「フランシス・ベーコン」展 東京国立近代美術館
竹橋
chariot

竹橋の東京国立近代美術館では 、「フランシス・ベーコン」展が開かれています。
会期は5月26日(月)までです。
その後、豊田市美術館に巡回します。

ベ001


フランシス・ベーコン(1909-1992)はアイルランドのダブリン生まれの
イギリス人で、ロンドンを拠点に制作していました。
エリザベス朝時代の哲学者、フランシス・ベーコンの傍系の子孫とも
言われていますが、本人は疑問視しています。
日本では30年振りの個展で、ベーコンの作品約30点が出展されています。

「人物像習作 II」 1945-46年 ハダースフィールド美術館
ベ003

不思議な絵で、屈んだ人物が大きく口を開けて叫んでいます。
この「叫ぶ」姿はその後の作品にもよく現れます。
ベーコンは後にこの時期以降を自分のキャリアと考えて、これより前の時期の
作品はほとんど破棄してしまったそうです。

「肖像のための習作 IV」 1953年 
 フランスシス・リーマン・ローブ・アート・センター

ベ011

ベラスケスの「インノケンティウス10世の肖像」を元に描かれたシリーズの
ひとつです。
他の作品では叫ぶ姿が多く描かれていますが、この絵では顔に手を当てています。
会場ではインタヴューを受けているべーコンの様子が放映されていますが、
その中でベーコンはローマ教皇のシリーズについて、「ベラスケスの作品は
完成されており、自分にはそれ以上のものは描けない。執着心から描いたが、
成功したとは言えない。(美術館に展示されている)ベラスケスの絵を
観に行っていない。彼の絵を冒涜した後なので、怖くて行けない。」と述べています。

ベーコンは1965年以降は基本的に教皇や枢機卿を描かなくなります。
それは1962-65年に開かれた第2バチカン公会議の時期と一致しているそうです。
第2バチカン公会議によって、それまでラテン語で行われていたミサをそれぞれの
地域の言葉で行なうように、神父が信者に背を向けて行なっていたミサを信者に
向かって行なうようになったそうです。
ベーコンにとってカトリックの体制は一種の抑圧であり、それが第2バチカン公会議の
結果によってゆるやかになったと捉えられたのかもしれないとのことです。
ベーコンはカトリックの国のアイルランド生まれですから、なるほどそんなことも
あるのかと思いました。

ベーコンは自分の作品をガラスと金縁の額に入れるように指示しています。
作品が観る人と隔てられている状態を好んでいますが、観る人がガラスに
映ることを狙っている訳ではないそうです。
絵はがきも金縁の袋に入っています。

ベ009


「走る犬のための習作」 1954年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
ベ010

ベーコンは幼い頃から喘息がひどく、ほとんど学校にも行っていません。
特に馬や犬はアレルギーの元なのですが、父が馬の調教師のため、いつも
動物が周りにいたそうです。
こちらに向かって来る犬も何かおぞましげな存在として描かれています。

「スフィンクスの習作」 1953年 イエール大学美術館
ベ006

1950年頃にエジプトを訪れたベーコンはエジプト美術に感銘を受け、
それ以後スフィンクスをよく描いています。
生命を記録しようと思うのなら凝縮、単純化をせねばならず、エジプト文明の
彫刻のようなリアリティに至る単純化が必要、と述べています。
また、自分の方法論を、「具象画と抽象画の綱渡り」と定義付けています。
エジプト彫刻を具象に基いた抽象と見ていたのでしょう。

「スフィンクス―ミュリエル・ベルチャーの肖像」 1979年 
 東京国立近代美術館

ベ012

ミュリエル・ベルチャーはロンドンのソーホーにあった酒場の女主人で、
常連のベーコンを「私の娘」と呼んでいたそうです。
ベーコンはこの年、病気のベルチャーを何度も見舞っています。
スフィンクスの姿をしたベルチャーです。
描き込まれた直線は画面の空間性を示しています。

「ジョージ・ダイアの三習作」 1969年 ルイジアナ近代美術館
ベ005

ベ002

ベーコンは同じ題材を三幅対(トリプテック)の形式で描くようになります。
モデルはベーコンの恋人で、明るいピンクの地に勢い良く描かれていますが、
かなりゆがんだ形です。
特に絵の真中の黒い穴のような物が気になります。

「三幅対」 1991年 ニューヨーク近代美術館
ベ007

ベ008

亡くなる前年に制作された、三幅対としては最後の作品です。
右の絵では黒い四角の中に片足を踏み入れていて、自画像も描かれています。
左の絵では出てきたところで、真中の絵では顔の辺りは黒く塗られ、
矢印が付いています。

会場にはベーコンの作品に着想を得た二人の舞踏家、土方巽とウィリアム・
フォーサイスのダンスも上映されています。

観る人を簡単に納得させない、強い印象を残す作品ばかりで、私も会場を何度も
行ったり来たりして、観ては考える、を繰り返しました。

近代美術館では4回にわたって、ベーコンについての連続講演会が開かれます。
初級、中級、上級とあって、どれも入場無料です。
詳しくは展覧会のHPをご覧ください。

東京国立近代美術館の展覧会のHPです。





ギャラリー4では「東京オリンピック1964 デザインプロジェクト」が開かれています。
会期は5月26日(月)までで、「ベーコン展」の観覧券で観ることが出来ます。

ベ013

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