『国宝「卯花墻」と桃山の名陶 ―志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部―』 三井記念美術館
三越前
chariot

日本橋の三井記念美術館では、特別展 『国宝「卯花墻」と桃山の名陶 
―志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部―』が開かれています。
会期は11月24日(日)までで、10月20日までの前期と10月22日からの後期で
一部展示替があります。

桃001


桃山時代後期から江戸時代初期の20~30年間の間に岐阜県美濃地方では、
志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部といった、釉のかかった焼き物が生まれます。
この展覧会は三井記念美術館所蔵の国宝の志野茶碗「卯花墻(うのはながき)」と
同時期に焼かれた作品、約120件を展示するものです。

志野

白土に長石釉が掛けられた白い陶器で、濃淡のある赤い発色が変化を付けています。

「志野茶碗 銘 卯花墻(うのはながき)」 桃山時代 16-17世紀 国宝
室町三井002

白い釉を垣根に咲く卯の花に見立てています。
切り立った形で、歪みを持たせ、へらの跡も付け、桃山風の豪快な姿を
しています。
ぷつぷつと気泡の浮いた肌も鮮やかで力強さがあります。
日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されているのは、これと本阿弥光悦作の
「白楽茶碗 銘 不二山」の二つだけです。

「志野茶碗 銘 橋姫」 桃山時代・16-17世紀 東京国立博物館
橋008

かなり背の高い茶碗です。
片側に橋、片側に屋形のようなものが描かれています。
橋姫は橋の守り神で、宇治橋などに祀られていました。

「志野茶碗 銘広沢」 桃山時代・16-17世紀 湯木美術館 重要文化財
桃005

釉がなめらかで、輪の形の文様などが浮かんでいます。
「卯花墻」や「橋姫」に比べると形が広々として見えます。

「紅志野撫子文鉢」 桃山時代・16-17世紀
桃007

径15mほどの小さな鉢で、このように赤みの強い志野は紅志野と
呼ばれています。
志野には珍しく変化の無い形で、鬼板(近くで採れる鉄顔料)を
全面に塗った後に掻き落としで撫子を描いています。

「鼠志野鶺鴒文鉢」 桃山時代・16-17世紀 東京国立博物館 重要文化財 
桃004

縁の部分が大きく広がった鉢です。
鬼板を塗り、白く残った部分を川の岩に見立て、掻き落としで鶺鴒(セキレイ)を
描き足すという、遊び心のある意匠です。

黄瀬戸

黄色の釉薬の掛かった陶器で、金属器、漆器、中国陶磁などなぞったものが多く、
形の斬新さはありません。
そのふっくらとし大らかさ、伸びやかさが魅力です。
当時、美濃で焼かれていた陶器も瀬戸と呼ばれていました。

「黄瀬戸胴紐茶碗」 桃山時代・16-17世紀
桃008

すっきりした形で、口縁がわずかに沿っていて、胴に紐を廻しています。
草花模様の部分にに鮮やかな緑色の釉の胆礬釉(たんばんゆう)を掛け、
それが胴紐を伝って面白い景色をつくっています。
食器を茶碗に見立てたものと考えられます。
黄瀬戸には胆礬釉をかけてアクセントにした品が多く見られます。

瀬戸黒

瀬戸黒とは黒い瀬戸茶碗という意味です。
白土の茶碗に鉄釉を掛け、釉が溶けた頃に窯から取り出すと、黒い色が得られます。

「瀬戸黒茶碗 銘小原女」 桃山時代・16-17世紀
桃010

筒形で高台は低く座ったような形をしていますが、胴の部分には細かく
縦の箆の跡が付き、口縁の高さにも変化があります。
黒釉はよく溶けてつややかに輝いていて、全体に鋭さを感じる品です。

「利休瀬戸茶碗」 桃山時代・17世紀
桃009

瀬戸黒と違って腰の高い茶碗で、胴や口縁に箆の跡が見えます。
高台の周りを大きく残して鉄釉がかけられていますが、発色は強くありません。
この種の釉は茶入に多く、茶碗は珍しいそうです。

織部

他より遅れて慶長年間に登場した焼き物で、多彩な色合いと、大胆に歪みを
付けた形に特徴があります。

「織部菊文茶碗」 桃山時代・17世紀
桃003

小振りの茶碗で、口縁が開いています。
外側に紫褐色をかけていますが、内側の黒釉は外側にも一部出ていて、
口縁などには長石釉が塗られています。
三段釉というとても凝ったつくりで、白抜き部分には菊が描かれています。

「織部四方切落手鉢」 桃山時代・17世紀
桃013

織部は型を使う型造りがあるのが特徴です。
地の土も、赤い部分は赤土、緑釉のかかった部分は白土が使われています。
草花や幾何模様が描かれ、取っ手にかけた緑が流れて底に溜まった、豪快な姿です。

「織部筋兜文香合」 桃山時代・17世紀
桃012

10月20日までの展示です。
緑釉をかけた後に掻き落としで縦の線を入れています。
板を並べて貼り合わせる筋兜に見立てた、面白いデザインです。


志野、黄瀬戸瀬戸黒、織部とそれぞれ展示室を分けて並んだ茶碗や鉢、
水指、香合などを観ていると、わずか20~30年という短い期間に、
同じ美濃地方で、よくこれだけ多彩な焼き物が生まれたものだと感心します。

展覧会のHPです。


三井記念美術館の次回の展覧会は、『楽茶碗と新春の「雪松図」』です。
会期は12月4日(水)から2014年1月25日(土)までです。

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【2013/10/08 00:03】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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