「ターナー展 ブロガーイベント with スペシャルトーク」 東京都美術館
上野
chariot

上野の東京都美術館で11月20日に開かれた、「ターナー展 ブロガーイベント
with スペシャルトーク」に行ってきました。

「ターナー展」の会期は12月18日(水)までです。

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先ず、美術ジャーナリストの鈴木芳雄さん、アートディレクターの結城昌子さんの
トークショーを聴いた後、作品を鑑賞しました。
結城さんが朝日小学生新聞に連載している、「遊んでアーティスト」でも
ターナーの人気はとても高いそうです。
鈴木さんはターナー展のポスターのコピーを作った方で、コピーが出来上がるまでの
過程など、興味深い話を聴かせていただきました。

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写真は美術館の許可を得て撮影したものです。

「スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」 
 油彩、カンヴァス 1808年ターナーの画廊に展示
 
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ナポレオン戦争(1803-1815)の時、フランスと友好関係にあった
デンマークのコペンハーゲンをイギリス海軍が攻撃し、軍艦を拿捕して
ポーツマスに寄港した時の光景で、ターナー自身が目撃しています。

デンマークの旗の上にイギリスの旗がひるがえり、船の帆は風に膨らみ、
海は波立っています。

「オレンジ公ウィリアム三世はオランダを発ち、荒れた海を越えて
1688年11月4日にトーベイ上陸」 油彩、カンヴァス 1832年発表

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オランダ総督のウィレム三世がイングランドに上陸して、叔父の
ジェームズ二世を追放して、イングランド王ウィリアム三世として
即位した、名誉革命と呼ばれる事件を描いています。

実際に上陸した日の海は穏やかだったそうですが、劇的な場面にするため、
海を風で波立たせています。
雲間から差す光が海面を照らす印象的な状景です。


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「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って
回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」
 油彩、カンヴァス 1820年ロイヤル・アカデミー展出品
 
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ラファエロがヴァティカン宮殿の回廊の装飾を依頼され、自分の作品を
並べて回廊を見上げながら構想を練っている様子を描いていて、
「小椅子の聖母」などが見えます。
ラ・フォルナリーナはラファエロの恋人とされる女性です。

作品はラファエロ没後300年を記念して、尊敬するラファエロを称揚すると共に、
自らも技を極めた巨匠であることを示そうとしているとのことで、ターナーの
心の中に描いた、理想のローマと云えます。

「レグルス」 油彩、カンヴァス 1828年発表、1837年加筆
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マルクス・アティリウス・レグルスは古代ローマの将軍で、カルタゴとの
戦いに敗れて捕虜となり、ローマとの和平交渉を命じられたものの
失敗したため、まぶたを切られて失明したと云われています。

クロード・ロランに倣った構図で、レグルスが最後に観たであろう、
輝く朝日を受けた港の、まばゆく活き活きとした光景を描いています。

「チャイルド・ハロルドの巡礼―イタリア」 
 油彩、カンヴァス 1832年ロイヤル・アカデミー展出品

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バイロンの長編詩、「チャイルド・ハロルドの巡礼」を基にした作品
とのことです。
広々として牧歌的な情景で、丘の上の古城や壊れた石橋には夕日が
当たっています。
こちらもクロード・ロラン風の絵で、ロマンチックでノスタルジーに
満ちた作品です。

一本松が大きく描かれていて、ターナーにとってもイタリア旅行で見た
松の印象が強かったのでしょう。
結城さんは、展覧会でどれか1点を持ち帰ってよいとしたらどれを選ぶか
考えながら観ることを奨めていましたが、私だったらこの絵を選びます。

『海の惨事(別名「難破した女囚船アンピトリテ号、
強風の中で見捨てられた女性と子どもたち」)』 油彩、カンヴァス 1835年頃?

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当時のイギリスでは囚人を遠いオーストラリアに追放していました。
女性の囚人とその子どもたちを乗せたアンピトリテ号が嵐で難破し、
ほとんどの人が犠牲になった事件を題材にしています。

テオドール・ジェリコーが1819年に発表した「メデューズ号の筏」を
参考にしたということで、嵐に翻弄される筏にしがみつく女性と
子どもを描いています。
渦を巻いて荒れ狂う嵐の描写がすさまじく、「メデューズ号の筏」が
人のドラマであるのに対して、こちらは海のドラマです。

「湖に沈む太陽」 油彩、カンヴァス 1840-45年頃
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晩年の作品は光や空気、そこから受ける感動そのものを表そうと
するようになります。
物体の形がはっきり見えなくなり、ほとんど抽象画に近くなってきます。
人に見せるためではなく、自分が描きたいから描いたといった絵です。

水彩画の小品も数多く展示されていて、どれもさらりと描かれ、
趣きがあります。

「ルツェルン湖とリギ山」 水彩、クレヨン、紙 1841-45年頃
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「黄昏時のプンタ・デッラ・ドガーナ(税関舎)とサンタ・マリア・
デッラ・サルーテ教会をホテル・エウロパより望む」 
 鉛筆、水彩、ペンとインク、紙 1840年

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ホテル・エウロパは今もヴェネツィアにあるホテルです。

「ドレスデン、テプリッツ、プラハ」 スケッチブック 鉛筆、紙 1835年
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ヨーロッパ旅行中にドレスデンで買ったスケッチブックです。
プラハの景観が気に入ったようで、多く描いています。

ターナー愛用の金属製絵具箱
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クロームイエロー、ウルトラマリン、ヴァーミリオンなどが入っています。
ターナーは特にクロームイエローを好んだそうです。
まだ、チューブ式絵具が開発されていないので、絵具の扱いも手間がかかりそうです。

パーティーでカップを手にしてくつろぐ、晩年のターナーの姿で、アルフレッド・
ドルセー伯爵の素描に基くリトグラフです。
美化して描かれたという若い頃の自画像とはかなり違って、小柄な老人です。

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売店には紅茶やスカーフなど、グッズもいろいろ揃っています。

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「ターナー展」には10月に行っているのですが、もう一度観ることが出来て、
改めてターナーの魅力をゆっくり味わいました。

「ターナー展」に行った時の記事です。

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【2013/11/23 22:44】 美術館・博物館 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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  • こんばんは。
  • コメントありがとうございます。
    芸術は作品が勝負で他は余計なことという意見もありますが、やはり作品ばかりでなく、作家やその周辺のことが分かると、さらに興味深く観ることが出来ます。
    ターナーのすぐ後に、チューブ絵具とともに印象派が活躍する時代が来るわけです。
    カップを手にしたターナーを描いたスケッチにはリアリティーがあり、ターナーその人への親しみを感じます。

    【2013/11/25 20:03】 url[chariot #/8nqih4Y] [ 編集]
  • こんにちは。
    東京は美術館も多くていいですね。
    「ターナー展」素敵ですね。
    チューブ式絵具が開発されていない時の絵具箱など、興味深く拝見しました。
    絵画を見るだけでなく、作者の背景などを知ったりすると、さらに絵画への見方が変わりますね。
    面白かったです。
    有り難うございました!

    【2013/11/25 13:12】 url[苺 #-] [ 編集]
    please comment















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