだルーベンスの、ティツィーアーノなどイタリアルネサンスの
影響を示す作品、ルーベンスの運営した工房の作品なども展示されています。

ルーベンスはアントワープで画家修業を終えると1600年にイタリアに行き、
多くの絵画に接しています。
イタリアには1608年まで滞在し、その後もイタリア絵画への憧れを持ち続けています。

ルーベンス 「毛皮をまとった婦人像」 1629-30年頃
 オーストラリア、クィーンズランド美術館
 
ル004
 
ティツィアーノの作品の模写で、ルーベンスがスペインの外交使節として
イギリスに滞在中に模写したものです。
2度目の妻をモデルにした、「毛皮をまとったエレーヌ・フールマン」は
この作品に想を得ているとされています。
ルーベンスの作品を観ていると、ラファエロやティツィアーノなどルネサンスの
影響を強く受け、その作品の構図などを取り入れていることが分かります。

ルーベンスはスペインの外交官としても、故郷のフランドルを巻き込んだ
オランダ独立戦争の調停のため奔走しています。
スペインの宮廷ではベラスケス(1599-1660)とも親交があったようです。

ルーベンス 「復活のキリスト」 1616年頃 
 フィレンツェ、パラティーナ美術館

ル003

十字架に掛けられ、埋葬されたイエスが復活した場面です。
勝利の象徴である旗を持って起き上がったイエスに天使が月桂冠を
かぶせようとしています。
対角線の構図で描かれ、手や足に釘の跡、胸に槍の傷を残したイエスは
堂々とした体格で光を発し、ギリシャの太陽神アポロンのようです。

ルーベンス 「ヘクトルを打ち倒すアキレス」 1630-1635年頃 
 フランス、ポー美術館

ル002

タピスリーの下絵で、ギリシャ神話のトロイア戦争の一場面、トロイア側の
総大将ヘクトルがアカイア側のアキレスに槍で喉を突かれて斃されるところです。
額縁のような石柱や花綱に囲まれていて、マントや羽飾りの赤が鎧兜の銀色に映え、
ルーベンスらしい躍動感のある作品です。
タピスリーの下絵は完成品と左右反転して描くためか、ヘクトルもアキレスも
武器を左手に持っています。

ルーベンス 「眠る二人の子供たち」 1612-1613年頃 
 日本、国立西洋美術館

ル005

兄フィリプスの子を描いたものとされていて、西洋美術館の平常展示で
よく観ることが出来ます。
頬っぺたも赤く丸々と可愛い子供たちです。
展覧会では早世したフィリプスを描いた肖像も展示されています。

ルーベンス 「ロムルスとレムスの発見」 1612-1613年頃 
 ローマ、カピトリーナ絵画館

ル006

ロムルスとレムスはローマ建国神話でローマを建設したとされる双子の兄弟です。
幼いときに叔父によってティベレ川に捨てられた兄弟はオオカミに育てられ、
羊飼いに発見されています。
左側の立派な体格の人物はティベレ川の擬人像で、甕からは水が流れ出ています。
キツツキが兄弟のためにサクランボを運んできています。
オオカミは毛並みまで細かく描かれています。
精霊、水、樹木、オオカミ、キツツキ、赤ん坊、羊飼いが賑やかに描き込まれた、
生命の賛歌を思わせる場面です。

ルーベンス(工房) 「聖母子と聖エリサベツ、幼い洗礼者ヨハネ」 
 1615-1618年頃 フィレンツェ、パラティーナ美術館

ル009

聖エリサベツは洗礼者ヨハネの母で、年老いてから神によってヨハネを
授かったので、老女として描かれています。
ルーベンスらしく、マリアの姿もとてもふくよかです。

ルーベンスは自分の描いた習作を完成作の一部として使っています。
「眠る二人の子供たち」の左側の子の顔は左右反転して、「ロムルスと
レムスの発見」やこの作品にも使われています。
ルーベンスはアントワープに大きな工房を経営し、風景画家や動物を
得意とする画家と協力して描いたりもしていたということです。

アンソニー・ヴァン・ダイク 「改悛のマグダラのマリア」 
 1618-1620年頃 日本、個人蔵

ル008

イギリスのチャールズ1世の宮廷画家として有名なアンソニー・ヴァン・ダイク
(1599-1641)はルーベンスの傑出した弟子です。
工房では弟子の作品に筆を入れていたルーベンスも、ヴァン・ダイクについては
安心して任せていたそうです。
若い時の作品で、ティツィアーノの絵を元にしているようですが、
涙を浮かべて改悛するマリアの顔はヴァン・ダイクの自画像に
似た雰囲気があります。

リュカス・フォルステルマン 「キリスト降架」 エングレーヴィング 
 1620年 アントワープ王立美術館

ル007

ルーベンスの原画による銅版画で、原作と左右反転しています。
ルーベンスは版画製作にも熱心で、優れた版画家を監督して自作を
版画にしています。
原画はアントワープ大聖堂の祭壇画で、「フランダースの犬」のネロが
観たかった絵です。
対角線の構図によって、崩れ落ちようとするイエスの肉体を人々が
支えている劇的な光景にしています。

私は初日の3月9日に行ってきましたが、かなりのお客さんが入っていました。
今後、混雑するかもしれません。





Bunkamuraザ・ミュージアムの次回の展覧会は「アントニオ・ロペス展」です。
会期は4月27日(土)から6月16日(日)までです。

ア001

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【2013/03/12 00:00】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • dezireさん、こんばんは。
  • コメントありがとうございます。
    ルーベンスの作品は色彩が明るく、温かみのある作品が多いです。
    「聖母子と聖エリザベツと幼い洗礼者ヨハネ」は明暗の対比もはっきりして、印象深い作品だと思います。

    【2013/04/15 22:16】 url[猫アリーナ(chariot) #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 私もルーベンス(栄光のアントワープ工房と原典のイタリア)展に行ってきました。
    多くの作品について、ひとつひとつ丁寧にご説明やご感想を書かれているので、作品展で観た作品を思い出しながら、ブログを読ませていただきました。
    今回の作品展で私は、「聖母子と聖エリザベツと幼い洗礼者ヨハネ」と「復活のキリスト」が何か作品に温かみがあり、好きになりました。

    私も今回展示されていた代表的作品を通して、ルーベンス美術の魅力を私なりにまとめてみました。
    よろしかったら、ぜひ一読してみてください。
    ご感想、ご意見などどんなことでも結構ですから、ブログにコメントなどをいただけるとうれしいです。


    【2013/04/14 23:12】 url[dezire #tLX0El8c] [ 編集]
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