「プレイバック・アーティスト・トーク」展 東京国立近代美術館
竹橋
chariot

竹橋の東京国立近代美術館では 、「プレイバック・アーティスト・トーク」展が
開かれています。
会期は8月4日(日)までです。

ア001


東京国立近代美術館では2005年以来、コレクション展に展示された作品の前で
アーティスト本人が自作について語る、「アーティスト・トーク」を開いており、
その数は30回になります。

展覧会では特に絵画の作家を選び、トークのダイジェスト映像とともに
コレクションの作品約40点を展示しています。
トークの要点をまとめた小冊子も配布されています。

作家は以下の12名です。

秋岡美帆、岡村桂三郎、児玉靖枝、小林正人、鈴木省三、辰野登恵子、
堂本右美、中川佳宣、長沢秀之、日高理恵子、丸山直文、山口啓介

私が記事にしたことのあるのは岡村桂三郎、辰野登恵子、丸山直文の3名です。


岡村桂三郎 「黄象 05-1」 2005年
ア004

岡村桂三郎さん(1958~)は東京都出身の日本画家で、板に怪物などを
ごつごつとした筆触で武骨に描いています。

トークの一部です。

『絵を描くということは、単に映像が見えるようにするための行為ではなくて、
画面に一種の念を入れていく作業だと思う。
日本画の岩絵具は油絵具やアクリルのようにコーティングされておらず、
素材の味をそのまま出しており、面白い材料。

2003年頃からは屏風状の作品を大量に描いている。
自分の作品は「絵画」ではなく、「絵」と言っている。
近代の絵画は四角い画面の中に描かれるが、江戸時代は屏風や掛軸で
あったりして、もっと自由だった。
「絵画」の仲間入りをすることで「日本画」になったと思うが、
それ以前の「絵」の段階で考えたい。』 

2009年に日本橋高島屋の美術画廊Xで開かれていた「META II 2009」展で
岡村桂三郎さんのギャラリートークがありました。
「META II 2009」展の記事です。


辰野登恵子 「Untitled 95-9」 1995年
ア005

辰野登恵子さん(1950~)は長野県出身で、形というものを意識した
抽象画を描いています。

トークでの一部です。

『70年代にはポップアートに影響を受けて、写真をキャンバスに埋め込むような
作品を描いていた。
しかし、自分の道を探りたいと思って、方眼紙に線を一本書き入れて、
無機質なものに自分の感情を加えるような作品を作った。
これがアメリカで起きていた、最小限にして最大のことを語るという
ミニマリズムというアートの流れに合っていることを後で知って、本当に驚いた。
78年くらいから紙の仕事から離れて、キャンバスに描く世界に戻った。
80年頃はアメリカの抽象表現主義の見直しの時期で、自分も近代の日本も含めて
絵画についての考えを積極的に出していこうと考えるようになった。

「Untitled 95-9」は、中の空洞を外側の空気圧と違ったものに見せるためには、
空洞を空洞として描くのではなくて、それをずらして偶然組み合わさって出来た
というイメージにしている。
抽象画であっても、具体的なものからヒントを得てもよいが、たとえばこの空洞を
窓としたら、窓なら当然その向こうに空があるという発想ではなくて、あくまで
内側から発せられた形でありたい。』

2011年に資生堂ギャラリーで、「辰野登恵子展 抽象-明日への問いかけ」が
開かれていました。
「辰野登恵子展 抽象-明日への問いかけ」の記事です。

また、2012年には国立新美術館で、「与えられた形象―辰野登恵子/柴田敏雄」展が
開かれていました。
「与えられた形象―辰野登恵子/柴田敏雄」の記事です。


丸山直文 「Garden 1」 2003年
ア006

丸山直文さん(1964~)は新潟県出身で、下塗りをしていないキャンバスに
水で絵具を染み込ませるステイニングという技法によって風景画などを描いています。

2011年に損保ジャパン東郷青児美術館で開かれていたタグチ・アートコレクション
特別展、「GLOBAL NEW ART―現代アートをもっと楽しむために―」に丸山さんの
作品が展示されていました。
「GLOBAL NEW ART―現代アートをもっと楽しむために―」展の記事です。

トークでの一部です。

『絵を描き始めようと思った80年代後半はすでに「絵画のための絵画」といった
完全な形の作品が言われていて、ある意味、「絵画は終わった」とも言える。
自分としては具象画は描けないし、かと言っていわゆる抽象画も描けないし、
そこで自分の中にある美術史ということや自分の作品というものを括弧に入れて
リセットして再スタートさせようと思い始めた。

「Garden 1」はベルリンに居たときに近くの公園に近所の子供たちを連れて
遊びに行った時の光景。
子供を見ようと思うと影の部分が見えない、全体的な絵を見ようと思うと
子供が見えてこないで色の点になっている。
絵を見るときというのは目がすごく動いている。
ボードレールは「絵は壁に掛かっているから唯一の視点を持てるだろう。」と
いっているが、やはり視点を動かしている。
そういうことをもっと活性化させる形で描いたらいいなと思う。』


他に、中川佳宣さん(1964~)のトークでは、ジャクソン・ポロックが
床に置いたキャンバスの周りを廻りながら絵具を撒くドリッピングを
している映像を見て、自分の叔父が苗代で種を撒いている姿と重なって見え、
日本人もアメリカ人もない、それを超えたものを感じた、という面白い話も
ありました。


作家自身の話を聴くと、作品への観方も変わったり深まったりして、
興味も増します。
特に現代作家の場合、作品を観ただけではよく解らず、読み違えてしまう
場合もあります。
作家の方に訊くと、どう観るかは観る人の自由ということをよく言われますが、
やはりどうしてそのような作品が出来たかを知りたいものです。

全員のトークの映像も観たいのですが、1人約15分なので、全部観ると
3時間かかります。
展示されている作品を観て、興味を持った作家の映像を観るのも良いでしょう。

展覧会のHPです。

YOUTUBEに「プレイバック・アーティスト・トーク」展のプロモーションビデオ
載っています。


東京国立近代美術館では「竹内栖鳳展 近代日本画の巨人」が開かれます。
会期は9月3日(火)から10月14日(月・祝)までです。

竹003

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【2013/06/19 00:06】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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