「春の名品選 藝大コレクション展」 東京藝術大学大学美術館
上野
chariot

上野の東京藝術大学大学美術館では「春の名品選 藝大コレクション展」が
開かれています。
会期は5月6日(月・祝)までです。

芸006


東京藝術大学の前身の東京美術学校による、日本画、西洋画、彫刻、
工芸品などのコレクションのうち約70件が展示されています。

「絵因果経」 紙本着彩 8世紀後半 国宝
芸004

5世紀に漢訳された過去現在因果経を絵入りの経巻にしています。
上段に釈迦の物語が素朴な表現で描かれています。
会期中に巻き替えがあります。

芸005

狩野芳崖 「不動明王」 紙本着彩 1887年 重要文化財
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ゴツゴツした肢体の不動様です。
光背の代わりに背景に金泥を塗って輝かせ、その姿を浮き上がらせています。

上村松園 「序の舞」 紙本着彩 1936年 重要文化財
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2009年の東京藝術大学の所蔵作品展でこの作品を観た時の記事は以下の通りです。

『等身大の大きさの掛軸で、若い女性が能の仕舞を舞っているところです。
前に伸ばした右手は扇を逆手に持ち、袖を腕に巻いた、華やかな瞬間です。
松園特有の、柔らかい赤の振袖の裾模様は、彩雲です。
雲母を使っているのか、雲は輝いて見え、フットライトのようです。
帯は斜めに結んであるのが分かるので、立矢帯という格調の高い結び方の
ようです。
帯地は金、模様は鳳凰に桐です。
雲と、その上を飛ぶ鳳凰という組合せです。
髪型は文金高島田という、これも格調高い型で、かんざしは牡丹でしょうか。
牡丹も鳳凰と一緒に描かれる花です。
衣装は豪華でありながら、立ち姿は清楚で、緊張感があります。
やはり、観る甲斐のある作品でした。
特に裾模様の輝きの美しさは、実際に作品を観ないと分かりませんでした。』


鏑木清方 「一葉」 紙本着彩 1940年
2009年の東京藝術大学の所蔵作品展でこの作品を観た時の記事は以下の通りです。

『上村松園の「序の舞」の隣に並んでいます。
樋口一葉を、地味な着物に前掛けをして、針仕事の手を休めている、市井の
女性の姿として描いています。
その顔は意思的で、写真のほとんど残っていない一葉は、この絵で紹介
されることが多いです。
背景は何もありませんが、ランプが吊ってあって、夜なべ仕事と、明治という
時代を思わせます。』

赤松麟作 「夜汽車」 キャンバス・油彩 1901年
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女の子を寝かしている母親、煙草に火を付ける老人、窓の外の景色に
見入る老人、話し込む人など、さまざまな人たちが描かれています。
草鞋履きの足も見え、足元にはお茶の土瓶やみかんも皮も転がっていて、
季節を感じさせます。
車内灯の光、入口に立つシルエット、マッチの光、暗い車外の景色など、
光を効果的に使っています。
日本画では雨宿りの場面を借りてさまざまな種類の人たちを描く趣向が
ありましたが、それと似たような画題です。

橋本平八 「裸形の少年像」 1927年
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高さ154.2cmの木彫で、黒く彩色されています。
敬虔な表情をした少年で、一歩前に踏み出した姿は
古代エジプト彫刻のようです。

橋本平八 「花園に遊ぶ天女」 1930年
彫006

高さ121.7cmの木彫で、全身に花模様が浅く線彫りされ、唇は赤く彩色
されています。
アールデコ風のヘアスタイルをしていて、右足を少し上げた姿は軽やかで、
モダンな雰囲気です。

橋本平八(1897-1935)は三重県生まれで、彫塑部があった頃の院展などに
出品していましたが、38歳で早世しています。

特別展示1
都市を描く―移りゆく東京と画家

東京を描いた作品の展示です。

近藤浩一路 「京橋」 キャンバス・油彩 1910年
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電柱が立ち、京橋川を市電が渡っています。
現在に比べると人通りも少なく、まだのどかな風景です。
都市を俯瞰した構図の風景画は印象派から学んだものかもしれないそうです。

小絲源太郞 「屋根の都」 キャンバス・油彩 1911年
芸009

上野の山から見た浅草方向の景色で、左奥に浅草十二階(凌雲閣)らしい
物が見えます。
一面の屋根に朝日が当たり、手前には電線を張り巡らせた電柱も見えます。
浅草十二階は1923年の関東大震災で倒壊し、その後の復興によって東京の
風景も一変しています。

前川千帆 「有楽町駅」 紙・木版多色刷 
芸005

8人の作家が関東大震災後の東京の風景を描いた版画集、「新東京百景」
(1929-1932年)の中の一つです。
鉄骨を使った柱や屋根など、駅の雰囲気は今と同じです。
駅名表示が「いうらくちやう」となっています。
時代としては世界大恐慌の頃にあたりますが、作品からは暗さは感じられません。

特別展示2

修復記念―小磯良平 「彼の休息」
芸008

「彼の休息」(1927年)は小磯良平の東京美術学校の卒業制作です。
表面に塗ったワニスが黄色くなり、亀裂も生じていたので、ワニスを
塗り替え、亀裂の補修も行なって、今回公開されました。

作品のモデルは神戸第二中学校以来の友人の竹中郁で、ラガーシャツ姿で
休んでいるところです。
神戸では外国人によって伝えられたラグビーが早くから根付いていたそうです。
小磯良平はその頃マネを熱心に研究していたので、マネの画集も置いてあります。
勢いの良い作品で、シャツやソックス、パラソルの縞模様が眼を惹きます。
さすが神戸らしい、1927年とは思えないモダンな雰囲気があります。

同級生の山口長男によれば、小磯良平は美術学校始まって以来の秀才と呼ばれ、
「とにかく筆を持って書き出したならば、完璧なものを生み出し、失敗という
ことはなかった」そうです。
技量の高い画家は従来の様式を越えて新しいものを追求することが多いのですが、
小磯良平は生涯一貫した画風を続けています。

展覧会のHPです。


東京藝術大学大学美術館では「夏目漱石の美術世界展」が開かれます。
会期は5月14日(火)- 7月7日(日)です。

夏001


秋には「国宝 興福寺仏頭展」も開かれます。
会期は9月3日(火)-11月24日(日)です。

興001

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【2013/04/18 00:05】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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