「エミール・クラウスとベルギーの印象派展」 東京ステーションギャラリー
東京
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東京駅丸の内駅舎の東京ステーションギャラリーでは「エミール・クラウスと
ベルギーの印象派展」が開かれています。
会期は7月15日(月・祝)までです。

その後、7月26日から8月25日まで石川県立美術館、9月14日から10月20日まで
碧南市藤井達吉現代美術館を巡回します。

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エミール・クラウス(1849~1924)はベルギー印象派の画家で、フランダース地方の
ワレヘムの小さな村に生まれています。

1869年にアントワープの美術アカデミーに進学しますが、当時の主流であった
歴史画には興味を示さず、風俗画や肖像画、そして風景画を描いています。

1882年にはパリのサロンに作品を出品し、1889年から数年間、冬の間パリに滞在して、
アンリ・シダネルや印象派の画家と出会い、特にモネの影響を強く受けます。

1883年にゲント市近くのアステヌに移り住んで、第一次大戦時のロンドン亡命以外は
ずっとそこで、田園の風景と人々の生活を賛美する作品を描いています。

作風はフランス印象派の影響を受け、光を強調したルミニスム(リュミニスム)
(光輝主義)を代表する作家の中心として活躍します。

展覧会では、クラウスの作品29点を中心に、フランスの印象派、ベルギーの印象派の
作品やクラウスに師事した日本人画家の作品など合わせて65点が展示されています。

エミール・クラウス 「昼休み」 1887~1890年頃 個人蔵
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田園の生活を明るい光の中で描いています。
クラウスは逆光をよく使うのも特徴で、絵を教えるときはいつも「いつでも
日に向かって画をすえて」と言っていたそうです。
この人物も逆光を強調して描かれ、明るい野原との対比を強調しています。

エミール・クラウス 「野の少女たち」 1892年頃 個人蔵
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金色に輝く麦畑を歩いてくる子供たちは手に木靴や野の花を持っています。
頭の輪郭も金色に縁取られ、聖者の行進のようです。

エミール・クラウス 「タチアオイ」 1895年 ヴェルヴィエール市立美術館
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風景や人物をよく描いたクラウスですが、このような花の絵もあります。
やはり逆光で描いていて、花弁を透かして日の光が輝いています。

エミール・クラウス 「レイエ川を渡る雄牛」 1899年(またはそれ以降) 個人蔵
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近くを流れるレイエ川の風景で、牛の群れのつくる川面の波立ちには
活き活きとした動きがあります。

エミール・クラウス 「月昇る」 1912年 個人蔵
明るい景色を描くことの多いクラウスですが、夜の景色もあります。
水辺の情景で、水面に月が映り、水草の陰には白いガチョウの群れの見える、
日本画のようなしっとりした雰囲気の作品です。

1914年から1919年のロンドン滞在時にはテムズ川の風景画を多く描いています。

クロード・モネ 「霧の中の太陽(ウォータールー橋)」 1904年 個人蔵
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エミール・クラウス 「ウォータールー橋 黄昏」 1918年 個人蔵
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同じ霧のロンドンでも、モネが霧の中の光を表現しているのに対して、
クラウスは光に照らされる景色を描き出しています。

ジェニー・モンティニー 「庭で遊ぶ子どもたち」 1912年 個人蔵
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ジェニー・モンティニー(1875~1937)はゲント出身で、クラウスに
師事しています。
クラウスと同じく、日光の中の農村風景を題材にしていますが、
筆触に激しさがあります。

児島虎次郎 「和服を着たベルギーの少女」 1911年 大原美術館
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児島虎次郎(1881~1929)は岡山県高梁市の出身で、東京美術学校を卒業後、
1908年にヨーロッパに留学しています。
はじめフランスに滞在しますが、美術学校時代の友人、太田喜二郎の案内紹介で
ベルギーに移り、ゲント美術アカデミーに入学し、エミール・クラウスらの教えを
受けます。
留学により作風は大きく変わり、色彩は明るく、強くなっています。
この作品は背景に菊や日本人形、陶磁器などを置いてジャポニズム風ですが、
色彩の対比も筆触も強く、児島虎次郎の個性が出ています。

児島虎次郎は大原美術館の創設者、大原孫三郎の援助を受け、大原コレクションを
形成する作品のヨーロッパでの買い付けも行なっています。

太田喜二郎 「麦秋」 1914年 高梁市成羽美術館
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太田喜二郎(1883~1951)は京都の出身で、東京美術学校在学中に
ベルギーに渡り、エミール・クラウスに師事しています。
帰国後は京都に住み、洛北の風景や人びとの生活を描いています。
この作品ではクラウスの教え通り、逆光も取り入れて、初夏の麦刈りの
情景を描いています。

ベルギーの近代絵画はフランス印象派などフランスの影響を強く受けながら
独自の発展をしています。
その代表者の一人であるエミール・クラウスの作品をまとめて観ることの出来る、
興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。

エミール・クラウスの作品は最近、東京の展覧会で何回か観る機会がありました。
2009年に損保ジャパン東郷青児美術館で開かれた「ベルギー王立美術館コレクション 
ベルギー近代絵画のあゆみ展」にもクラウスの作品が何点か展示されていました。 

「ベルギー王立美術館コレクション ベルギー近代絵画のあゆみ展」の記事です。

2010年にBunkamuraザ・ミュージアムで開かれた、「フランダースの光 
ベルギーの美しき村を描いて」展にはクラウスの作品が11点が展示
されていました。
また、児島虎次郎、太田喜二郎の作品の展示もありました。

「フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて」展の記事です。


東京ステーションギャラリーの次回の展覧会は「大野麥風
(おおのばくふう)展」です。
会期は7月27日(土)から9月23日(月・祝)までです。

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【2013/06/15 00:11】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(4) |
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  • ベンゼンさん、こんばんは。
  • 魅力的な作品が揃っているので、楽しんできて下さい。


    【2013/06/16 17:45】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 情報ありがとうございます。
    クラウス展の感想は、後日に。

    では、また。

    【2013/06/16 11:49】 url[ベンゼン #-] [ 編集]
  • ベンゼンさん、こんにちは。
  • お久しぶりです。
    目録は見える所に置いてはありませんが、係の人に頼むともらえます。
    ステーションギャラリーは小さな塔の部分が階段になっていて、面白い構造をしています。
    クラウスの作品は30点近くもあり、私もBunkamuraで観た絵を思い出しながら楽しみました。

    【2013/06/15 16:44】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • ご無沙汰してます。
    クラウス行こうかと思っているですが、
    東京ステーションギャラリーって初めてなんです。
    ここって目録は用意されているんですか?

    Bunkamuraのフランダース展は良かったですよね。
    これで初めてクラウスを知りましたよ。

    では、また。

    【2013/06/15 11:48】 url[ベンゼン #-] [ 編集]
    please comment















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    東京ステーションギャラリーで開催中の 「エミール・クラウスとベルギーの印象派展」に行って来ました。 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/ 東京都美術館がリニューアルオープンして数ヶ
    【2013/07/08 21:49】

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