「竹内栖鳳展 近代日本画の巨人」
竹橋
chariot

竹橋の東京国立近代美術館では 、「竹内栖鳳展 近代日本画の巨人」が
開かれています。
会期は10月14日(月・祝)までです。
その後、京都市美術館に巡回します。
会期中、9月23日までの前期と25日からの後期でかなりの展示替があります。

竹001


竹内栖鳳(1864-1942)は京都に生まれ、四条派の幸野楳嶺に入門しています。
同門には菊池芳文などがいます。

そして、明治33年(1900)のパリ万博の視察を機に、7ヶ月間欧州を旅行して
西洋美術を目にし、特にターナーやコローの影響を受けています。
この経験を基に、円山四条派以来の写生に加え、西洋画の技法も取り入れて
新しい作風を確立しています。

「羅馬之図」 1903年 海の見える杜美術館
竹010

右隻
竹011

左隻
竹012

前期の展示です。
古代ローマの遺跡を荒涼とした風景として描いています。
日本画に陰影や空間性を取り入れ、湿り気のある空気を感じさせます。

右隻は水道橋の列柱と立木の垂直線で構成し、左隻は傾いた木々が風を受け、
動きのある画面になっています。

「象図」 1904年頃 個人蔵 

右隻
竹004

左隻
竹003

ヨーロッパでのスケッチを基にした作品です。
金地に写実的に描かれた象は墨の濃淡で立体感がうまく表されています。
屏風から象の姿が浮き上がってくるようです。
象の背に乗った猿が飛んでいく雀に向かって手を伸ばしているという、
面白い趣向です。
大きい動物と小さい動物を組合わせて動物の大きさを強調するのは
「白象黒牛図」で長沢芦雪が使った技法です。

「飼われたる猿と兎」 1908年 東京国立近代美術館

竹004

右隻
竹005

竹や木で縦横の線をつくった画面の中で、猿たちが鎖につながれて
退屈そうにしています。
毛並みは水墨でふわりと描かれています。

左隻
竹006

いろいろな毛色の兎たちが柵で囲まれた中で、のんびり固まっています。
猿と兎の生態の違いまで巧みに表しています。

「アレ夕立に」 1909年 髙島屋史料館
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10月8日から14日までの展示です。
舞妓の舞の場面で、金と朱の舞扇を掲げ、小腰をかがめています。
顔は舞扇で隠され、白粉を塗ったうなじだけが見えています。
振袖は夏らしく芙蓉の模様で、帯は網代模様の地に流水を水墨でさらりと
描いています。
濃密な彩色と水墨を組合わせた、竹内栖鳳の代表作です。

「熊」 1910年 京都市美術館
こちらを向いた熊を大きな画面いっぱいに墨で真っ黒に描いています。
竹内栖鳳は動物の匂いまで描き出すと言われていますが、本当に熊の
体臭まで感じられます。

「絵になる最初」 1913年 京都市美術館
竹002

絵のモデルになるため着物を脱いだ少女が、その着物で体を隠して、
羞いの表情を見せた瞬間を描いています。
左手の仕草に気持ちが良く現れています。

「班猫」 1924年 山種美術館 重要文化財
大2-14-2010_004

後期の展示です。
竹内栖鳳の代表作で、沼津の八百屋さんの飼い猫が、宋の徽宗(きそう)皇帝の
描いた猫と同じ柄なので、貰い受けて京都に連れて帰り、描いた作品です。

徽宗皇帝の猫の絵は、目を見開いて前足を舐めている姿ですが、
こちらは背中を毛繕いしながら、こちらを見上げた瞬間を捉えています。
細かい筆遣いで柔らかい毛並みの柔らかさまで表現され、瞳孔の細く
なった緑色の目が印象的です。
「班猫」は普通、「斑猫」と書くところですが、竹内栖鳳の箱書きには
「班猫」となっているそうです。

「禁城松翠」 1928年 泉屋博古館分館
泉006

後期の展示です。
皇居の石垣とお堀を写実的に描いています。
画題は日本画風ですが、松に立体感があり、石垣や水面の描写に
洋画風で、ターナーを思わせます。

「城外風薫」 1930年 山種美術館
竹003

前期の展示です。
竹内栖鳳は1920・21年に中国の江南地方を旅しています。
水路にかかる石の太鼓橋、家並み、遠くの石塔を潤いのある空気の中に
描いています。

「若き家鴨」 1937年 京都国立近代美術館
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右隻
竹008

わらわらと餌箱に集まってひしめいているアヒルを巧みな筆捌きで、
さらりと描いています。
地に切箔を散らしてあるので、とても華やかな画面になっています。

竹内栖鳳は、日本画では省筆が大事だが、充分写生をしていれば、要るものと
要らないものとの見分けがつくので、安心して無駄を省くことが出来る、
と述べていて、写生の大切さを強調しています。


以下は京都市美術館のみの展示です。

「大獅子図」 1902年 藤田美術館
鳳凰008

1900年に渡欧した時にアントワープの動物園で観たライオンの姿で、
帰国を遅らせてまで重ねた写生を元にしています。
金地に等身大より大きめのライオンだけを置き、たてがみや顔の毛も細かく
描き分け、瞳の光まで描き出しています。
獅子からライオンに変わるための、竹内栖鳳の写実への執念が偲ばれます。

「和暖」 1924年 三の丸尚蔵館
右隻
円山007

昭和天皇の皇后、香淳皇后の御成婚を祝って京都府より献上された屏風です。
鹿のやわらかな毛並みまで表されていて、左隻には2頭の鹿がうずくまっています。


竹内栖鳳はまた、上村松園、小野竹喬、土田麦僊、西山翠嶂、西村五雲、
橋本関雪など、京都画壇を代表する作家たちを育てています。

竹内栖鳳は伝統画に西洋画を取り入れ、しかもそれを親しみやすく
軽やかなものにして描き出しています。
大仰さはなく、観ていて安心できる穏やかさがあります。

まさに近代日本画の巨人といって良いでしょう。




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【2013/09/04 00:09】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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blog_name=【I my me gallery blog】 ♥   竹内栖鳳展 近代日本画の巨人(京都市美術館)
 
(写真は展覧会のフライヤーです) 本日、京都市美術館にて「竹内栖鳳展 近代日本画の巨人」を鑑賞しました。この展覧会は2013/12/1まで京都市美術館にて開催されます。いま内容や批評を読みたくないという人はここから下は読まないでください。 -----------------------------------------------------------...
【2013/11/09 19:35】

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