「オディロン・ルドン展 夢の起源」 損保ジャパン東郷青児美術館
新宿
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新宿の損保ジャパン東郷青児美術館では「オディロン・ルドン 夢の起源」展が
開かれています。
会期は6月23日(日)までです。

ル001


象徴主義の画家と呼ばれるオディロン・ルドン(1840-1916)の展覧会で、
数多くのルドンの作品を所蔵する岐阜県美術館と、ボルドー美術館の
所蔵作品を中心に油彩、パステル、版画など約150点が展示されています。

2012年に丸の内の三菱一号館美術館で開かれた、「ルドンとその周辺
-夢見る世紀末」展に展示されていた作品も幾つか展示されていました。

「ルドンとその周辺」展の記事です。

作品は生まれ育ったボルドー時代、黒の版画の時代、色彩の時代の3部に
分かれています。

第1部 幻想のふるさとボルドー―夢と自然の発見

先ず、ボルドーでルドンに影響を与えた画家の作品が展示されています。

スタニスラス・ゴラン(1824-1874)は水彩画家で、ルドンの最初の師です。

ロドルフ・ブレスダン(1822~1885)の作品も何点か展示されています。
ブレスダンは幻想的な情景を描く放浪の版画家で、ボルドーに滞在していた時に
ルドンに版画を教えています。

ロドルフ・ブレスダン 「死の喜劇」 1861年 リトグラフ
版0144

これは2010年に国立西洋美術館で開かれた、「19世紀フランス版画の闇と光―
メリヨン、ブレダン、ブラックモン、ルドン」展に展示されていた時の写真です。
老人の周りの木の上や地面には骸骨があふれています。

初期のルドンのエッチングには、後の「アポロンの戦車」のように馬を描いた
作品が何点もあります。

また、ルドンは顕微鏡で見る植物の世界やダーウィンの学説などを博学の
植物学者アルマン・クラヴォー(1828-1890)によって知ります。

ルドンの初期の油彩画も何点か展示されています。
ルドンは自分の育ったベイルルバードやピレネー、ブルターニュなどの
風景を写生しています。
風景画は孤独な雰囲気ですが、色彩は重厚で深みがあり、後の色彩画家
ルドンにつながるものがあります。

また、ドラクロワの作品の模写も行なっています。

ルドンはクールベのような即物的な写実主義には批判的でしたが、彼らが
習練として自然の写生を重視していたことは評価していたそうです。

また、1860年にコローから、空想的なイメージの隣に自然に直接取材した
事物を置くと幻想の世界も現実的になるという助言をもらっています。

「ブルターニュの風車」 パステル、紙 1875-85年 ボルドー美術館
風車小屋のシルエットが黒いかたまりになって描かれています。

「薔薇色の岩」 油彩、画布 1885年頃 岐阜県美術館
小品で、横たわる岩は日の光に照らされています。


第2部 「黒」の画家―怪物たちの誕生

1879年、39歳で最初の石版画集、「夢の中で」を発表し、「黒」の画家として
注目されます。
産業革命以来の楽天的で物質主義的な世界観への幻滅の生じていた時代で、
人々は幻想的、精神的な世界に関心を持つようになっていました。

『「起源」 2.おそらく花の中に最初の視覚が試みられた』 
 リトグラフ、紙 1883年 岐阜県美術館

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ダーウィンの「種の起源」に触発されたと思われる作品も描いています。

黒の時代の作品にはクラヴォーから得た知識の影響が見られます。
電気や気球といった科学技術にも関心を持っており、作品に描いてもいます。
単に幻想の世界に浸っているのではなく、現実の世界に対する感受性が
強かったのだろうと思います。

「蜘蛛」 リトグラフ、紙 1887年 岐阜県美術館
ポスターなどに使われている作品です。
毛むくじゃらの顔に足が10本付いている変わった生物で、歯を見せて
笑っている顔は何となくユーモラスです。


第3部 色彩のファンタジー

ルドンの作品は1890年代には黒から離れて、色彩豊かなものになります。
息子の生まれたことや想い出の地のベイルルバードの土地が売却されたことで、
精神的な区切りが付いたことと関連すると考えられています。

「神秘的な騎士 あるいは オイディプスとスフィンクス」 
 木炭、パステルで加筆 1892年頃ボルドー美術館

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翼を持ったスフィンクスが顔を傾けて、首を持った人物を見ています。
スフィンクスの謎を解いたのはオイディプスですが、首のモチーフは
オルフェウスの物語を思わせます。
スフィンクスもオルフェウスも象徴主義の画家、ギュスタターヴ・モローの
描いたモチーフです。

「神秘的な対話」 1896年頃 油彩、画布 岐阜県美術館
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神殿の柱を後ろにした古代風の景色の中で、一人の女性がもう一人の若い女性に
語りかけています。
青い空に紅い雲が輝き、足許には草花が散りばめられています。

「翼のある横向きの胸像(スフィンクス)」 
 1898-1900年頃 パステル、木炭、チョーク、紙 岐阜県美術館
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ギリシャ風の面立ちをした少女の横顔を中にして、色彩が雲のように
湧き上がっています。
パステルで一気に描いた翼には勢いがあり、紫色が印象的です。

「アポロンの戦車」 油彩、パステル、厚紙 1909年 ボルドー美術館
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アポロンの戦車のモチーフは、ドラクロワの描いたルーブル宮のアポロンの間の
天井画を基にしているということです。
深い青色の天空に駆け上がる馬たちは自身が太陽のように輝いています。

ルドンは印象派と同じ時代の画家で、1870年に起きた普仏戦争には、ルドンも
ドガもルノワールも従軍していますが、作風は印象派とは違うものを
求めています。

ルドンは第一次大戦に出征した息子の安否を気遣って冬のパリの街を歩き回り、
肺炎をこじらせて、1916年に亡くなっています。

「聖母」 油彩、画布 1916年 ボルドー美術館
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ルドンが亡くなったときに未完成でイーゼルに乗っていた作品です。
戦地にいる息子への聖母の加護を願っていたのでしょうか。


展覧会のHPです。





次回の展覧会は、「<遊ぶ>シュルレアリスム―不思議な出会いが
人生を変える―」展です。
会期は7月9日(火)~8月25日(日)です。

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【2013/05/02 00:01】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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blog_name=【弐代目・青い日記帳 】 ♥   「オディロン・ルドン展」
 
損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の 「オディロン・ルドン―夢の起源―」展に行って来ました。 http://www.sompo-japan.co.jp/museum/ オディロン・ルドン(1840〜1916)とクロード・モネ
【2013/05/30 22:20】

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