「テーマにみる近代日本画―その豊かな世界―」展 六本木 泉屋博古館分館
六本木1丁目
chariot

六本木の泉屋博古館分館では所蔵品による、「テーマにみる近代日本画
―その豊かな世界―」展が開かれています。
会期は8月18日(日)までです。

泉001


作品は歴史画・人物画系統と花鳥画系統に分かれて展示されています。

歴史画・人物画

森寛斎 「羅浮仙人図」 明治21年(1888)頃
吉004

隋の時代、羅浮山で芳香を放つ美女と出会った男が一晩酒を酌み交わし、
酔って眠り込んで目を覚ましてみると美女の姿は消え、花を咲かせた
梅の木の下で寝ていたにという伝説に拠っています。
満月の下に梅花とともに佇む羅浮仙の姿です。

「人形」 小林古径 昭和14年(1939)
泉003

淡い色の無地を背景にして、黒い衣装の人形をくっきりと浮き立たせています。
濃淡を使い分けて華やかな薔薇のレースの質感まで表わしています。
腕と手にも表情があります。
端正な線描の顔は金髪、緑の目、紅い唇、ブローチが彩りを添えています。
一体の人形に生命と気品を与えた作品です。

泉004

大正11-12年の欧州旅行のお土産として娘さんに買ってきたフランス人形
とのことです。
娘さんも長い間大事にしていたのでしょう。

作品のモデルとなったフランス人形も展示されています。
箱書には「17世紀末と推測される素朴典雅な黒衣人形で、仏蘭西の良き時代を
偲ばせ、18世紀の精巧緻密な作とは異なる点が好ましい。」とあります。
顔はぼんやり描かれていて、作品と見比べると小林古径がどうやって
この人形に生命を与えたのか分かります。

上島鳳山 「十二月美人」のうち、「七月 七夕」 明治42年(1909)頃
泉004

12ヶ月を表す12幅の美人図の掛軸が展示されているうちの一つです。
着物の柄は季節に合わせて萩、帯は七夕の天の川にちなんで水流の模様です。
上島鳳山(1875~1920)は円山派の画家で、美人画を得意としています。

平福百穂 「堅田の一休」 昭和4年(1929)頃
泉003

一休宗純(1394~1481)は近江堅田の祥瑞寺の華叟宗曇の許で修業しています。
ある夜、一休は琵琶湖に浮かぶ漁舟で座禅を組んでいたとき、カラスが
鳴いたのを聞いて大悟したといいます。
風に揺れる芦原の中で端然と座る一休の顔は、一休自身の描いた自画像と
よく似ています。

狩野芳崖 「寿老人」 明治10年代 (1877~86)
泉8-8-2010_002

鹿、鶴、蝙蝠、松竹梅と一緒に描かれた寿老人は長寿の神で、寿命を記した
巻物を持っています。
鹿は千年生きると蒼鹿に、千五百年で白鹿に、二千年で玄鹿になるという仙獣です。
鶴も長寿を象徴し、蝙蝠も「蝠」の音と形が「福」の字に似ているため、
目出度い獣とされています。
松竹梅は中国の歳寒三友を基にしていて、松は常緑、竹も常緑でまっすぐ伸び、
梅は春にさきがけて咲くことが喜ばれています。

花鳥画

望月玉渓 「白○孔雀図」 明治42年(1909)
泉005

左隻
泉006

右隻
泉007


(○は令扁に毛の字です。)
金箔地に金砂子を散らした豪華な背景の右隻に白孔雀の雄と山桜、
左隻に雌の白孔雀と紅い牡丹、岩に竹を描いています。
装飾性と写実の融合した、重厚華麗な屏風です。

望月玉渓(1874~1938)は京都の望月派4代目、望月玉泉の子です。

高橋広湖「水墨猛虎」 明治時代
泉010

水墨画の技法に拠っていますが、江戸時代の虎の図と違って、写実的なトラです。
高橋広湖(1875~1912)は松本楓湖に師事し、歴史画を得意としています。
岡倉天心に注目され、堅山南風の師でもありますが、若くして亡くなっています。

富岡鉄斎 「掃蕩俗塵図」 大正6年(1917)
泉8-8-2010_003

滝は岩場を越え、渓流となって流れ下ります。
滝の傍らの庵にいる人物や、魚を獲る様子を橋の上から眺めている人物は、
俗塵を離れた理想の境地を楽しんでいます。

賛は王陽明の言葉です。

塵は多くの人の良知をくらます。我々はこの塵が去らないことを最も嫌う。
以後は心上の塵、口上の塵、筆墨の塵、世路の塵を全てのけねばならない。

富岡鉄斎 「詩経天保九如章図」 大正12年(1923)

泉008

賛は中国最古の詩集、「詩経」の中の「小雅」の一節です。
君主の長寿福禄を九種の自然現象にたとえて祝っています。

山の如く 阜の如く 岡の如く 陵の如く 川の方に至るが如く 
月の恒(ゆみはり)の如く 日の昇るが如く 南山の寿の如く 
松柏の茂るが如し

岸田劉生 「四時競甘」 大正15年(1926)
泉009

岸田劉生は若い晩年に文人画も描いています。
桃、枇杷、西瓜、葡萄、柿など季節の果物がずらりと並んだ、にぎやかな図です。

東山魁夷 「雪暮」 昭和35年(1960)
泉011

群馬県水上町の湯檜曽(ゆびそ)の雪景色を描いています。
そこはかとない寂しさのある、しみじみと味わい深い小品です。

東山魁夷 「スオミ」 昭和38年(1963)
泉002

スオミとはフィンランド語で「湖沼」という意味で、フィンランドの
自国での呼び名です。
大きな作品で、水と緑は澄み切って地平まで広がっています。

展覧会のHPです。

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【2013/07/09 00:01】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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