「モース展 明治のこころ モースが見た庶民のくらし」 江戸東京博物館
両国
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両国の江戸東京博物館では、開館20周年記念展、「明治のこころ
モースが見た庶民のくらし」展が開かれています。
会期は12月8日(日)までです。

モー001


東京大学のお雇い外国人で、大森貝塚の発見者であるエドワード・
シルヴェスター・モース(1838-1925)が日本滞在中に収集した生活用具
約320点や写真、モースの描いたスケッチ、日記などを展示するものです。

第1章 モースという人

モースはアメリカの動物学者で、腕足動物の採集のため1877年(明治10)に
日本に来たところを、請われて東京大学の教授に就任しています。
日本での滞在期間は短く、教授を勤めたのは2年間ですが、大学では
進化論を講義し、日本の学術研究に大きな貢献をしています。

大森貝塚は、来日したモースが横浜から新橋への鉄道に乗ったとき、
大森の切り通し部分に白い堆積があるのを車窓から見て、これは貝塚では
ないかと思い、後日調査に訪れて貝塚であることを確認したものです。
「縄文式土器」の名称もモースの名付けた「cord marked pottery」に拠っています。

大森貝塚の出土品も何点か展示されています。


第2章 日本と日本人-130年前の暮らしを彩る品々

モースは民具や陶器も数多く収集し、それらは現在、民具はピーボディー・
エセックス博物館、陶器はボストン美術館に収蔵されています。
展覧会はこの両館の収蔵品によって構成されています。
観ていると、江戸から明治にかけての庶民の生活の様がよみがえります。

下駄
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モースが来日したとき、最初に興味を持ったのは下駄の音だったそうです。
展示されている下駄は履き癖が付いて、片側がかなり磨り減っています。

下駄屋看板
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お多福と組合わせた面白いデザインです。

箱枕
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モースは、こんな不安定な枕で眠れるのだろうかと思ったが、試してみたら
気持ちが良かったと書いています。

海苔(缶入り) 1885年(明治18)頃 日本橋 山形屋窪田惣八
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今も味付海苔が入っています。

金平糖の箱 本郷四丁目藤村
モースの家族は本郷の加賀屋敷に建てられた、お雇い外国人のための
洋館に住んで、モースは当時は神田にあった東京大学に人力車で通っていました。
藤村はその近くにある、羊かんで有名なお店で、夏目漱石もここの羊かんを
好んでいましたが、現在は休業しています。

漆塗り鞘見本箱
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刀の鞘の見本箱で、鞘はこんなに種類があるのかと驚きます。
廃刀令が出されたのは1876年(明治9)で、翌年、モースの来日した年に
士族の最後の反乱である西南戦争が起きています。

巡り地蔵 江戸時代中後期 長岡玉屋/金具制作
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人の背丈ほどの長い厨子で、中に子安地蔵が納められています。
一番上の部分に、南无阿弥陀仏と書いてあります。
これを背負って家々を廻り、子供の安全や成長を祈願していました。
モースは、日本は子どもを可愛がる国で、日本の子どもはいつも幸福そうに
していると書いています。


第3章 モースをめぐる人々

モースは日本滞在中、さまざまな人と交流し、援助を受けて、収集活動を
行ないました。
陶器の収集では古美術研究家の蜷川式胤の協力を得ています。

会場には玉川焼、誠志焼、山楽園焼、後楽園焼、乾也焼、京山焼など、
珍しい陶器が展示されています。


特別展示: 生人形

生人形(いきにんぎょう)は人間を等身大で生き写しにして作ったもので、
幕末から明治初期に流行し、見世物などに使われていました。

モースは特別にこれを注文していて、農夫、農婦と赤ん坊、甲冑姿の武士の
4体が展示されています。

生人形 甲冑姿の武士 1883年(明治16)
モー009

胴丸の鎧を着て腰掛けている武士の姿で、鹿角の脇立と金の御幣の前立の
立派な兜が付いています。
胴丸は右側の腋で引き合わせるのですが、この人形の胴丸は左側で
引き合わせています。


モースは晩年、日本滞在記である「Japan Day by Day(日本その日その日)」を
執筆し、巧みなスケッチを添えて、1917年(大正6)に出版しています。
学者らしく旺盛な好奇心と鋭い観察眼を持ったモースは日本人の勤勉、清潔、
正直、美的感覚に驚き、それを書き留めています。
褒められ過ぎのような気もしますが、たしかに現在の日本人にも伝わっている
特性でもあります。

幕末から明治にかけての駐日英国大使のハリー・パークスも、自分の飼い犬が
死んだ時にお坊さんを呼んで丁寧に埋葬してくれたりする日本人の優しさに
ついて書き遺しています。

モースやラフカディオ・ハーンは日本人の美徳を賞賛しましたが、彼らから
近代西洋を学んだ日本はわき目も振らずに近代化にまい進しました。
そのことに夏目漱石は違和感を持ち、泉鏡花は口を極めて罵っています。


モースという人物を知り、彼を通して見た明治はじめの日本人の暮らしを
振り返ることの出来る、興味深い展覧会です。

展覧会のHPです。





次回の特別展は「大浮世絵展」です。
会期は3月18日から5月11日までです。

浮010

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【2013/09/28 00:11】 美術館・博物館 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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江戸東京博物館で開催中の 「明治のこころ モースが見た庶民のくらし」展に行って来ました。 http://www.asahi.com/event/morse2013// エドワード・モース(1838-1925)は、1877(明治10)年から3度にわたって日本を訪れました。そこで目にした庶民の暮らしや心根に魅せられ、多彩な品々を「記録」として持ち帰り、全米最古の博物館といわれる...
【2013/10/21 22:21】

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