「ジョセフ・クーデルカ展」 東京国立近代美術館
竹橋
chariot

竹橋の東京国立近代美術館では 、「ジョセフ・クーデルカ展」が開かれています。
会期は2014年1月13日(月・祝)までです。

ク001


ジョセフ・クーデルカ(1938~)はチェコスロバキアのモラヴィア生まれで、
航空技師として働きながら、1961年に23歳で写真家としてデヴューしています。

作品は以下の区分にしたがって展示されています。

初期作品 Beginnings 1958-1961
劇場 Theater 1962-1970
ジプシーズ Gypsies 1962-1970
侵攻 Invasion 1968
エグザイルズ Exiles 1970-1994
カオス Chaos 1986-2012

初期作品 Beginnings 1958-1961より ポーランドで撮影 1958年
ク003

カトリックの国、ポーランドらしく尼僧が手前に立ち、砂浜が広がっています。
遠近、黒と白のコントラストを強く感じる作品です。

実験 Experiments 1962-1964より
ク004

2年間、月刊誌「劇場」表紙写真を担当します。
抽象化された、版画のような画面で、他の時期とはすこし雰囲気が違います。

劇場 Theater 1962-1970より 「ユビュ王」 1964年
ク005

劇場写真にも取組みます。
「三人姉妹」「リア王」「ゴドーを待ちながら」などを撮った写真が
展示されています。
説明的な写真とは異なり、ドラマとしての情念・熱気の伝わる、
印象的な撮り方をしています。

ジプシーズ Gypsies 1962-1970より
ク002

ジプシー(現在はロマ)はクーデルカが最初に取組んだ大きなテーマです。
チェコスロバキアやルーマニアに居住するジプシーの写真を数多く撮っています。
遊び、結婚、楽士、生活、葬儀など、さまざまな場面を捉えていて、
どれも生々しく強い存在感があります。

ク006

手前に手錠を掛けられた男、砂利道の向こうに警官と警察犬、
遠巻きにする人びとが居ます。
ジプシーの置かれた状況を象徴するような写真です。

侵攻 Invasion 1968より
ク007

1968年に、プラハの春と呼ばれるチェコスロバキアの政治改革を弾圧するため、
ソ連軍を中心にしたワルシャワ条約機構軍が侵攻します。
1956年のハンガリー動乱で蜂起したブタペスト市民をソワルシャワ条約機構軍が
鎮圧した時と同じ展開です。
プラハでその現場に居合わせたクーデルカはこの事件を撮影しています。

戦車によって封鎖されたヴァーツラフ広場を腕時計の時刻と共に写しています。
ヴァーツラフ広場は市民の抵抗の象徴でした。

他にも多くの緊迫した状況を写した写真があります。

騒乱状態の大通りをチェコスロバキアの国旗を掲げて行く二人の若い男性。

炎上する戦車から脱出し、自動小銃を構える戦車兵と、それに向かって
プラカードを見せる男性。

緊迫した顔の女性の向こうに装甲車、その向こうの建物の窓から通りを
見下ろしている人びと。

これらの写真は国内では発表することが出来ず、西側に持ち出されて
侵攻一周年に匿名で各国の雑誌に掲載されています。

エグザイルズ Exiles 1970-1994より スペインで撮影 1975年
ク008

クーデルカはこのプラハの春事件をきっかけにチェコスロバキアから亡命し、
ヨーロッパ各地を撮影して廻ります。

エグザイルとは流浪者、亡命者という意味で、流浪者であるジプシーを
撮っていたクーデルカ自身が亡命によってエグザイルになってしまった訳です。

イギリス、フランス、アイルランド、スイス、イタリア、ポルトガルなどですが、
どの写真も国毎の固有性は見られません。
1994年にルーマニアで撮った写真では、川舟で運ばれていくレーニンらしい人物の
巨像を写したものがあります。
1989年のルーマニア革命で共産党政権が打倒され、要らなくなったレーニン像が
どこかに捨てるために運ばれていったのでしょう。

カオス Chaos 1986-2012より 西ドイツで撮影 1988年
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やがて、広い横幅の画面で撮影するパノラマ・カメラにも取組みます。

工事現場や鉱山、遺跡を題材にした、それらの作品は造形的な力強さと
面白さがあります。
英仏海峡トンネルの土砂を捨てるためでしょうか、フランスの海岸の長大な
ベルトコンベアーの写真は、まるで恐竜がうずくまっているようです。


ジョセフ・クーデルカの写真には強い造形性がありますが、一方で疎外感が
漂うものが多くあります。
特に、ジプシーやエグザイルズのシリーズにはそれが表れています。
写真の題材にジプシーを選んだのも、疎外された状況への共感が
あったのでしょうか。

展覧会のHPです。


次回の展覧会は「あなたの肖像─工藤哲巳回顧展」です。
会期は2014年2月4日(火)から3月30日(日)までです。


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【2013/11/18 22:45】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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