『大野麥風展 「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち』 東京ステーションギャラリー
東京
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東京駅丸の内駅舎の東京ステーションギャラリーでは『大野麥風展
「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち』が開かれています。
会期は9月23日(月・祝)までです。

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入場券もフグの形をしています。
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まず、3階の展示室には江戸時代の博物画や杉浦千里の作品などが
展示されています。

博物画とは記録を目的として動物や植物、鉱物などを詳細に描いたものです。

高木春山(?-1852)は江戸時代の本草家で、20年かけて動物・植物・鉱物
・自然現象などを集めた全195冊の「本草図説」の編纂に取組みますが、
未完のまま亡くなっています。
遺稿の中から水産部30冊が明治16年(1883)に発表されて、その存在が
知られることになりました。

高木春山 「くろあんこう」(「本草図説」より) 
 写本彩色 西尾市岩瀬文庫蔵

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「くろあんこう」とありますが、ソウシカエルアンコウらしいとのことです。

他に、アカナマズ、ウナギ、シマハギ、ケオコゼ、シュモクザメ、
セミクジラなどの絵が展示されています。

栗本丹洲(1756-1834)は江戸時代の医師・本草家で、奥医師も勤め、
薬の材料の鑑定の必要性から虫・魚・貝などを収集しています。
画技に優れ、写生画はシーボルトによって海外にも知られるようになります。
「栗氏魚譜」「栗氏千蟲譜」を遺しており、写本が展示されています。
トクヒレ、テンス、マンボウ、アカクラゲなどが描かれています。

杉浦千里 「ゴシキエビ」 ケント紙・アクリル 
 1997年 杉浦千里の作品保存会

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杉浦千里(1962-2001)は甲殻類を得意とした博物画家で、円谷プロで
キャラクターデザインを手がけながら、ほぼ独学で博物画を習得しています。
アクリル絵具によって左右対称に超リアルに描き、装飾性にも富んでいます。
シマイセエビ、ニシキエビ、ヤシガニなどの作品も展示されています。

大野麥風(おおのばくふう:1888-1976)は東京生まれで、はじめ洋画を学び、
やがて日本画に転向しています。

大野麥風 「秋晴(もず)」 絹本彩色 個人蔵
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関東大震災をきっかけに関西に移住し、その頃から魚を題材にした作品を
多く描くようになります。
魚の観察のため水族館で写生し、潜水艇で海中に潜ったりもしたそうです。

大野麥風の作品の特徴は、実際に泳いでいる時の様子を表していることで、
それまでの博物画と違って背景も描かれています。

大野麥風 「桜鯛游々」 個人蔵
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ヒレを使っている様子も分かる、生きた姿として描かれています。

特に1937年から発行された木版画の「大日本魚類画集」は原色木版二百度手摺り
という手間をかけ、1944年まで各回12点、6期に分けて計72点を制作しています。

監修は和田三造、題字は谷崎潤一郎と徳富蘇峰、賛助者には結城素明、村上華岳、
小杉放庵、石井柏亭の名も見える豪華な顔ぶれです。

2階の展示室に下りると、この72点がずらりと並んでいて、まるで水族館の中に
いるようです。

「飛魚」(「大日本魚類画集」より) 1938年1月 版画 姫路市立美術館
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背景は日本画風です。

「ハマチ」(「大日本魚類画集」より) 1939年12月 版画 姫路市立美術館
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二百度手摺りによって背中の青色や端の黄色の色合いを再現しています。

「イラ」(「大日本魚類画集」より) 1942年8月 版画 姫路市立美術館
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色の具合を細かく指示するメモの書き込まれた下刷りも共に
展示されています。

甲殻類や金魚もあり、観て廻るうちに自分たちの身近にはこれだけ多くの
魚がいることを思い出します。

「淡水魚作品集」 紙本彩色 個人蔵
淡水魚を12ヶ月12枚に描き出しています。
2月はワカサギ、4月はシバエビ、6月はドジョウ、8月はオイカワ、10月はフナ、
12月はカワエビです。

日本人と魚の関係の深さを改めて認識する、とても興味深い展覧会です。




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【2013/08/02 00:00】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(2) |
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  • 魚類で一杯で迫力のある展覧会でした。
    魚を飼うというのも、実際の泳ぐ姿を見られて、面白いことでしょう。
    アヤうささんは絵もお上手で、動物の世話も迷わずどんどんされるなど、頼もしいお嬢さんですね。
    私はケーキが好きですが、メタボにならないよう、時々にしています。

    【2013/08/03 00:00】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • 今日の絵もいいですね。
    実は魚好きでもあるので、特にゴシキエビは欲しかったんです。
    海水魚は世話は大変ですが、見ごたえがあるんですよ。

    アヤうさよりのコメントですが「おいしそうなケーキがある記事が好きです」
    という事でした。

    【2013/08/02 19:52】 url[京tukiya #-] [ 編集]
    please comment















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     東京ステーションギャラリーから「大野麥風展」のお知らせが来た。チラシ↑が同封されている。このチラシに折り目がついているのは、横長の封筒に入っていたため。それはどうでも...
    【2013/08/06 09:04】

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