「ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡」 江戸東京博物館
両国
chariot

両国の江戸東京博物館では、開館20周年記念展、「ファインバーグ・コレクション展
江戸絵画の奇跡」が開かれています。
会期は7月15日(月・祝)までで、6月16日までの前期と6月18日からの後期で、
一部展示替えがあります。

江戸0125


ファ001


アメリカの実業家、ロバート・ファインバーグ氏による江戸絵画を中心にした
コレクションのうち、約90点の展示です。

展示は琳派、四条円山派、伊藤若冲や曾我蕭白などの奇想派、浮世絵に
分類されていて、コレクションには狩野派や土佐派のような官画系の
作品のほとんど無いのも特徴です。

第1章 日本美のふるさと 琳派

俵屋宗達 「虎図」 江戸時代/ 17世紀  紙本墨画
展示場の最初に展示されています。
前脚を舐めている姿は北宋の徽宗 (きそう)皇帝の有名な「猫図」を
左右逆にした構図で、観ていて笑ってしまう可愛い顔をした虎です。

酒井抱一 「 十二ヶ月花鳥図」 江戸時代/ 19世紀 絹本着色 12幅対
1月の椿に始まり、12月の梅で終わる花鳥図を12幅の掛軸にしています。
酒井抱一らしい、すっきりと鮮やかな作品です。

酒井抱一の同じような12幅は他に5組あるそうで、私も宮内庁所蔵の品を
東京国立博物館の「皇室の名宝展」で観たことがあります。

鈴木其一 「群鶴図屏風」 江戸時代/ 19世紀 紙本金地着色 2曲1双
ファ013

鈴木其一特有のとてもモダンでデザイン的な屏風ですが、近くで観ると
羽毛や脚、くちばしは細密に描かれています。
ブライス・コレクションにも鈴木其一の「群鶴図屏風」があります。

第2章 中国文化へのあこがれ 文人画

池大雅 「孟嘉落帽・東坡戴笠図屏風」 
江戸時代/ 18世紀  紙本墨画淡彩 6曲1双

右隻 「東坡戴笠」
ファ010

孟嘉落帽は東晋の文人、孟嘉が酒宴の最中、風で冠を飛ばされても平然と
していたという故事、東坡戴笠は北宋の文人、蘇東坡がにわか雨か雪に遭い、
農家の人から質素な笠と履物を借りたという故事によっています。
冠を被らないのは大変な無作法であり、高級官僚でもある人物が農民の物を
借りるというのは普通はあり得ないことなので、二人の自由で飾らない人柄を
表す画題となっています。
伸び伸びとした筆遣いで、笠も着物も木も丸く描かれた面白い絵です。

谷文晁 「秋夜名月図」 江戸時代/文化14 年(1817) 絹本墨画
ファ002

横170cm近い大きな作品で、隅田川で中秋の名月を眺めた後にこれを描いた、
と記してあります。
薄く墨を掃いて夜の空間を表した中に薄を置き、月は白抜きにしています。
とても大きな文晁図書の印が目に付きます。

第3章 写生と装飾の融合 円山四条派

円山応挙 「孔雀牡丹図」 
 江戸時代/明和5年(1768) 絹本着色

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鮮やかな色彩の孔雀が写実的に描かれていて、画面に沿って駆け上がるような
飾り羽の表現には目を見張ります。

第4章 大胆な発想と型破りな造形 奇想派

曾我蕭白 「宇治川合戦図屏風」 江戸時代/ 18世紀 紙本着色 6曲1隻
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平家物語の中の木曽義仲の陣に攻めかかろうと、橋を壊された宇治川を
馬で渡ろうとする梶原景季と佐々木高綱の先陣争いの場面です。

馬を宇治川に乗り入れようとする梶原景季を佐々木高綱が馬の腹帯が
緩んでいると言って呼び止め、あわてた景季が直している間に高綱は
先に進んで一番乗りを果たします。
勇猛だが単純そうな景季、ずるそうな高綱が濃厚な色彩と派手な動きで
描き分けられていて、景季の馬の腹帯も見えます。

葛蛇玉 「鯉図」 江戸時代/ 18世紀  絹本着色
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柳に吹く風が水紋をつくり、水面に浮かんだ花びらを何かと思って鯉が
顔を出しています。
葛蛇玉(かつ じゃぎょく(1735-1780)は大坂の絵師で、鯉の絵を
得意としていますが、現存する作品は6点しかないそうです。

第5章 都市生活の美化、理想化 浮世絵

肉筆浮世絵を中心にした展示です。

礒田湖龍斎 「松風村雨図」 
 江戸時代/ 18世紀 絹本墨画金泥 3幅対

ファ012

謡曲の「松風」などで知られる、須磨に流された在原行平を中心に、
浜で汐汲みをする松風・村雨姉妹を左右に描いた三幅対のうち、村雨の図です。

腰蓑を着け、汐の入った桶を曳く妹の村雨は網干模様の振袖を着ていて、
帯には鯉の滝登りが描いてあります。
桶を担いだ姉の松風は松の模様の振袖に龍の模様の帯で、滝を登り切った鯉は
龍になるとされていて、この絵には吉祥の意味も込められているのでしょう。
墨と金泥による色調は深く静かで、上品な雰囲気をたたえています。

葛飾北斎 「源頼政の鵺退治図」 
 江戸時代/ 弘化4年(1847) 絹本着色

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会場の最後に展示されています。

平家物語にある、御所に夜な夜な現れて帝を悩ませていた
怪物の鵺(ぬえ)を源頼政が弓で射て退治したというお話です。
むら雲から射す赤い光線が鵺を表し、源頼政は足を踏ん張り、
強弓を引き絞っています。
北斎の亡くなる前々年の作ですが、力のみなぎる画面で、
晩年になってもまったく枯れていません。


とても充実した内容の展覧会で、ロバート・ファインバーグ氏一代で
江戸絵画各派の作品について、これだけ目配りの利いたコレクションを
つくり上げたことに感心します。


江戸東京博物館の次の特別展は、「花開く江戸の園芸」で、
会期は7月30日から9月1日です。

展覧会のHPです。

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【2013/06/01 00:02】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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江戸東京博物館で開催中の 「ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡」に行って来ました。 展覧会公式サイト:http://edo-kiseki.jp/ これまでも日本美術(江戸絵画)を紹介...
【2013/06/04 22:32】

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