「国宝 大神社展」 東京国立博物館
上野
chariot

上野の東京国立博物館では「国宝 大神社展」が開かれています。
会期は6月2日(日)までです。
会期中は前期(5月6日まで)と後期(5月8日から)、一部展示替え、
また個別の展示替えがあります。

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今年は20年ごとに行われる伊勢神宮の式年遷宮の第62回に当たり、
それを機に日本全国の神社の宝物、文化財を展示するものです。

奈良・春日大社、和歌山・熊野速玉神社は前期、広島・厳島神社、
愛知・熱田神宮は後期に集中しています。

第1章 古神宝

「紫檀地螺鈿平胡簶(若宮御料のうち)」 
 平安時代・12世紀 奈良・春日大社 国宝

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前期の展示です。
平胡簶(ひらやなぐい)は矢を帯びるための武具で、下の部分に箱が付いて、
矢尻を差し込みます。
紫檀地に銀板をはめ、螺鈿の装飾を施しています。
藤原頼長の奉納によるもので、大治6年(1131)の銘があり、同じく奉納された
弓矢とともに展示されています。

藤原頼長は保元の乱を起こしますが敗れ、首に矢を受けて亡くなっています。
春日大社は藤原氏の氏神を祀っています。


第2章 祀りの始まり

「金銅製龍頭」 東魏時代・6世紀 福岡・宗像大社 国宝
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4月21日までの展示です。
宗像市沖ノ島祭祀(5号)出土で、社殿を建てて神を祀る以前の、
巨岩や巨木を祀っていた時代の祭祀の形を示しています。
竿の先に付けて天蓋や幡を吊り下げた、中国の東魏時代の金具で、
金色に輝いています。

沖ノ島からは大量の祭祀遺物が発見され、国宝に指定されていて、
沖ノ島は海の正倉院と呼ばれています。


第3章 神社の風景

自然崇拝に始まる神道では風景を描いた絵画が多くあります。
神社の縁起絵巻、礼拝の対象となる宮曼荼羅や布教の時に使われた
参詣曼荼羅などの展示です。

2011年に根津美術館では春日宮曼荼羅などを展示した、「春日の風景
-麗しき聖地のイメージ-」展が開かれていました。

「春日の風景-麗しき聖地のイメージ-」展の記事です。


第4章 祭りのにぎわい

「沃懸地螺鈿金銅装神輿」 
 平安時代・12世紀 和歌山・鞆淵八幡神社 国宝

今の時代の神輿よりずっと大きく、屋根に金の鳳凰を乗せ、鏡を張った華鬘
(けまん:仏教の荘厳具)や鈴を付け、担い棒にも透かし彫りの金具がはめられた、
古式でとても豪華な神輿です。
鎌倉時代の安貞2年(1228)に京都の岩清水八幡宮から贈られています。
鞆淵郷は元々岩清水八幡宮の荘園だった所で、鎌倉時代になり荘園との関係を
保とうと考えた岩清水八幡宮が贈ったもののようです。
国宝に指定されるまでは村の祭礼で実際に担がれ、神輿の下をくぐると厄除けに
なるというので、子供たちがくぐっていたそうです。

「豊国祭礼図屏風」左隻(部分) 
 狩野内膳 江戸時代・17世紀 京都・豊国神社 重要文化財

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後期の展示です。
慶長9年(1604)、豊臣秀吉の七回忌に行われた豊国大明神臨時祭礼の模様が
描かれた屏風です。
左隻は方広寺大仏殿門前での風流踊りの場面です。
臨時祭礼は大変な盛り上がりを見せ、秀吉死後にもかかわらず未だ豊臣家が
人々に慕われていることに徳川家は恐れをいだいたとも云われています。
狩野内膳(1570-1616)は荒木村重の家臣の子で、主家が織田信長への謀反のため
滅んだ後、狩野家に弟子入りし、豊臣家の御用絵師を勤めています。


第5章 伝世の名品

「七支刀」 古墳時代・4世紀 奈良・石上神宮 国宝
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前期の展示です。
左右に6本の枝を持つ、とても珍しい形の鉄剣です。
金象嵌で61文字が刻まれていて、金文字が浮かび上がって見えます。
銘文から中国の東晋時代の太和4年(369)の制作で、百済王から倭王に
贈られたのではないかと考えられ、日本と百済の外交関係を示す貴重な
資料となっています。

石上神宮はとても由緒の古い神社で、元は物部氏に祀られ、大和朝廷の
武器庫ともなっていたとされています。

「直刀 黒漆平文大刀」 平安時代・9世紀 茨城・鹿島神宮 国宝
刃の長さ223.5cmもある大刀で、これを鍛えた刀鍛冶は大変な技術と労力を
要したことでしょう。
鞘は黒漆塗りで、金の獅子文が入っています。
鹿島神宮は古くから軍神の神社として知られています。

「平家納経 観普賢経」 
 平安時代・長寛2年(1164) 広島・厳島神社 国宝

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観普賢経は法華経の中の結びのお経です。
見返には法華経に登場する鬼神の十羅刹女が剣を持った女房姿で描かれています。

「白糸威鎧」 鎌倉時代・14世紀 島根・日御碕神社 国宝
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前期の展示です。
白の威糸のすがすがしい大鎧で、金物には花輪違紋があしらわれています。
源頼朝、あるいは塩冶高貞(えんやたかさだ)の寄進とされていますが、
花輪違紋は塩冶家の家紋です。
塩冶高貞は鎌倉期から南北朝期の武将で、歌舞伎の忠臣蔵で塩冶判官と
されている人物です。
松江藩主、松平治郷(不昧)の命によって補修されていて、威糸のほとんどは
その時の物です。

第6章 神々の姿

この展覧会は多くの神像が展示されているのが特徴です。

「男神坐像(老年像・青年像)・女神坐像」 
 平安時代・9世紀 京都・松尾大社 重要文化財

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現存する神像として最初期のもので、老年像の厳しさのある姿は後の神像の
イメージの元になっているそうです。
松尾大社は渡来人の秦氏が氏神を祀った神社です。

左:「吉野御子守神像」 南北朝時代・14世紀 個人蔵
右:「子守神像」 南北朝時代・14世紀 大和文華館

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「子守明神像」は前期の展示です。
元は「吉野御子守神像」を中心とする三幅対だったと考えられています。 
「吉野御子守神像」は表着を左右に広げた堂々としたお姿で描き眉が印象的です。

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神像の多くは、神々の神威を表すためか、仏像に比べて威のある表情をして
おられるようです。

「春日神鹿御正体」 南北朝時代・14世紀 京都・細見美術館 重要文化財
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鹿は春日大社の神鹿として崇められます。
鞍に神の依り代の榊と円鏡を付け、円鏡には五体の本地仏が線彫りされています。


神像や刀剣、鏡、衣装など、普段は目にすることの出来ない、全国の神社の珍しい
神宝を数多く観ることの出来る、とても貴重で興味深い展覧会です。


追記
4月23日にはブロガー内覧会があり、抽選に当たりましたので行ってきました。
「国宝 大神社展」のブロガー内覧会の記事です。


東京国立博物館の次回の特別展は「和様の書」です。
会期は7月13日(土)から9月8日(日)です。

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【2015/05/20 21:56】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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東京国立博物館で開催中の 「国宝 大神社展」に行って来ました。 大神社展公式サイト:http://daijinja.jp/ 古代ギリシア時代のパルテノン神殿や、ヨーロッパのいたるところに存在
【2013/04/19 21:06】

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