「古染付と祥瑞展」 出光美術館
日比谷・有楽町
chariot

日比谷の出光美術館では、やきものに親しむ X として、「古染付と祥瑞展」が
開かれています。
会期は6月30日(日)までです。

染001


副題は「日本人の愛した<青>の茶陶」となっていて、明時代の末期に
景徳鎮民窯で焼かれた青花(染付)である、古染付と祥瑞の展示です。
茶の湯に親しんだ初代館長、出光佐三のコレクションを中心にしています。


古染付

古染付とは明の天啓年間(1621-27)に焼かれた染付雑器の日本での呼び名で、
素朴で庶民的な味わいが茶の世界で好まれています。
材料も粗悪なため、釉薬が剥がれて地の土が見えていますが、茶人はこれを
「虫喰い」と呼んで景色の一つとして楽しんでいます。

「古染付葡萄棚文水指」
染003

八角形の水指で、吉祥文様のブドウが描かれていて、蔓の渦巻きが楽しい
リズムを生んでいます。

「古染付周茂叔愛蓮図皿」
染001

周敦頤(しゅうとんい)(1017-1073)は字を茂叔といい、北宋時代の官僚で、
宋学の祖とされています。
蓮を愛した人で、古染付でもよく描かれているそうです。
釣をする姿は蓮よりも小さくさらりと描かれ、飄々とした味わいがあります。
皿の口縁にはくぼみが付けてあって、蓮の葉の破れに見立てています。

「古染付御所車文手付鉢」
古染付は日本以外に伝世品は無く、日本からの注文で作られた可能性が
あるそうです。
御所車と人物を描いていますが、車を曳く轅(ながえ)は1本しかなく、
人物の足は裸足に見えます。
良い手本が無かったのか、送られてきたお手本をよく理解できずに
描いたのでしょう。

千住の石洞(せきどう)美術館所蔵の古染付の向付のセットも展示されています。
形も筍、貝、茄子、魚、鶏、兎、山羊、馬、扇などさまざまで、魚や動物の
五客セットでは1個ごとに目の表情に変化を付けて面白く描いてあります。

東京大学埋蔵文化財調査室所蔵の、本郷の東京大学附属病院入院棟の敷地から
出土した古染付の破片も展示されています。
東京大学附属病院は加賀藩の支藩、大聖寺藩、富山藩の上屋敷のあった所です。


祥瑞

祥瑞(しょんずい)とは、明の崇禎年間(1621-27)に焼かれた染付磁器の
日本での呼び名で、日本の茶人の注文に応じて制作されたと考えられています。

崇禎(すうてい)帝は明の最後の皇帝で、この時代はすでに景徳鎮の官窯は
運営されておらず、その高い技術は民窯に受け継がれています。

古染付と違って、青の発色も深く鮮やかで、姿も美麗です。
「祥瑞」の名は、「五良大甫呉祥瑞」という銘のある品があることから付いており、
何点かの展示品の底にもこの銘があります。

「祥瑞兎文輪花皿」
染002

祥瑞には幾何学模様と動植物を組合わせた絵柄が多くあります。
丸紋を並べた縁取りの中を4分割して、違う幾何学模様で埋め、
真中に白抜きで兎を描いています。

「祥瑞蜜柑水指」
茶4-6-2010_003

ミカンのように丸くふくらんだ形には安定感があります。
片面にはオシドリ、牡丹、竹、虫などが描かれていますが反対側には
丸紋という小さな丸い模様を三段にして並べてあります。
半分ずつ違う絵柄にする片身替りというデザインは中国には無く、
日本のものだそうで、日本からの注文であることを示しています。

蓋の裏にも絵が描いてあって、画題は童子が象を掃除する、「掃象図」です。
象は相に音が通じ、禅宗において相は見えるもの、認識するものを示し、
これらへの執着を無くすことを目指しています。
象を掃除することはその象徴であり、このような画題が日本の注文に
よるものか、景徳鎮独自のものか分からないそうです。

これと同じような画題に、明清の宮廷で飼っていた象を洗う行事を描いた
「洗象図」があります。
「掃象図」も水指の絵柄として、特に夏に合うようにも思います。

(参考)
「染付洗象図大皿」 伊万里 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵 
平0231


屏風も6点、展示されています。

「盆栽図屏風」 六曲一双 筆者不詳 江戸時代
遠くに山の描かれた金箔地に、右隻に12個、左隻に11個、さまざまな
盆栽が並べられています。
松をあしらった盆栽が多く、他に楓や梅などがあります。
どれも凝った形をしていて、眺めて楽しめる屏風です。


さわやかな青の染付の並ぶ、初夏にふさわしい展覧会です。


次回の展覧会は「文字の力・書のチカラ II-書と絵画の対話」展で、
会期は7月6日(土)から8月18日(日)です。

書001

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【2013/06/13 00:16】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • Re: 大寅 結人です。
  • > 初めまして。大寅 結人です。
    > ブログ読ませて頂きましたのでコメントを残させていただきます。

    ご訪問いただき有難うございます。

    【2013/06/13 21:56】 url[chariot #-] [ 編集]
  • 大寅 結人です。
  • 初めまして。大寅 結人です。
    ブログ読ませて頂きましたのでコメントを残させていただきます。

    【2013/06/13 19:45】 url[大寅 結人 #yl/YvgLE] [ 編集]
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