「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」展 パナソニック汐留ミュージアム
新橋
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新橋のパナソニック汐留ミュージアムでは「モローとルオー 
聖なるものの継承と変容」展が開かれます。
会期は12月10日(火)までで、水曜日は休館日です。

モ001


ギュスターヴ・モロー(1826-1898)は象徴主義の先駆者として知られていますが、
パリの国立美術学校、エコール・デ・ボザールの教授として、ルオー、マティス、
マルケらを育てた教育者でもあります。

展覧会は、モローとモローに最も愛された弟子とされるジョルジュ・ルオー
(1871-1958)の二人に焦点を当てたもので、約70点が展示されています。

ギュスターヴ・モロー 「自画像」 
 墨、カンヴァス ギュスターヴ・モロー美術館

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ジョルジュ・ルオー 「自画像」 
 木炭、黒チョーク、紙 1915年 ジョルジュ・ルオー財団

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ギュスターヴ・モロー 「ユピテルとセメレ」 
油彩、カンヴァス ギュスターヴ・モロー美術館

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ユピテル(ローマ神話の主神、ギリシャ神話ではゼウス)はセメレと通じますが、
セメレはユピテルに真の姿を見せるように迫ります。
断り切れなくなったユピテルが雷を伴った姿を現すと、セメレは雷に焼かれて
死んでしまいます。
ユピテルは稲妻を発し、セメレは驚いてのけぞり、足元にはユピテルの象徴である
鷲が描かれています。
モローの好んだ神秘的な世界を描いた作品で、ギュスターヴ・モロー美術館には
同じテーマの大作があります。

ギュスターヴ・モロー 「一角獣」 
 油彩、カンヴァス ギュスターヴ・モロー美術館

モ004

一角獣は獰猛な動物ですが、清純な乙女には従順とされています。
この一角獣も女性に気持ちを合わせるように片脚を上げています。

今年、国立新美術館では貴婦人と一角獣を織り出したフランスのタピスリーを
展示する、「貴婦人と一角獣展」が開かれていました。
モローもこのタピスリーを観たのがきっかけで、「一角獣」を描いたそうです。

「貴婦人と一角獣展」の記事です。

ギュスターヴ・モロー 「メッサリーナ」 
 油彩、カンヴァス ギュスターヴ・モロー美術館

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メッサリーナ(20-48)は第4代ローマ皇帝クラウディウスの妻で、
強欲と放縦で有名でした。
夫を殺害しようと謀りますが、露見して殺されています。
暗い赤色の中でベッドに片膝を乗せた姿で浮かび上がる裸体や、
背後に見える女性や明かりを持つ人物は身をやつして売春宿で
男と交わったと伝えられるその人物像を表しています。

ギュスターヴ・モロー 「パルクと死の天使」 
 油彩、カンヴァス 1890年頃 ギュスターヴ・モロー美術館

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パルクはローマ神話の運命の女神でギリシャ神話のモイラに相当します。
その中の運命の糸を断ち切る女神のアトロポスが死の天使の乗る馬の手綱を
取っています。
パルクも馬もうなだれて葬送の行列のようです。
冷たく凍る藍色の空に浮かぶ天使たちは分厚い絵具のかたまりで描かれ、
形のデッサンよりも色彩と幻想を重視したモローの資質が強く表れています。


モロー自身は象徴主義の画家ですが、エコール・デ・ボザールでは生徒たちに
自由に描かせていて、その教授法は評判になっていて、教室には立ち見が出るほど
だったそうです。

確かに、ルオー、マティス、マルケはそれぞれかなり画風の異なる画家ですから、
画一的な教授法では育たなかったでしょう。

生徒の集合写真では、遅刻して来たので場所が無くて最前列の真中に座っている
ルオーのすぐ後ろにマルケが居て、後ろの方にマティスが立っています。
マティスはルオーの生涯の友となります。

ルオーは職人の子としてパリに生まれ、ステンドグラス職人に弟子入りしています。
やがて絵画を志し、1890年にエコール・デ・ボザールに入学します。

ジョルジュ・ルオー 「ウォルスキ王トゥルスの館のコリオラヌス」 
 墨、石墨、黒チョーク、白のグワッシュ、青と黒の水彩、色チョークの線、紙 
 1894年 個人蔵

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学校時代の作品で、古代ローマの将軍、コリオラヌスの物語の一場面です。
この頃は古典的なプッサン、クロード・ロラン、コローに倣った作品を描いています。

ジョルジュ・ルオー 「夜の風景または作業場での乱闘」  
 パステル、グワッシュ、紙 1897年  オルセー美術館

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煙か黒い雲が空を覆う下では人が殴り合っている、不穏な雰囲気のただよう作品です。
初期のルオーの作品は不安と孤独に満ちています。

ジョルジュ・ルオー 「ブルターニュの風景」 
 精油で溶いた絵具、紙 1915年 個人蔵

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ルオーの父はブルターニュ出身のブルトン人で、ブルトン人の特徴の頑固な性格
だったということですが、ルオーの作品にも一途な頑固さがあります。
ルオー自身もブルターニュの風景に惹かれ、作品にしています。
厚く堅固に塗られた画面で、紺色の海の色が際立ち、何か精神的なものを感じます。

ジョルジュ・ルオー 「聖顔」 
 油彩、グワッシュ、紙 1933年 パリ、国立近代美術館ポンピドゥーセンター

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やがて、ルオーの作品にキリストが表れ、色彩も輝きを帯びてきます。
ゴルゴダの丘に曳き立てられて行くイエスに聖ヴェロニカがヴェールを差し出し、
イエスが顔を拭ったところ、そのヴェールにイエスの顔が映ったという逸話に
基いています。
額縁の様な枠の中に描かれた茨冠を被ったイエスは、棘の傷のため顔は血で赤く
染まり、大きく眼を見開いてこちらを見ています。

ジョルジュ・ルオー 「我らがジャンヌ」 油彩、紙 1948-49年頃 個人蔵
モ002

旗を掲げ、馬上で昂然と顔を上げて進むジャンヌ・ダルクを
縦横の線を強調した画面で描いています。
画面下はジャンヌの解放したオルレアンを流れるロワール川でしょうか。
モローの「パルクと死の天使」と並べてあり、見応えのある展示です。

モローはルオーについてその技量を高く評価していて、また自分に似た資質を
ルオーに感じていたのか、ルオーに格別の愛情を注いでいます。
それを示す、二人の間の親愛の情のこもった手紙の往復も紹介されています。

モローはルオーの経済的困窮を心配して、自分の亡き後のモロー美術館の館長に
指名しています。
モローは自分の死後、パリの自宅を自作の美術館にすることを考えていて、
自宅は現在、国立ギュスターヴ・モロー美術館になっています。

会場にはモロー美術館の4K映像が放映されていて、その濃密な空間が
目の前にあるように見えます。


モローはギリシャから東洋まで諸々の神性を描き、ルオーはキリストを
描いていますが、その精神性には共通したものを感じます。
日本初公開の作品もあり、二人の作風を比べながら観ることが出来るという、
とても興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「メイド・イン・ジャパン 南部鉄器 -伝統、柳宗理、
コンテンポラリー-」展です。
会期は2014年1月11日(土)-3月23日(日)です。

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【2013/09/23 00:03】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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【2013/11/16 20:22】

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