「三菱一号館美術館名品選2013-近代への眼差し 印象派と世紀末美術-」展
東京
chariot

10月3日の夜に丸の内の三菱一号館美術館で開かれた、
「三菱一号館美術館名品選2013-近代への眼差し 印象派と世紀末美術-」展の
ブロガー特別内覧会に行ってきました。

三菱001


三菱一号館美術館のコレクションの中の、印象派から20世紀初頭にかけての
パリを中心にして活動した画家たちの作品を展示する展覧会です。

高橋明也館長の挨拶の後、安井裕雄主任学芸員と「青い日記帳」主宰のTakさんに
よるギャラリーツアーがあり、いろいろ興味深い話を伺うことが
出来ました。

写真は美術館より許可を得て撮影したものです。

1章 ミレーと印象派

最初の部屋にミレーと印象派の作品9点が展示されています。

ジャン=フランソワ・ミレー 「ミルク缶に水を注ぐ農婦」 
 油彩、カンヴァス 1859年

三0085

1番目に置かれている絵です。

カミーユ・ピサロ 「窓から見たエラニーの通り、ナナカマドの木」 
 油彩、カンヴァス 1887年

三0090

点描派の影響を受けていた時期の作品です。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 
「長い髪をした若い娘(麦藁帽子の若い娘)」 油彩、カンヴァス 1884年

三0100

印象主義の時期の後、形の明確な古典主義風の画風に変わった頃の作品で、
帽子や髪、服は流れるような筆遣いですが、顔はくっきりと描かれています。
目に青味があり、青い服と響き合っています。
この女性をモデルにした作品は他にほとんど無く、誰なのかも分からないそうです。

クロード・モネ 「草原の夕暮れ、ジヴェルニー」 
 油彩、カンヴァス 1888年

三0102

手前に枝を垂らした浮世絵風の構図です。
同じ場所の朝の景色を描いた作品もあるそうです。
モネは1883年にジヴェルニーに移り住んで、やがて睡蓮のシリーズを描きます。


2章 ルドンの「黒」

ルドンの黒の時代の版画が並んでいます。

三0108


3章 トゥールーズ=ロートレックと仲間たち

ロートレックの版画を中心にした展示です。

アンリ・トゥールーズ=ロートレック 「ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ」 
 リトグラフ、紙 1891年

三0080

パリのダンス・ホール、「ムーラン・ルージュ」の宣伝ポスターで、ロートレックの
描いたポスターの第1作です。
縦193.8cmの大きな作品で、版を3つ並べてつなぎ合わせてあるそうです。

左 アンリ・トゥールーズ=ロートレック 「メイ・ベルフォール」 
 リトグラフ、紙 1895年
右 アンリ・トゥールーズ=ロートレック 「メイ・ミルトン」
 リトグラフ、紙 1895年

三0057

赤と青を対比した展示です。

4章 「レスタンプ・オリジナル」

「レスタンプ・オリジナル」はアンドレ・マルティが企画し、1893年から95年に
掛けて出版された創作版画集で、毎号10点、100部限定の季刊です。
シャヴァンヌ、ピサロ、ゴーガン、ファンタン=ラトゥール、ルドンなどの作品が
収められています。

アンリ・トゥールーズ=ロートレック 「第1年次のための表紙」 
 リトグラフ、紙 1893年

三0110

摺り師のコテル爺さんと、仕上がりを調べている女優のジャヌ・アブリルです。
この作品は第3章に置かれています。

アンリ・ファンタン=ラトゥール 「聖アントニウスの誘惑」
 リトグラフ、紙 1893年

三0120

聖アントニウスがされこうべを見つめている後ろで、美女たちが誘惑しています。


5章 「版画家ヴァロットンの誕生」

フェリックス・ヴァロットン(1865-1925)はスイスの画家で、明確で平面的な
白と黒による木版画や、明暗の対照の強い油彩画を描いています。

パリの街の様子などを描いた木版画26点が展示されています。

フェリックス・ヴァロットン 「息づく街パリ」の口絵 
 ジンコグラフィ、紙 1894年

三0070

いわくありげな人物たちが街角に並んでいます。
真ん中の子は観る者の視線を拒否するような、表情の無い白目をしています。
ヴァロットンの版画にはこのような白目の人物がよく描かれています。

「息づく街パリ」より「ブタ箱送り」 ジンコグラフィ、紙 1893年
三0074

酔っ払いが喧嘩でもしたのか、警官に引きたてられて行き、物見高い連中が
それを見ています。

「息づく街パリ」より「可愛い天使たち」 ジンコグラフィ、紙 1894年
三0068

警官に連れられていく男の周りで、まるで可愛くない子どもたちが
囃し立てています。
子どもはこういうとき、大人より残酷です。
白と黒の対比が効いた画面です。

三菱一号館美術館では2014年の6月14日から9月23日まで、「ヴァロットン
-冷たい炎の画家」展が開かれます。
残念ながら、スペースの関係でこれらの木版画は展示されないそうです。


6章 ルドン 夢の色彩

黒のリトグラフの他に、パステル画が2点あります。

オディロン・ルドン 「小舟(聖女)」 パステル、紙 1900年頃
三0128

パステル画で、二人の女性が帆を掛けた小舟に寄り添って座っています。
一人は青い服に赤いマント姿、一人はインド風の衣装で、二人の姿は光を放ち、
西洋と東洋を表しているかのようです。
ルドンはパステルを使うと絵が一気に輝き始めます。

オディロン・ルドン 「グラン・ブーケ(大きな花束)」 
 パステル、カンヴァス 1901年
 
三0124

作品保護のため照明を落とした部屋にこの1点だけが展示されています。

ルドンの援助者の城館の装飾壁画として描かれた16点のうちの中心となる作品です。
他の15点は現在はオルセー美術館が所蔵しているとのことです。

高さ248.3cmの大作で、花は空中にただように咲き、見上げていると花が
ふわりとこぼれ落ちてくるようです。


7章 ルノワールとモネの後半生

モネが1点と、晩年のルノワールが2点展示されています。

クロード・モネ 「プティ・タイイの岬、ヴァランジュビル」 
 油彩、カンヴァス 1897年

三0132

明るい色彩で大きなかたまりとなった崖を画面の中心に据えた、
量感にあふれた作品です。
ヴァランジュビルはノルマンディー海岸にあり、モネは近辺の景色を
数多く描いています。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「パリスの審判」 
 油彩、カンヴァス 1908年

三0130

ギリシャ神話の有名な場面で、パリスが三美神の一人、アフロディーテに
リンゴを与えています。
三美神はルノワール晩年の特徴の豊満な肉体で描いています。


8章 画商ヴォラールと画商たち 出版事業を中心に

アンブロワーズ・ヴォラール(1866-1939)はフランスの画商で、多くの印象派や
ポスト印象派の画家を援助し、出版事業も手がけています。
ヴォラールはセザンヌに肖像画を描いてもらった時に115回もポーズを取らされ、
少しでも身動きすると、「リンゴが動くか!」と怒られたそうです。

版画集の、ドニの「アムール(愛)」、ボナールの「パリ生活の小景」を
中心にした展示です。

モーリス・ドニ 「アムール(愛)」の表紙 リトグラフ、紙 1898年
三0139

「アムール」はマルト・ムーリエとの婚約をきっかけに制作されています。

「アムール(愛)」より「私たちの魂はゆっくりとした動作の中に」 
 リトグラフ、紙 1898年

三0141

題名はドニの詩の一節から採られています。

ピエール・ボナール 「パリ生活の小景」より「大通り」 
 リトグラフ、紙 1899年

三0152

並木道を馬車や自転車、人びとが行き交い、犬がうろついています。

「パリ生活の小景」より「野菜売り」 リトグラフ、紙 1899年
三0161

痩せた野良犬の恰好が印象的です。

エドモン=フランソワ・アマン=ジャン 「婦人・秋」 
 油彩、カンヴァス 1924年頃

三0135

大きな画面におだやかな色調で、二人の女性と、水辺の景色が描かれています。
水の上をたくさんのツバメが飛び交い、さわやかな風景です。
アマン=ジャン(1858-1936)はフランスの画家で、シャヴァンヌに師事し、
叙情的な作風で知られています。

ピエール・ボナール 「飾り置物」 ブロンズ 1902年(原型、鋳造年未詳)
三0155

ボナールがパンをこねているのを見たヴォラールに奨められて、
つくったものだそうです。

2012年の「ルドン展」で観た、ルドンの「グラン・ブーケ」の他に、
ヴァロットンの版画、ドニやボナールの版画集など初めて観る作品も
多く展示されていて、とても興味深い展覧会です。


次回の展覧会は、「ザ・ビューティフル――英国の唯美主義1860-1900」展です。
会期は2014年1月30日(木)~2014年5月6日(火・祝)です。

唯美001


その次の展覧会は、「ヴァロットン-冷たい炎の画家」展です。
会期は2014年6月14日(土)~2014年9月23日(火・祝)です。

ヴァ003

関連記事

【2013/10/06 00:09】 美術館・博物館 | トラックバック(2) | コメント(2) |
comment
 
コメントを書く
コメントは承認後に公開されます。ご了承ください。
  • こんばんは。
  • コメント有難うございます。
    ルノワールは時期の違う作品があって、面白かったです。
    ブグローは同じ三菱一号館で開かれていたクラークコレクションにもありました。
    肌の色などとてもきれいに出していて印象的でした。

    【2013/10/06 22:54】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • いあ、べ、別に美女の絵だけが好きという訳では・・・・
  •  こんにちは。絵画はいいですね。
     ブロガー特別内覧会ですか。ブログの影響力侮りがたしという事なんでしょうね。
     私もフリードリヒとかルノワールとか好きです。最近ではブログー・・・もといブグローが好きになりました。特に「ニンフとサテュロス」のニンフとか、絵を眺めている美女とか・・・。

    【2013/10/06 20:14】 url[miss.key #eRuZ.D2c] [ 編集]
    please comment















    管理者にだけ表示を許可する

    trackback
    trackback url ↓
    http://nekoarena.blog31.fc2.com/tb.php/2009-2a4f0c11

    blog_name=【弐代目・青い日記帳 】 ♥   「三菱一号館美術館 名品選2013」
     
    三菱一号館美術館で開催中の 「三菱一号館美術館 名品選2013−近代への眼差し 印象派と世紀末美術−」に行って来ました。 http://mimt.jp/meihin/ 今年(2013年)三菱一号館美術館は立て続けに3つの「コレクション展」を開催して来ました。 (1)「軌跡のクラーク・コレクション展」(2月9日〜5月26日) (2)「浮世絵 Floating Worl...
    【2013/10/17 22:12】

    blog_name=【Star Prince JUGEM】 ♥   三菱一号館美術館 名品選2013 ― 近代への眼差し 印象派と世紀末美術特別内覧会
     
     今日は10月5日から開催される三菱一号館美術館 名品選2013 ― 近代への眼差し 印象派と世紀末美術特別内覧会に行ってきました。自由に絵画を少々鑑賞し、その後高橋館長の挨拶 安井主任学芸員とTAKさん(中村剛士さん)の解説・かけあいを聞きながら展示作品を見て回りました。ミレーと印象派 シスレー、ピサロ、ドガ、ルノワール、セザンヌ モネなど、 ルドンの黒、ロートレック、レ...
    【2013/10/06 10:51】

    プロフィール

    chariot

    Author:chariot
    東京のビルの多い街で暮らしています。

    最近の記事

    最近のコメント

    最近のトラックバック

    カテゴリー

    ブログ内検索

    月別アーカイブ

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    RSSフィード


    | ホーム |